45.逃亡
蠍のスコーピオンを封印することになった。
「じゃ、カーミラ。いつも通り」
ぽんっ、と目の前にメイド服姿のカーミラが現れる。
「また時間稼ぎかの」
めちゃくちゃ嫌そうな顔のカーミラ。
「ああ。そいつ上位吸血鬼っぽいからな」
次元刀で封印するしかねえ。
「ひぎぃいいいい!」
……スコーピオンのやつ、尻尾を切って逃げやがった。
俺は結界で奴を閉じ込めようとする。
「結!」
スコーピオンが結界に閉じ込められる。
が、すぐにわかった。
「偽物だ」
「なんと。偽物」
「ああ」
ガサササササササー!
無数の蠍どもが一斉に散らばる。
俺は結界ドームをつくり、そのすべての蠍を、結界内に閉じ込めることに成功。
「じゃ、カーミラ。本物見つけてこい」
「はぁ!? どうやって」
「おまえが殺して死なないやつが本物だ」
「こんなたくさんいるんじゃが!?」
「やれ」
「はぃいい」
俺にビビったカーミラが、「わらわ吸血鬼なのにぃ」と半泣きになる。
でも仕事はするみたいだ。意外と真面目なやつなんだよな。
『ひぎぃ! 出してえ!』
「逃げるなぁ! 卑怯者ぉー!」
カーミラは血の翼を広げる。
「血翼!」
広げた翼から無数の羽が散り、それが矢となって蠍どもに降り注ぐ。
これならすぐ本体は見つけられそうだな。
その間におれは儀式を開始する。
天使を降臨させないと、次元刀は使えないからな。




