43.虫
蠍のスコーピオンと名乗るおかしな女が、街を支配する悪者であるらしい。
「ま、じゃあ排除させてもらうよ」
別にこの街の人間を助ける義理なんて俺にはない。
が、フレアと今日ここで泊まる予定なのだ。
フレアの安全を確保するため、敵は消させてもらう。
「きゃはっは! その余裕がいつまで持つかしら……ね!」
スコーピオンがバッ、と手を前にする。
自分の体から紫色の魔力が立ち上ると……。
ガサガサガサガサ!
『!? 魔力から虫を産みだしてるのじゃ!』
影の中のカーミラが驚いてる。
なるほど、街を襲っていた虫どもも、この女が魔法で作ったものか。
「さぁ坊やたち! あの男を食い殺してさしあげなさい!」
生み出した虫たちに命令を下す。
虫は言われたとおり俺へ向かって押し寄せてきた。
「【結】」
俺は結界で自分を防御。
虫たちが結界を包囲する。そして……。
ガジガジガジガジ!
『こやつら結界を食ってやがるのじゃ!』
「きゃははは! それは【悪食虫】! シロアリの仲間で、なんでもたべちゃうのよぉん!」
結界を食い破ると、虫どもが押し寄せてきた。
なるほど、こういう虫なのね。
『よ、避けるんじゃぁ! 食われてしまうぞぉお!』
あっという間に、虫が俺の体にまとわりつく。
遠目に見ると、黒い人形に見えているだろう。
「あはは! 実にあっけないわねぇ!」
「ふん!」
ばんっ! と虫たちが一気にはじけ飛ぶ。
「な!?」
「ん? どうした」
「ど、どうして!? 結界を食われて、あなたは死んだはず!?」
?
何言ってんだろう。
「死んでないが? 確かに通常の弱い結界は食われてしまうようだが、強度を変えた結界は食えないようだぜ?」




