37.ソーラと九天
九天。
牙狩りのなかで、上位の強さを持つものたち。
シアンもまた、そこに属してる。
九天たちが集まってるのは、とある館の中。
集まる9人の男女たち。
そこへ……
がちゃっ。
「待たせたな、おまえたち」
かわいらしい少女が部屋の中に入ってくる。
年齢は10代に、届くかどうかだろう。
九天たちは立ち上がり、すっ……と頭を下げる。
「おひさしぶりです、【ソーラ】様」
ソーラと呼ばれた少女は、九天達を見渡す。
彼女はどこか、達観したような目をしていた。かわいらしい見た目をしては居るものの、その中身は、見た目から感じられる年齢以上のものがある。
「レッド、それに皆も。久しぶりだな。息災でなによりだ」
「ハッ……!」
背中に【火】と書かれた半纏を羽織る男……レッド。
先ほどシアンを馬鹿にしていたものと、同一人物とは思えないほど、ソーラに対して礼儀正しい態度を取っていた。
それに対して、シアンは特に何も言わない。
ソーラが腰を下ろし、九天たちを見渡す。
「今日集まってもらったのは他でもない。シアンの報告にあった、結界師についてだ。シアン、改めて教えて欲しい」
シアンがうなずく。
「ゲータ・ニィガ王国の草原にて、私はオカシナ結界術を使う男と出会いました」
オカシナ結界術を使う男とは、無論、リクトのことだ。
シアンはリクトとの戦闘を詳細に語る。
そして……。
「結界師リクトは、人外を引き連れておりました。少なくとも……2体【以上】」
ざわ……と九天たちが反応を見せる。
「どういうことだ、てめえ!」
レッドがシアンをにらみつける。
「レッド、少し黙れ」
「ハッ……!」
ソーラに言われ、レッドは口を閉じる。
だがその表情には、怒りの色がアリアリと見えた。
ソーラに対する不満ではなく、シアンに対する……である。
「シアン。2体以上というのは?」
「まず、やつは吸血鬼、しかも、上位の吸血鬼を使役しておりました。影の中に隠してはいましたが」
「なるほど……それと?」
「人間の女に擬態した、人外が1体。おそらく、こちらは天の者かと」
「天使か……ふむ……」
これはフレアのことだ。
そして……。
「そのほかに、彼は自分の中に、何体か人外を封じております」
……この場にいる全員、そして、フレアやカーミラすら知らないこと。
リクトの体に、他にも人外が居ると言うこと。
これはリクト、そして彼の師匠しか知らぬことだ。
「結界師の中にいる、人外とは?」
「……わかりません。」
「わからない?」
ソーラが首をかしげる。
シアンは、ハッキリ言う。
「はい。わからないのです。それは、結界師の体の奥に、何重にも結界がほどこされ、封印されております。結界師は、その封印されてる化け物を、使わずとも……強い」
だが。
「封印されてるそれを使えば、もっと強い……か」
「はい」
ソーラが黙り、考える。
スッ……と九天のひとりが手を上げる。
「あのぉ~……」
緑髪をした、お嬢さま風の女が手を上げる。
背中には、【木】と書いてある。
「どうした、【エバーグリーン】?」
エバーグリーンと呼ばれた女は、にこりと笑う。
「九天全員で、その化け物、殺しちゃうのは、どうですかぁ~?」
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