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35/68

35.目覚める、十二聖座《ゾディアーツ》



 リクトが水の剣士を倒した……一方その頃。

 王国の北西に広がる、奈落の森(アビス・ウッド)と呼ばれる場所にて。


 ここは木々に覆われており、昼間であろうと、夜のように暗い。

 奈落の森(アビス・ウッド)の中央には、1本の巨大樹があった。


 巨大樹の根元には、複数人の吸血鬼たちがいて、噂話をしていた。


「聞いたか? リブラ様がやられたそうだ」

「ああ。我らの頂点に立つ、12の上級吸血鬼がひとり、天秤のリブラ様が……まさか人間ごときにやられてしまうとは……」


「相手はどんな恐ろしいやつなんだ? 我らは不死なる存在なのに……」


 すると、巨大樹の枝に、突如として、1人の吸血鬼が出現する。

 根元にいた吸血鬼たちは、バッ……と頭を下げる。


 並の吸血鬼では、失神してしまうほどのプレッシャーを放っていた。

 その中のひとり……長身の、美しい吸血鬼が言う。


「おい、そこの」

「は、はひぃ!」


 人間に対して恐怖心を抱いていた、吸血鬼が、びくんっと体をこわばらせる。


「貴様、人間むしごときに恐れを抱いたな……?」

「あ、あの……」


「黙れ」


 どさっ!

 ……吸血鬼が、その場に倒れる。そして、灰となって消えてしまった。


 周りに居た吸血鬼達に緊張が走る。

 能力……ではない。


 今のはあの長身の吸血鬼が、黙れといっただけ。

 言葉に載せた殺意、ただそれだけで、不死の存在たる吸血鬼を殺したのだ。



「私は嘆かわしいよ。生物の死という理から超越した、不死の存在たる私たちは、生物の頂点。……だというのに、人間等と言う下等種に、殺されるなどという軟弱モノが、我らの家族の中からでてしまうなんて……」


 おそらくは、リブラの話をしてるのだと思われた。


「吸血鬼共よ。さがせ、リブラを葬った、そいつを。そしてここに連れてくるのだ」

「「「「はっ!【サジタリウス】様……!」」」」


 長身の吸血鬼……サジタリウスの前に、一般吸血鬼達が頭を垂れる。

 彼らは闇に消える。


十二聖座ゾディアーツを超越する力を持つ人間……か」


 サジタリウスの脳裏に、ひとりの女の姿が浮かぶ。

 それは、リクトに戦い方を仕込んだ、美貌の魔女。


 あの魔女が十二聖座ゾディアーツを倒したのなら、まあ、わかる。

 だが……。


 サジタリウスは目を閉じて、眉間に指を載せる。

 瞬間、彼の頭の中に大量の情報が流れてきた。


 ふぅ……とサジタリウスは息をつく。


「あの女の気配を、この世界には感じぬ」


 死んだか、あるいは、この星にいないか。

 いずれにしろ、地上にはあの魔女がいないことが確定した。


「では……誰がリブラを? 十二聖座ゾディアーツ最弱とはいえ……高貴なる血族(ノーブル・ブラッド)の頂点に立つものを倒した……となると……」


 あの魔女の子孫か、あるいは、その力を受け継いだ弟子か。


 いずれにしろ、サジタリウスの【目的遂行】の邪魔でしかない。

 早めに滅ぼしておきたい。


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