28.妙な男
俺とフレアを載せた馬車は、街道の途中で止まっている。
盗賊が乗り込んできたのだ。
『まあ主なら簡単に倒せるだろうな』
影の中で、吸血鬼カーミラがそういう。 だが……困ったな。
『なぬ? どうしたのじゃ? こんな雑魚など余裕じゃろう?』
まあね。
だが、俺がやると殺しすぎてしまうのだ。
防御結界を即座に、フレアに張っているので、彼女が傷付くことは無い。
問題は、俺の攻撃方法があまりにオーバーキルすぎてしまうこと。
フレアに、そんなスプラッタな現場を目撃させるわけにはいかんだろ。
『な、なるほど……おぬしの攻撃方法は【 】《くうはく》をはじめ、どれも強すぎる。魔物相手ならいざしらず、人間相手だと過剰になりすぎてしまうのじゃな』
まあ結界を張ってるので、フレアが傷付くことはないし。
……それに。
『それに?』
攻撃をしない一番の理由は、そこの、変な気配をする輩がいるからだ。
『変な気配……?』
おしゃべりはこれくらいにしておこう。
とかく、俺は結界で身を守ることはするが、過剰な攻撃はできない。
「おまえら大人しく金だしな! そうすれば、命までは助けてやるぜえ」
あ、よかった。目的は金か。
なら、問題ない。
金なんてまた稼げば良いだけだし。
今はフレアの身の安全が最優先だからな。
俺も、そして乗客達も、大人しく持っている金を出す。
フレアはこわばった表情で俺の隣に座っている。
彼女も状況を理解してるのだろう。
変に騒ぐよりは、黙っておくほうがいい。
「ちっ。金がこれっぽっちしかないのかよ」
見るからにやつれたお母さんと、小さな女の子の前で、盗賊が言う。
どうやらあんまり金を持っていないようだ。
「仕方ねえ。このガキをもらってくぜ」
「そんな! やめてください! 返してください!」
どうやら人身売買にでも、あの子供を売り飛ばそうとしてるみたいだ。
フレアが食ってかかろうとする。
……そうだよな。
フレアはこういうこと、絶対に見過ごせないような子だ。
俺はカノジョの肩に手を置いて、首を横に振る。
フレアは何故止めるのかと怒っている。
仕方ない、フレアのためだ。
俺が立ち上がって、盗賊に言う。
「「その手を離せ、外道」」
……ん?
俺とまったくおなじセリフを吐いたのは、妙な雰囲気をかもしだしていた、男だった。
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