17.
俺、リクトはクエストをこなし、ギルドへと戻ってきた。
そして、今回の件の報告を終え、帰宅しようとする……。
「じゃ」
「ちょ、ちょっとお待ちください!」
受付嬢が俺の手をがしっとつかんできた。
「なに?」
「わ、我がギルドのギルドマスターを呼んで参りますので! お待ちいただけないでしょうか!」
ギルドマスター?
「俺になんのようだ?」
仕事を終えたから、さっさと帰りたいのだが。
「ギルマスからお話があるとのことで!」
「俺にはないよ」
「しかし!」
「じゃ」
俺は結界を発動。受付嬢と俺の間に結界の壁を作る。
彼女が手を離すと、俺はそのすきにきびすを返す。
ドアの前に結界で転移門を作り、そしてドアから出ると同時に転移。
そこは、フレアが泊まってる部屋の中だ。
「あっ! リク!」
フレア……。俺の幼馴染みだ。榛色の髪を持つ、綺麗な女の子。
フレアは俺の帰りを心待ちにしてくれたようで、俺の顔を見るなり、笑顔をむけてくる。
……フレアの笑顔を見ると、今日の疲れが吹き飛ぶようだった。
彼女がふんわりと、俺を抱きしめてくれる。
「おつかれさまでしたっ♡」
「ああ、ただいま……」
ああ、心地よい……。フレアの甘い匂いとか、温かで柔らかい体とか。彼女を構成するすべてが、俺にとっては愛おしく感じる。
「結構時間かかったね」
「まあ色々あったもんでな」
「そっか! おつかれ!」
フレアはそれ上、仕事の話を聞いてこない。
「聞かないの?」
「別に。お疲れでしょうからね~」
……ああ、ほんと、出来た嫁だ……。
「フレア」
「きゃっ♡ もぉ、リクびっくりしたよ~♡ ハグするときは、今からおまえを抱きしめるぜっ、くらいいってほしいなー」
「言ったらいいのか?」
「もちろん♡ 好きなだけハグしちゃいなさい」
「じゃあ……このままベッドにいっても?」
フレアは顔を赤くするも「も、もちろんっ」という。照れてる彼女がかわいらしくて、俺はフレアを抱きしめたまま、ベッドへと運ぶ。
「リク、お疲れ様♡ いいよ、おいで。い~~~~ぱい、癒やしてあげるよ♡」
フレアを押し倒すような態勢になってる。
彼女は俺のことを正面からハグしてくれた。
柔らかくて、温かい、フレアの体に……俺は溺れる。
今日一日の色々は、フレアとこうしてふれあうことで、もうどうでも良くなった。
嫁ができるって、すげえことだなって、思った。