13.困ってる商人を助ける
薬草を大量にゲットした後、俺はギルドへと戻ってきた。
『なんじゃ? なにやら騒々しいの』
確かにカーミラの言う通り、ちょっとギルドがざわついていた。
そこには商人らしき男が、受付嬢のランカさんと、深刻そうな顔で話し合っていた。
うーん、困りごとだろうか。
気になるな。
「あの、何かあったんですか?」
「あ! リクト様! ちょうどよかったわ、薬草取ってきた?」
「はい、ちょうど。薬草が必要なんです?」
「ええ、それも大量に!」
商人が神妙な顔つきでうなずいた。
「そうなんデシ、薬草がほしんデシ」
「デシ? ええと、どれくらい必要なんです?」
変な語尾の商人が、数を提示する。
「100キロほしいんデシ」
「100か」
割と必要なんだな。大量にけが人でもいるんだろうか。
「100はない」
「そうデシか……」
「500はある」
「なにぃい!?」
目が飛び出るんじゃないかってくらい、驚いてる商人。
ランカさんが困惑気味にいう。
「え、え、500キロ!? そんなにとってきたの!? 依頼量大幅にオーバーしてるよぉ!?」
「取りすぎちゃいまして」
「とりすぎってレベル超えてるよ! ほ、ほんとにそんなにとってきたの?」
俺は収納していた薬草を、どさっと取り出す。
「「すげえええええええええええええええ!」」
商人さんたちが驚く。
まあ結界魔法を使えばこんなもんですよ。
収納しなおす俺。
「100でいいんです?」
「い、いやできれば全部くれないかデシ?」
「いいですけど……」
俺はちょっと気になったことを聞いてみることにした。
「もしかして、どこかでけが人でも出たんですか?」
「そうなんデシ! 知り合いの商人がいる街の近くで、たくさんの人がケガしたんデシ! うちにもポーションの在庫がないかと、フクロウ郵便で緊急の知らせが届いて……」
なるほど、やっぱりけが人がいるんだな。
よし。
「よろしければ、俺が行って治療しましょうか?」
「ちりょう!? あ、あなたは治癒師なんデシ!?」
「いや、結界術師だけど」
「け、けっかい……?」
「ああ。俺は結界を使って他人を治療できるんだ」
商人が困惑してる。
ううん、やっぱりそういう反応になるよな。
だが。
「わかったデシ。あなたに任せるデシ」
「え? いいんですか?」
「はいデシ! ワチキは人を見る目に自信があるんデシ! あんたはすごいひとだって、わかるデシ!」
そんな風にすぐ信じてもらえたのは、うれいしいもんだ。
今まで欠陥品だっていって、誰も俺の力をすぐには信じてくれなかったしな……。
「よろしくデシ!」
「はい、で、場所はどこなんですか?」
「ゲータ・ニィガ王国の【イトイ】の街デシ」
イトイか。ミョーコゥの隣じゃないか。
帝国からだと、結構かかる。
「急ぐデシ! 馬車は用意してるデシ! 道中で何があったか説明……」
「いや、その必要はないですよ」
「どういうことデシ……?」
俺は結界術の補助式、転移を使用する。
目の前に薄い結界が出現。
「イトイならここへ来るときに通りました。すぐに跳べます」
「転移までつかえるんデシ!?」
「ええ、さぁいきましょう」
俺は商人とともに、現場へと向かう。
少しの酩酊感があったあと……。
「し、信じられないデシ! イトイの街デシ! 転移なんて高度な魔法を使うなんて、あなたは何者なんデシ!?」
何者って言われても。
「ただの、結界しか使えない、欠陥品ですよ」
いやいや、と商人さんが首を振る。
「結界しか使えないのに、ここまでいろんなことできるなんて! 逆にすごい! すごすぎるデシ! やはりワチキの目に狂いはなかった!」
この人もフレアと同様に、俺を認めてくれる。
なんていい人なんだ。この人の役に立ちたい。
「さ、いそぎましょう。けが人のところへ」
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