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11.素材買い取りでも驚かれる



 俺は無事冒険者ギルドに登録できた。

 さて、次はというと……。


「ランカさん」


 俺は受付カウンターへとやってきた。

 受付嬢ランカさんに言う。


「ここって素材の買い取りしてもらえますか?」

「もちろん! なにかお持ちですか?」

「モンスターの死骸があります」

「大丈夫です。では、こちらのカウンターにおいてください」


 ん?


「いや、それは無理です」

「ど、どうしてでしょう……?」

「乗らないんで」

「? え、乗らない……?」

「モンスターの死骸ですので」


 するとランカさんがクビをぐりんと傾ける。

 ん? なんか変なこと言ったか……ああ、そうか。


 俺が何も持ってないのに、モンスターの死骸がとか言ってるからか。

 カウンターに乗らないくらいでかいモンスターの死骸、どこに持ってるんだって。


「これです」


 俺は結界を目の前にはる。

 【収納インベントリ】していた、緑竜グリーン・ドラゴンを取り出す。

 ドサッ……!


「え、えええええええええええええええええ!?」


 ふふふ、そうだろう。

 こんな綺麗な状態のドラゴンの死骸は、初めて見たんじゃないか?


 なかなかこの倒し方はできないだろ?


「今どこから取り出したんですか……!?」

「え、そ、そこ……?」


 ドラゴンのこと驚いてくるもんだとおもったんだが……。


「どうして驚くんです? 魔法バッグとか、空間魔法って存在しますよね」

「い、いや……それはそうですけど……結界魔法しか使えないはずでは?」


 ああ、なるほど、そこで驚いてる訳か。

 まあ俺が結界魔法しかつかえないのは事実だし。

 それに他の人たちも、結界でここまでできるとは思わないのだろう。


「できるんです、結界で」

「そ、そう……なの?」

「はい。できます。頑張れば」

「頑張ってできるようには思えないんだけど……」

「ちょー頑張ればできますよ」

「そ、そっかぁ~……」


 ランカさんは理解を諦めたようだった。

 まあそうか。


 常人じゃ理解できないよな、このレベルの話は。

 しかたない。


「なんだなんだ?」「すげえドラゴンだ」「こんな綺麗な死骸初めてみるぜ……?」


 冒険者達が俺に注目のまなざしを向けてくる。

 まあわからんくもない、状態の良いモンスターの死骸なんてあり得ないからな。

 死骸を持ってくるためには倒す必要がある。

 つまり戦闘が必須となる。


 そうなると、どうしてもモンスターの体に傷をつけなきゃいけない。

 こんな何一つ傷がないなんて死骸は、通常ありえないことだ。


「リクト様。これ、一体どうやったのす……?」

「窒息させました」

「窒息……ああ、水に突き落とした的な?」

「いえ、信じられない話とは思うんで、驚かないでほしいんですけど」

「ちょっと自信ないかな……」


 それでも聞きたがっている様子のランカさん(と周りの人たち)。

 あまりひけらかすようなマネはしたくないのだが、怪しまれるからな。


 俺、結界魔法しか使えないわけだし。


「結界で窒息させました」

「「「はぁ……!?」」」


 まあ~……そうなるよなぁ。


「うそだろ!?」「初歩魔法だぞ!?」「そんなことできるわけないだろ!」


 やっぱり誰でも使える魔法しか、使えないとこうなるよな。

 侮られるっていうか。


 吸血鬼カーミラが驚いていたのは、彼女が封印される前には、この技術が無いからだと思ったんだがな。


『今も昔も、できるわけがない。こんな神業かみわざ……』


 神業ですかそうですか……。


「結界で敵の顔を(おお)って、空気だけを抜くんです。そうすると窒息するんですよ」

「「「? ?? ???」」」


 い、いかん……わかりやすく丁寧に説明したつもりなんだが、返って混乱を招いてしまったようだ。

 理解してもらえないのか……このレベルの話も。


「ご、ごめんねリクト様……ちょっと難易度高すぎて」

「ああいえ、こちらこそ混乱させてしまって済みませんでした。ただ、誤解して欲しくないんですが、別に不正して手に入れたわけじゃ無いんで」

「それは大丈夫! リクト様強いのは、あたしちゃんと見たんで!」


 おお、フレアみたいに、ちゃんと認めてくれる人が現れたぞ。

 これはうれしい。帰ってフレアに報告だ。一緒に喜びたい。


「しかし……ここまで綺麗な緑竜グリーン・ドラゴンの死骸となると……」


 ムズカシイ顔をして、ランカさんが黙りこくってしまう。

 どうしたんだろう……嫌な間だな。


「リクト様。残念ですが、うちでは買い取れません」

「なっ!? え、ど、どうして!?」


 そんな……! やっぱり不正品っておもわれた……いや、ちがうか。

 だってさっき彼女は信じるって言ってくれたばっかりだしな。


 となると……


「何か別の理由ですか?」

「そう。こんなに綺麗な緑竜グリーン・ドラゴンの死骸だと、ものすごい高値になるわ。でもそのお金をうちで出しちゃうと、ギルドの金庫が空っぽになるの!」


「「「まじかよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」


 俺も周りの冒険者達とともに驚いてしまった。

 あれ、おかしいな……。


 王都だと買い取ってもらえたんだけど……。

 いや、待てよ。


 ここは隣国、しかも国の端っこの街だ。

 王都よりギルドの規模は小さい。


 だから、所有してる金も少なくて、買い取ってもらえない……というか、金が払えない……ってことだろうか。


「ごめんなさい……!」

「いや、いいです。ギルドの規模感も考えず、買い取れないほどの品物を持ってきた、俺が悪いんで。今度はここで買い取ってもらえそうな程度のモンスターにしときます」


 周りの冒険者達が、不愉快そうな顔をする。


「買い取ってもらえそうな程度ってムカつくな」

「なんか下に見られてるように思えてむかつく」

「結界魔法しか使えないくせに!」


 え、ええー……。

 ムカつくって……ちょっとひどくないですかね……。


 いや俺事実を言っただけなんですが……。

 別に馬鹿にしてないし。


 しかし困った。

 金を稼がないといけないのに。


「そうなると……クエスト。そうだ、クエスト受けたいです。薬草拾いとかでいいんでないですか?」

「ありますよ! ちょうど外の森で、薬草1キロを採ってくる仕事があります」

「それだ! それ受けます」


 さすがに薬草なら、高すぎて買い取ってもらえないってことはないだろう。


「それでは、こちらの依頼書を持ってって出発してね。依頼品とともに持って帰ってきて、納品すればお金になるから」

「わかりました。【転移ゲート】」

「え?」


 俺は結界変形、補助式の【転移ゲート】を使う。

 薄くのばした、鏡のような結界を通り抜ける。


 すると、ここへ来る際に立ち寄った草原へとやってきた。


『いやいやいや! おまえさまよ!』


 ずっと黙りこくっていた、猫姿のカーミラが言う。


『なんじゃいまの!? 転移魔法か!?』

「バカかおまえ? 俺が結界魔法しか使えないのもう忘れてしまったのか?」

『バカじゃない! わらわは誇り高き吸血鬼じゃ!』

「いや、言ったこと忘れるのはバカだと思うんだが……」

『おまえさまがイカレタ行動をとるからじゃろうが!!!!』


 イカレタ行動……?


「いやでも、転移魔法は存在するだろ、この世に」

『そうじゃけども! それを結界で再現してるおぬしがオカシイって言ってるのじゃ!』

「? まあ確かにおかしいけど、それがどうしたんだ?」

『人の感情が無いのか貴様ぁああああああああああああああああああああ!?』


 吸血鬼に言われるとは、心外だ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 今も昔も、できるわい できんわいでは?
[気になる点] 別に冒険者としての活動は隠していなかったなら、王都でこの実力が評判になっていなかったの? 非常識な行動を連発していたのに王子様も側近も誰も知らないのは無理があるでしょう。
[一言] 主人公のセリフ 結界魔法しか使えない が 結界魔法死活飼えない になってますよ
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