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01.結界師は追放される、最強なのに…

こちらは、短編

『最強【結界師】の気ままな新婚旅行〜弱すぎる味方に最強結界を施してたのに、自分が強くなったと勘違いした勇者に追放された。効果が永続じゃないと気づいても遅い、俺を溺愛してくれる幼馴染と旅してる』

https://ncode.syosetu.com/n0188ig/


↑を改題した、連載版です。


新規エピソードは4話からです!

「【リクト・ガードマン】。結界魔法しか使えぬ欠陥品は、完璧なこのボクには必要ない。出て行け」

「……………………え?」


 ダンジョン攻略を終え、近くの街へ戻る最中の出来事だ。

 パーティのリーダーから、突如として追放を言い渡されたのである。


 俺……リクト・ガードマンはあまりに突然のことで、呆然としてしまった。


「ボクの話を理解できなかったか? おまえはこのパーティにふさわしくないから、出て行けといったのだ」

「あ、……え? ど、どうして……だ?」

「明日からボクはお供どもを引き連れ、高難易度ダンジョンを攻略しようとしてる。だが今のままだと攻略は難航するだろう。どうしてかわかるか、リクト・ガードマン?」


 俺への嫌悪感を丸出しにしながら、そう言い放つのは、パーティのリーダー……【オチブレル】殿下。


 オチブレル=フォン=ゲータ=ニィガ。

 この国の王太子であり、勇者の職業ジョブを持つ男。


 職業ジョブとは生まれ持って天から授かる恩恵のことで、かつて魔王が生きていた頃は、魔王を倒す使命を帯びた存在だった。


 だがそれも魔王が滅びた今では、単なる称号でしかない。

 ゲータ・ニィガ王国の現国王は、いずれ王となるオチブレル殿下に、箔をつけるため、現在はパーティを組んでダンジョン攻略をさせているのだ。


 宮廷魔導師である俺は、王命により、殿下が怪我しないようにと、護衛としてついてきているのである。


「おまえのような、足手まといの欠陥魔導師がついてきているからだ」


 欠陥魔導師。

 俺についたあだ名だ。


 俺は1つの魔法しか使えないのである。

【結界魔法】。


 文字通り、結界を作る魔法のことだ。

 どういうわけか、俺は生まれつきこの結界魔法しかつかえないのである。


「ボクは十二分に強くなった。もはや、貴様の防御など必要ないくらいにな。おまえも見ただろう? ボクがダンジョンのモンスター達を華麗に、一撃で倒していく様を! 一度だって反撃を受けたか?」

「いいえ……」

「そうだろう! 天下無双の剣の腕を持つボクに、結界なんて無粋な物は必要ないのだ!」


 オチブレル殿下の手には、国宝である聖剣が握られている。

 たしかに聖剣を装備したオチブレル殿下の攻撃力は、【並のモンスター】など一撃で倒してしまうだろう。


 だが……俺は彼の言葉を否定する。


「オチブレル殿下、聞いてください! 確かに俺は結界を張る以外何もしてない……足手まといと思われてもしょうがないかもしれません。ですが……」

「うるさい! 貴様が結界張るしか能が無いのは事実だろう?」

「……そう、です。ですが……俺の結界は……」

「言い訳は無用!」


 ぴしゃり、と言葉を遮られてしまった。

 殿下は、気づいていないのだ。


 俺の結界が、【防御だけ】の代物ではないということを。

 いや、説明したはずだが……これは……。


「殿下。俺は、あなたのために働いております。たとえば野営の際、俺の張った結界のおかげで魔物が近寄ってきません。それに殿下やお供たちの体には結界が張ってあります」

「はッ……! 結界を体に張るだと? 馬鹿馬鹿しい」


 殿下がさげすんだ目を俺に向けてくる。


「結界魔法というのは、ドーム状のバリアのことだろう? 魔法教本に載っている、初歩の魔法だ。魔力さえあれば誰でも使える」

「はい。そのとおりです。基本の魔法です。ですが俺は、結界を応用して、いろんなことができるのです。それで俺はあなたを支えてきました!」


 というか、ちゃんと説明したはずなんだが……。


「馬鹿馬鹿しい。体に張る結界などきいたことない。結界がボクを支える? そんな恩恵を感じたことは一度も無いぞ」

「そんな……」


 ふんっ、と再度殿下がさげすみのまなざしを向けてきた。


「平民出身で、魔法の才能を見抜かれて王立学園に推薦入学し、歴代トップの成績で卒業、最年少で12人しかいない宮廷魔導師の一人になった天才ときいたが……蓋を開けてみれば結界しか能の無い欠陥品とはな」


 確かに、俺は他の宮廷魔導師と比べると、使える魔法の数は圧倒的に少ない。

 なにせ結界しか使えないのだから。


「ですが……俺は、あなたたちが安全に旅を続けられるように、ずっと頑張ってきたんです……」

「必要の無い結界を施してただけだろう? というか、貴様ほんとうに魔法をかけていたのか?」

「ど、どういう……」

「結界など、目に見えぬではないか」


 殿下の言うとおり、結界とは通常目に見えぬものだ。

 なにせ基本は光のドームなのだから。


 張ってあるぞといわれても、なかなか効果が実感しづらい。

 もっとも魔法に対する適性が高い人は、結界を視認できるんだけどな。


「聡明なるボクは気づいていたぞ。結界を張っていると嘘をついて、ついてきてるだけだと。目的はボクのお供としてついてくることで、支払われる、莫大な金だろう?」

「……! た、確かに……このパーティに参加したのは、金が目的です……」


 魔法学校を卒業した俺には、結構な数の就職先があった。

 その中で宮仕えしたのは、安定した給料が手に入ること。


 そして、殿下のお守りをやろうと思ったのは、そのことでもらえる多額の補助金が目当てだ。

 だが決して、俺はその金を自分のために使っていない。


「ふん! 金が欲しいか、卑しい奴め。仕事もせず、大金をもらうなんてな」

「その金は、家族のために……」

「家族? はっ! 貴様は孤児だろう。家族なんていないではないか」


 確かに俺は孤児だ。

 王都外れの村にある、孤児院で育てられた。


 その孤児院に、全額寄付しているのである。

 貧乏な孤児院なのだ。

 だから、金が必要なのだ。


「…………あ、あの! 皆さんはどう思いますかっ?」


 俺はお供……パーティメンバーを眺めていう。

 しかし彼らは……。


「嘘ついて国の金を着服するなんてな。最低だなおまえ」

「どうせ宮廷魔導師も、裏で金を使ってなったんだろ?」

「魔法が1つしか使えない宮廷魔導師なんて前代未聞だもんな」


 ……駄目だ。

 他のパーティメンバーたちも、俺のことを認めてくれていないようだ。


「そんなわけだ、リクト・ガードマン。貴様は今日限りでボクのパーティから追放。そして、国外追放とする!」

「は、はぁ……!? こ、国外追放!?」


 そんな……!

 理不尽すぎる……!


「どうして!? 何かしましたか俺!?」

「貴様はボクをだましていた。そして国民の血税を不正に着服していた。ただ役に立たないだけならまだしも……そんな風に嘘をついてまで、私腹を肥やそうとした。そんな大罪人を、この国においておくわけにはいかぬ。即刻、立ち去るがよい……!」


 そんな……。

 そん、なぁ……。


「猶予は今日より10日後。10日経ってまだ国に居るようならば、捕まえて罪人として処刑する。それまでに荷物を持って国を出るのだな」


 ……。

 …………。

 ……………………はっ!


 気づけば、辺りが暗くなり、雨まで降っていた。

 ショックで今の今まで、茫然自失としていたらしい。


「嘘だろ……パーティ追放のうえ、国外追放だって? そんな……」


 追い出されたら、大変だ。

 孤児院はこの国にある。


 国を出て行けってことは、もう二度と家族に会えない。

 そして、もう二度と……あの子に会えない。


「そんなのは、嫌だ! なんとかして、追放処分を取り消してもらわないと!」


 取り急ぎ、俺は王都へいき、国王陛下に会いに行くことする。

 父親の口からきちんと説明してもらえれば、オチブレル殿下もわかってくれるはずだ!


 そのときだった。


「ギャオオォオオオオオオオオオオオオオオ!」


 空から突如として飛竜ワイバーンが襲ってきた。

 森の中だから、魔物が襲ってきても仕方ない。


 飛竜は素早い動きでえさに近づき、丸呑みしてこようとしてきた。


「【結】」


 がきん!

 かみつこうとした飛竜の牙が、全て……粉々に砕け散った。


 俺の体を、透明のドームが包み込んでいる。

 これが、結界魔法。その基礎の形だ。


 飛竜は確かBランク、だったか。

 その程度じゃこの【一番弱い結界】すら破壊できない。


「悪いが急いでるんだ」


 俺は右手を前に突き出す。


「結界変形……攻式こうしきの五、【パイル】!」


 ドーム状の結界が変形する。

 細長い杭となって、勢いよく伸びる。


「ごぎゃ……!」


 飛竜の口に透明の杭が突き刺さり、体を貫通する。


「ぐ、ぎゃ……」

「まだ生きてやがるのか。結界変形。攻式のニ【ブレイド】」


 透明な杭が、今度は無数の刃に変化。

 飛竜をズタズタに切り裂いた。


 そう……確かに俺は結界しか使えない。

 だが結界は意外と応用が利く。


 防御だけじゃない、攻撃に転用することができるのだ。


 それが、攻撃用結界、攻式。

 ほかに防御用結界の防式、補助用結界の補助式がある。


「ごぎゃああああああ!」「ぎゃああああああ!」「ぐぎゃぎゃあああああああああ!」


「飛竜の群れ! ったく! 急いでるときに!」


 ……確かに俺は欠陥魔導師だ。 

 結界しか使えない。


 だが、1つしか使えないからこそ、俺はそれを極めたのだ。


「結界変形、奥義のニ、【    】」


 ドガァアアアアアアアアアアアアアアン!


 ……奥義を発動させたあと、飛竜の群れは、1匹残らず消し飛んだのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 這一篇的短篇已經刪除了喔
[気になる点] 結界なのに、攻式あります、そしてわざわざ「一つしか使えない」「防禦しかない」と言えます。
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