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「師匠」
小さき少年は、自分より大きな青年を見上げる。
「きみは、何も迷うことはない。昨日・・・きみが心に決めた目標に向かって突き進むんだ。」
青年は、優しい笑顔で少年に呼びかける。
「きみは、今から賢者を名乗るんだ。きみは私より賢いし、やさしく・・・たくましい・・・絶対に成し遂げられる心を持っている。」
青年が少年の頭に触れ微笑みかける。
「さあ、みんなが待っているよ。今度はきみが導くんだ。」
少年が後ろを振り向くと、少し離れたところで心配そうにこちらの様子を見ている少年少女たち。
「さあ、みんなが待っている。」
青年の触れている手の震えは、少年に伝わっていた。
「いってきます・・・必ず、必ず成し遂げてみせます。師匠。」
少年は青年の手から放れ歩き出す。