第五話、ふかふかベッドと、ちうっとドロン
「ん?」
違和感で声を上げる。
両腕を掴まれてるから動けないし、
ベッドで上に乗られてるから
逃げられないけど、これは。
「いたっ」
チクリと首筋に痛みが走る。
これはもしかして。
カルアが顔をあげて、一息つく。
開いた口からキバが見えて、
血が垂れていた。
「今、血吸った?」
「もう、終わりました」
その状態で数秒、私の顔を眺めてから、
カルアは体を起こした。
「これだけで済んで、
良かったと思ってください」
ベッドに座って、
まったく……
と、呟いて自分の羽根をなでる。
今まで私が撫でまくっていたから。
「ど、どのくらい、吸ったの」
「ただの一口です、すぐ戻ります。
でも、しばらく寝ててください」
「なんで吸ったの?」
「欲の変換です。食欲に変換したので」
つまり、性欲を食欲に代えた、
とかそんな感じだろうか。
「人間は、魔獣にとって、
すこぶる『おいしく』できています」
ボン、とカルアは煙と消え、
ベッドで寝転ぶ私の、真上に現れる。
「いいですか。自覚なく触りまくったら、
いつか『喰われ』ますからね」
私の顔の横に手をついて、
だいぶ近い距離で。
あ、顔がだいぶ怒ってる。
「そ、それはどっちの意味で?」
「どっちの意味でも困るですよ!」
またカルアは消えて、
ベッドの端で現れる。
自分の羽根をなでながら
ため息をつく。
「大体、あなた、
自分だけ気持ちよくなって。
我慢するこっちの身にも
なってください」
「……すみません」
「まぁ、分かればいいです。
別に私も、嫌なら消えれば良いだけで」
「え?」
「本来、あなたの体はご主人様の物で、
私なんかが手を出せない。
こういうのは頻繁にされたら困ります」
私は体を起こして
「たまになら良いの?!」
と、そこに座っている男に言って、
「はぁ?」
と、心底嫌そうな顔で返された。
数秒、こっちを見ていたカルアは、
あきらめて息を吐きだし、
「まぁ、たまになら良いです」
「やったあ」
「嫌な時は容赦なく消えますからね」
と、またため息をつく。
「あとあなたの近くにいる、青髪。
白羽根の風使い」
「あぁ、ラウル?」
「アレには気を付けてください」
「え? 襲われないように?」
「そうじゃなくて、
気を許さないほうがいいです」
「なんで? 良い子だよ」
「あなた、彼のナニも知らないでしょう」
まぁ、そうだけど。
「考えてください。
本物の、アスナ本人が、
最近彼に、冷たくなった。
本当に彼が良い子なら、
嫌う理由は無いでしょう」
確かに。
でもそれは思春期の
よくある恥ずかしさで。
「ま、別に良いです。
私は、前の、アスナ本人の違和感を
引継ぎしただけなので」
そう言って、カルアは立ち上がる。
「じゃ、そろそろ消えます。
くれぐれも、その身体、
大事にしてくださいね」
ボンと黒い煙になって、姿が消えた。
やはり魔法みたいだ。
どんな仕組みなのか、あとで聞こう。
1人になった部屋で、
立ち上がって首筋をなでる。
跡になってたら嫌だなあ、
と思いながら
クローゼットを開ける。
パジャマを見つけて、
着替えるために上着を脱いだ。
「あ、言い忘れてましたが」
「ひゃあおう! え? ちょ」
「私、いつでも現れられるんで」
「ちょ! カルア!
わ、私、今、うえ、服きてない!」
「私、あなたが着替えてる時でも、
シャワーの時も、トイレでも、
大口あけて寝てる時も、
ムダ毛処理してる時だって、
いつでも、出現できるんで!」
「信じらんない!最低!
それ言う必要あるの?」
「別に、ただの仕返しです」
「最低! 性格悪い! ネクラ!」
「なんとでも言ってください。じゃ」
そういって、ボンと煙になって消えた。
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【今日のキャラクター紹介!】
『カルア』
スーツで、長身、黒髪、手足長い、
コウモリ翼。敬語執事系
猛禽類種の使い魔族
主人に忠誠を誓うけど、ミスはなるだけ
自分でなんとかしようとする方。
めんどくさい、嫌だ、悔しい。
みたいな態度をすぐする。
顔が赤くなったりはしない、
分かりずらい。
時々眼鏡をかける。
カルアの今後の活躍にご期待ください。
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『次回予告』
「ねぇ、アスナ。
そのキスマークは誰が付けたの?」
「え?」
「昨日、アスナをベッドに押したおして、
そこにキスしたのは誰なの?」
「ラウルさん顔が怖いです!
ちょ、魔法!」
毎日更新!
今日も、
お仕事お疲れ様!
モフモフー




