第三話、スーツで長身でコウモリ翼
生徒の宿舎のうち、
私の部屋だけ離れていた。
「女子生徒、アスナだけだから」
部屋まで歩きながら、
ラウルが教えてくれる。
「たしかに、みんな男子だった。
どうして?」
「ビーストテイナーは、通常、
男しかならないし、なれない」
「なんで?」
「それはわかんないけど、
たぶん、そういう伝統?」
なるほど、どこの世界にも
そういうのはあるのか。
「だから、君のお父さん、
クラウジット卿が、
委員会と話をつけたんだ」
「ジルが言ってたコネ入学って、それ」
「あ、でも違うよ。
アスナはちゃんと試験受かったし、
コネとかじゃないよ。
勉強は誰よりできるし」
「勉強って、座学あるの?」
「そりゃ、あるよ。もうすぐテストだし」
「ヤバい! 何も覚えてない!」
「えぇ? 混乱魔法で?」
「全部忘れた」
「もうー。明日、教えてあげるよ、
アスナならすぐ暗記できるよ」
「ラウルありがとーーーーー!
もう、いい奴! 幼馴染サイコー」
抱きついて頭をガシガシなでる。
愛されてるって素晴らしい。
「ちょ、あ、あの、アスナ?」
「え? なんで顔真っ赤なの?
昼間お姫様抱っこしたじゃん。
昔からよくしてたんでしょ」
「いや、そうだけど……
最近アスナ冷たかったし、
その久しぶりで」
「あ、そうなの? 年頃かな」
アスナちゃんはそういうの
気にする頃だったのか。
「いやでも、僕は構わない、
ていうか、なんていうか」
「あ、そうだ羽根ってさ」
「え? なに」
「羽根って、もしかして
触られると気持ちわるい?」
「あ……えっとね、」
「ん? なんで顔赤いの?」
「気持ち悪いていうか……
良いは良いんだけど、
敏感っていうか……」
「え?」
「なんか、止まらなくなって、
おかしくなって」
「……あ、もしかして、感じるの?」
ラウルがコクリと頷く。
マジか! 性感帯なのか! うわー……
「そりゃあ、四枚羽根の彼も
あんな事いうよねー。
私、だいぶマズイ事言ったのね」
「そうだね。いきなり触りたがると
驚くかも」
「だよねぇ……」
モフモフの羽根……触りたかった。
「あ、この部屋だよ、アスナの部屋」
飾りのない扉を開けると、
同じくシンプルな
内装とベッドが見えた。
「一人で大丈夫?
トイレは廊下の突き当り」
「うん、送ってくれてありがとう。
明日は?」
「朝8時に迎えにくるよ」
「ありがとう! 嬉しい!」
「いや、それはいつもなんだ。
アスナ1人じゃ起きれなくて」
「あ、そうなんだ」
「でも、お礼言われたのは、
初めてかも……嬉しい」
どんだけ高慢ちきなんだ
アスナちゃん。
「でも。本当に何も覚えてないんだね」
「いやー、混乱魔法つらいわー」
「別れる時はいつもキスしてるんだよ、
て言えばよかった」
「君のその、バカ正直な所、
めっちゃ可愛い」
「じゃ、おやすみ。また明日」
「おやすみー」
帰っていくラウルに
手を振って、部屋の中に入る。
電気は付く。電気はある。
ベッドと、クローゼットと、
鏡付ドレッサーのシンプルな部屋。
ビジネスホテルみたい。
「あ、そうだ」
鏡の前に立ってみる。
そこには、金髪の
ぱっちりした目の若い子がいた。
「おぉー、カワイイじゃないですかー
アスナちゃん」
化粧してないはずなのに、
肌がつやつや、唇ぷるん。
若いって素晴らしー!
私が数年の社畜生活で失った、
健康的な若さと可愛さが、
そこにはあった。
「いいねぇ、可愛いねぇ」
ありがとう神様。
私はこの世界で青春を謳歌します。
「そうですか、お気に召しましたか」
鏡に男が映り込んで言った。
「だ、誰?」
振り返ると、すぐ横に
スーツを来た長身の男がいて。
その背中には、真っ黒の
コウモリみたいな羽根があった。
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【今日のキャラクター紹介!】
ラウル(セカンドネームなし)
青髪、白の二枚羽根、べったり系幼馴染
良い奴だけど、強い訳ではなく
感情で能力が左右される。
勉強も魔獣の扱いもそこそこ
拾われっ子の親なし、と
酷い事、言われてたけど、真相は!
アスナ、大好きっぽいけど、なんで?
ラウルの今後の活躍にご期待ください
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『次回予告』
「あなたがいけないんです。
私はちゃんと忠告しました」
「誰?!」
「責任は取ってもらいます、
ご主人様」
「だから、誰?!」
毎日更新!
今日も皆様、
お仕事お疲れ様!
モフモフー




