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第二十一話、こんじきのモフモフ

 金色の、大きな狼だ、

 見上げる位置に顔がある。

 キバを見せて、こっちを威嚇してくる。


「死にそうになったら、

 助けてやるからなー。

 腹を噛まれたくらいで」


 だから、まったく安心できないんだよ!

 バカ兄ぃぃぃぃぃぃ!


 狼は大きくて、

 キバも爪も鋭くて、

 なにより……モフモフ!


 なにあれ、モフモフ!

 金色で、フワフワで、

 さ、さーわーりーたーいー


 バサっと、遠くから羽音が聞こえた。


「あ、アーク様! これはいったい!」


「おぉ、ラウル! 早かったな。

 お前は手を出すなよ」


「え? だって、アスナが……

 このままじゃ!」


 私はラウルに手を伸ばして叫ぶ。


「大丈夫! そこに居て!」


「え? だって!」


「それより、水!

 汲んできたんでしょ? 投げて!」


「え?」


「早く!」


 ラウルが革袋を投げる。

 それをキャッチして、キャップを外す。


 足元で、

 まだ燃えていた

 上着にかけた。


 ジウと、湯気と煙が上がって、

 火が消える。


 火の粉が飛んだあたりにもかける。

 延焼しないように。

 燃え広がらないように。


 それを、狼は

 キョトンとした顔で見てる。


「ごめんね、ビックリしたよね」


 体を大きくするのは、

 怒ってる時じゃない。怖い時だ。

 ココのしっぽが、膨らんだみたいに。


「もう大丈夫だから、落ち着いて」


 片手を水で濡らして、差し出す。

 狼がゆっくり近づいて、

 手の匂いを嗅ぐ。

 噛まれる恐れもあった。


 でも不思議と怖くない。

 怖がらない。

 相手に伝わるから。

 見下さない。

 相手も大事な命だから。


 ペロと、私に手をなめる。

 水分をなめとるように。


「水、飲む?」


 革袋から、手の平に水を流して、

 好きなだけ嘗めさせる。

 金色の大きな狼はぺろぺろと水をなめ、

 やがて、金色に光り出した。


「お? おぉ……」


 光が収まった時には、

 通常の犬くらいの大きさになってて、


「本当はそのくらいなのね」


 大きく見せてただけなのだ。


「アン!」

 と、ひとつ、狼が鳴く。


「え? いいの? 触って、いいの?」

 金色の、ふかふかの毛並み……

 私はその狼の胸から、あご、頭を

 順々に撫でまわす。


 ふかふか、モフモフ!

 これはモフモフだ!

 す、素晴らしい!


 狼がニコニコして、

 嬉しそうに鳴く。

 私はふかふかの毛並みに

 顔を埋める。


 モフモフー! しーあーわーせー。


「アスナ……すごい」

 ラウルが呟いて、


「うん。友好的使役、成功だ。

 すごいぞ! アスナ」

 アークが満足そうに頷いた。


「あ、アスナ、あの、その恰好……」


「へ?」


 必死で気が付かなかったが、

 上はキャミソール姿で、

 ブラジャーが透けて、

 肌も体のラインもはっきり分かる。


「ひゃあ! ちょ!」


 ラウルが顔を赤くしながら、

 自分の上着を着せてくれた。


「すごいぞ。アスナは成長したなぁ」


「お兄様!

 ステージ3とか言いませんよね」


「言わない言わない。

 お詫びにお兄ちゃんが、

 新しい服と好きな物を買ってやろう」


 悪びれてないから問題なんです!


 狼を抱っこしながら、

 息を吐くと、

 腕の中で、クゥーンと声が上がる。


「心配してくれてるのー。

 可愛いねーお前はー」


 抱っこしながら、

 スリスリと顔を押し付ける。

 あー、良い香りーー

 そうだ。


「お兄様!

 この子飼ってよろしいですか?」


「え? うん。下級生でも、

 申請して費用を払えば、

 一体なら使い魔獣に出来る。

 兄ちゃんが話をつけてやろう」


「やったぁ! 私、猫飼うのが、

 死ぬ前の夢だったんです」


「ちゃんと責任持てよ。

 大事な命だからな」


「もちろんです!」


「まぁ、猫では無いが……

 フォールンでも無いな。良くみると」


 ん?


「これは、ティラバラスだ」


 ティラバラスって……テストで出たな。

 確か、犬に似た小型の魔獣で……


 腕の中で、金色の光が漏れる。


「うわっ!」

 腕の中が、いきなり重くなって、

 私は後ろに倒れた。


「ティラバラスは、人に、化ける」


 金髪で裸の男の子が、

 私の胸の上で微笑んでいた。


「へ!? え?」


「おぉー、俺に擬態したな。

 俺の子供の頃にそっくりだ」

 アークが嬉しそうに頷く。


 ど、どうりで、美少年のはずです!


「って、裸なんですけど!」


「名前は、兄ちゃんの、『二』とアスナの『ナ』で、『ニーナ』だ」


「勝手に名前を付けないでくださいな」


「アン!」


 男の子が嬉しそうに笑って、

 私の胸にギューっと抱きついてくる。

 ちょ! この体勢、

 なんか誤解受けそう!


「気をつけろよ。ティラバラスは、

 人に、化け、そして……」


 あれ?なんか、目の前、チカチカ……


「身体から毒を出す」


 へ? あ……


「アスナ! 大丈……」


 そのまま意識が飛んだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 『次回予告』


「うん、可愛い」


「こんな可愛い顔にする必要ねぇだろ」


「トイレは止めて!」


「ダ・メ・だ・よ」


 毎日更新!


 今日も

 お仕事お疲れ様!

 モフモフー

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― 新着の感想 ―
[良い点] まさかの全裸ショタ!? ここで来たか(笑)!!
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