表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レクイエムって興味ありません?  作者: 夢のもつれ
4/10

4.詠唱:TRACTUS

 グラドゥアーレ以上にトラクトゥスは独自に作曲されることが少ないものです。私がこれまで聴いた中では、オケゲム(ca.1490年)、ド・ラ・リュー(1507年)、ラッスス(5声部、1578年)、ミフナ(1654年)しかありません。


 罪によって死者が拘束されていて(罪の縄“vinculo delictorum”)、そこから神によって解放されることを祈る内容となっています。ただし、オケゲムとド・ラ・リューは、トリエント公会議・ローマ典礼書以前ということからか、これとは異なり、詩篇42章の「鹿が谷川の流れを慕いあえぐように、神よ。私の魂はあなたを慕いあえぎます」で始まる一節が使われています。個人的には、原罪や死後の報いを強調したような新しいものはレクイエムにふさわしいのかも知れませんが、内容的には巧みな比喩によって神を求める心を示した古いものの方が好ましく思います。


 次のセクエンティア(ディエス・イラエ)の際に詳しく触れることになると思いますが、文学的イメージを手がかりに多くの優れた音楽が生み出されてきた歴史を見るにつけ、もとの歌詞であれば「渇き」というイメージから、もっとトラクトゥスも作曲されたようにも思います。


 ラッススは4声部のレクイエムも書いているそうですが、残念ながら未聴です。彼は多くの宗教曲だけでなく、世俗曲も多く書いていて、マドリガルやシャンソンなどが美しい多声部のアカペラで聴くことができます。



  TRACTUS

 Absolve, Domine, animas omnium fidelium defunctorum

 ab omni vinculo delictorum.

 Et gratia tua illis succurrente,

 mereantur evadere judicium ultionis.

 Et lucis aeternae beatitudine perfrui.



  詠唱

 主よ、亡くなったすべての信者の魂を、

 罪の縄目から解き放ってください。

 主の恩寵の救いによって、

 彼らを報復の裁きを免れるにふさわしい者とさせてください。

 彼らに永遠の光明の幸福を味合わせてください。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ