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プロローグ

不幸。

それは幸せの反対。ほとんどの人間に起きる自然現象のようなもの。

更に言えば、機械などでは測定も観測も出来ない未知の現象のようなものだ。

そして俺、灰楽(はいらく) 空斗(あきと)は十中十100人中99人が認める『不幸な人』だろう。

5歳のとき、両親が事故で死んだ。家族で車で出かけている最中、赤信号で止まらなかったトラックに衝突され、前方の座席はぐちゃぐちゃ。両親は血塗れになり死んだ。今でも両親の飛び散った血が、脳内にこびりついている。

幸いと言うべきか、後方に座っていた俺は軽症で済んだ。

しかし本来ならば他の親戚に引き取られるはずが、何故か両親には親戚らしい親戚がいなかった。

結果、俺は8歳にして独り暮らしを始めた。

ここまでは、誰にでも起こり得る『不幸』だろう。

そのときは助かることに料理や洗濯は覚えており、更に両親はかなりの金持ちであり保険金も入って来たため当初は生活に困ることはなかった。

しかし変化が訪れたのは、両親が死んでから二ヶ月後ほど。

うちのドアの前に、一人の男が現れた。

父の兄を名乗るその男は、遺産の全てを受け渡せと言った。当然そんなことを俺が許すはずもなく、俺は『遺産は俺のものであり、お前には関係ない。帰れ』といった。実際今まで一度も会ったことがなかったのだし、なんの拘束性もないのだからそう言うのは当たり前だろう。

結果、次の日に腹を刺された。

悪運が強いと言うべきか、あまり深く刺さってなかったため内臓に目立った傷はなく、近くにいた住人に助けられ俺は一命を取り留めた。

しかしまだ、ここまではあり得るだろう。

ここからが、不幸のラッシュだった。

トラックに轢かれかける『48回』

軽自動車に轢かれる『12回』

鳥の糞が落ちてくる(避けた)『424回』

カラスに弁当を盗まれる『37回』

カツアゲにあう(バトった)『83回』

等々。これが高校に上がるまでの不幸の回数である。

常に不幸のオンパレード。不幸不幸なんでも御座れと言ったレベルの不幸さ。正直意味がわからないレベルで不幸だった。

しかも中学に入り、なまじ勉強が出来てしまったせいでガリ勉と罵られ、いじめにあった。(普通に反撃した)

そんな中で進学した高校。そこで俺は2年生になり、学年一の美女と言われる同級生の『櫛木(くしき) 綾香(あやか)』に告白された。

そして俺は告白を受けた翌日…………………櫛木綾香親衛隊を名乗る奴らに撲殺された。

いやマジでさ？後ろからドカンといっぱつ大石投げよ？そりゃ死ぬわ！血の花火だよ！つか生きてるほうがおかしい！

そんなわけで、俺は死にました！

え？じゃあなんで意識があるんだよって？

それはなぁ…………………

「誠に申し訳御座いませんでしたぁ！！」

目の前で、神々しいオーラを纏った幼女が、全力で土下座しているからである。

「誰が幼女ですか！！」

「うおっ？！」

こいつ、今ナチュラルに俺の考えを……………

「ふふん！恐れ入りましたか！私は女神なのですから！私があなたの考えてりゅぇ？！！」

豆が鳩鉄砲を食らったような声を出す幼女。その姿を見た俺は、腹を抱えて笑い始める。

「アッハッハッハッハッ！ザマーねぇな自称女神の幼女！俺が何度不幸に出会ってきたと思ってんだよ！

トラックの音が消えるまで待ち、消えたと思っても3度辺りを見渡し更に道の真ん中でサイドステップを噛ましてきた俺に抜かりはない！

思考を読み取るなら結構！俺はお前の先を征く！お前が思考を読もうとした瞬間脳内をおぞましい量の芋虫に変えてやるわっ！」

「分かった！分かりましたから！芋虫地獄はやめてぇ！」

「まぁ分かればいいんだよ。分かればな。人の心を読むなんてプライベートの侵害だぞ？強制的に裸にされるようなもんだし。それで？さっきはなんで土下座してたのよ？」

「ハッ？！そうだった！」

この子、アホの子なんかな？

「えーーっと、灰楽空斗さん！あなたは死にました！」

「知ってるけど」

「ご存知の通り、あなたは後ろから大石を投げら…………………いまなんて？」

「いや、だから知ってるけど。やっと幸運が訪れたと思ったら後ろから花火のようにドカンといっぱつ血飛沫の花を咲かせたのくらい覚えてるぞ？いやぁ痛かったなぁ。ぶっちゃけ腹を刺されたときくらい痛かった」

「ぅぐっ！」

「思えば今までの人生不幸だらけ。穴に落ちたり川に落ちたりトラックに突っ込まれたり蜂の巣が落ちてきたり………………アレ？もしかしなくても俺めちゃくちゃ不幸な人生だったんじゃね？」

「ぐはっ？！す………………すいませんでしたああああぁぁぁ！！」

ん？

「いや、なんでお前が謝ってんの？俺がただ不幸だっただけだろ？」

「それが……………………」

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「ふむふむ、つまりお前らが暇つぶしに30人分の不幸を押し付けたのが俺で、中々死ななかったのは身体能力と動体視力のスペックを最大限に引き上げていたから、ということか？」

「はい…………誠に申し訳御座いませんでした…………」

神の説明によると、神のルールとして本来1人に与えられる不幸の量があるらしいのだが、その量を俺に30人分押し付けたらしい。

それ故に俺があんな不幸だった…………らしい。

「て、それ俺めちゃくちゃ可哀想じゃない？」

「おっしゃるとおりです！で、ですので、代わりとして異世界の方に転生を…………」

んーー………………今なんと？

「今さ、異世界って言った？」

「はい！日本人なら誰でも大好きな異世界転生です！」

「絶対嫌だ！！」

「えぇぇ？！！なんでですか？！異世界ですよ異世界！」

いや、なんでって言われても……………

「それ、絶対異世界ついた瞬間変なとこに飛ばされたりゴブリンに突かれたりドラゴンに食われたりして死ぬやつじゃん。やだよそんなの」

「そ、そこは大丈夫です！この場所に来た瞬間魂の不幸レベルがリセットされるので、あなたは安心して異世界に転生できます！」

ふ、ふーーん。でも俺は信じないぞ？てか生身で行ったところで死ぬだろ普通に。

「まぁ、不幸については分かったが、力がないと異世界に行っても速攻死ぬだろ？何かないのか？」

「そこもご安心ください！異世界に行く前に所有する武器、スキル、種族を決めるガチャがあります！今回はお詫びとして本来5回しか引けないところを50回に増やします！どうです？安心でしょう？」

ガチャ……………だと？！

「無理無理無理無理安心出来ない！ガチャ以上に信用出来ない物はないってレベルで安心出来ない！」

「じゃあもう100回でいいですから！！お願いします！ガチャ以外に力を決める物がないんです！」

「えぇ……………じゃあもういいよ」

ガチャなんて100回引いても意味ない気がするんだけどなぁ………………

「じゃあまずは武器です！このレバーを引いてください！」

幼女がそう言うと、目の前にレバーが現れる。

俺がそれを引くと、ガチャガチャという音がなり、目の前に結果画面が現れた。

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神級武器ミストラル

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「……………………なぁ幼女。俺の目が腐ってなければ全部同じ武器に見えるんだが」

「デスねぇ……………あと幼女って言わないでください」

イヤイヤイヤ、これはおかしい！！神級って何？！こんな正月のバーゲンセールみたいに出るものなの？！

「一応言っときますけど、神級武器は一番レアですからね。それに一番確率が低い超レア武器です」

「うん。100本もいらないよね？」

「ミストラルは神が何人かで創ったネタレベルの最強の武器で、自動攻撃、物魔攻撃、不壊、成長、神化の能力があります。」

「うんもう俺いらないよね？」

「攻撃力も神竜を1撃で吹き飛ばすくらいあります」

「うんもうホントに俺いらないよねぇ？！」

「そうだよいらないですよ！」

「と、とりあえずゲームの限界突破みたいに重ねといてくれないかな？100本もいらないし」

「そんなことできる訳…………出来ちゃいました……………」

「自分で言っといてなんだけど出来ちゃったかぁ…………………」

「もう疲れたんで早くスキルに行きましょうか………………」

「そうだなぁ…………」

幼女が指を鳴らすと、再度レバーが現れる。俺はそれを両手で掴み、疲れ気味に引いた。

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強奪

倒した相手の全てを奪える。

経験値倍加

獲得した経験値を1000倍にする。

アイテムボックス

異空間に持ち物を収納する。容量は無制限、中身はリスト化され目視できる。ドロップ品を自動で収納する。

神眼

全てを見通す。流石に未来は無理。

物理攻撃無効 5

物理的な攻撃を無効化する。

魔法攻撃無効

魔力に準ずる攻撃を無効化する。

状態異常無効

状態異常を無効化する。

精神攻撃無効

精神への攻撃を無効化する。

論神

話し合いがめちゃくちゃ強くなる。

言語理解 10

ありとあらゆる全ての言語を理解し、書けるようになる。

絶倫

オークの精力の1万倍になる。

完全美貌

めちゃくちゃ美しくなる。

完全自動回復

怪我をしてもすぐに治る。

魔力無限

魔力が亡くならなくなる。

不老不死 15

死ななくなり見た目も変わらなくなる。

炎神

火属性の魔法全てを使えるようになる。

水神

水属性の魔法全てを使えるようになる。

風神

風属性の魔法全てを使えるようになる。

地神

地属性の魔法全てを使えるようになる。

光神 20

光属性の魔法全てを使えるようになる。

闇神

闇属性の魔法全てを使えるようになる。

聖神

聖属性の魔法全てを使えるようになる。

邪神

邪属性の魔法全てを使えるようになる。

氷神

氷属性の魔法全てを使えるようになる。

料理神 25

作る料理がめちゃくちゃ旨くなる。バフが大量につく。

創造神

生命以外のありとあらゆる物を創れる。

召喚神

なんでも召喚できる。

幸運神

めちゃくちゃ運が良くなる。

幸運操作

運気を操れる。

釣神 30

なんでも釣れるようになる。何処でも釣れるようになる。釣り竿が出現する。

武神

力がめっちゃ強くなる。

魔神

魔法がめっちゃ強くなる。

技神

作るのがめっちゃ上手くなる。

剣神

剣を扱うのがめっちゃ上手くなる。

槍神 35

槍を扱うのがめっちゃ上手くなる。

斧神

斧を扱うのがめっちゃ上手くなる。

銃神

銃を扱うのがめっちゃ上手くなる。

体神

体術がめっちゃ上手くなる。

2話目にて話します。明日更新予定