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王弟のマリアベルは弔い、王太子のマリアベルは涙ぐむ


時は、サンドライト海軍がルス州スコーネ城を制圧した日に遡る。



ファルカノス元帥率いるサンドライト海軍は、この城をわずか3時間で制圧した。


この侵攻で命を失った高位貴族は、レティシア側妃のみ。

母の母国と祖国に挟まれて祖国を裏切り、投身自殺した……という筋書きにする予定だ。


外面抜群で、市井で人気の王女殿下。

サンドライト世論はこの婚姻を認めていないし、王女奪還を切望している。

逆に、閣僚の長である大公宰相家は、厄介払いを喜んでいる。

誘拐先では血筋を歓迎され、瀟洒な居室や衣装を与えられていたようだ。

後世の歴史家どもは、これをどう記すやら。

ファルカノスには、無責任な為政者どもが、我欲しかない愚娘に失策を押し付けたとしか思えない。自分も含めて。


とはいえ、レティシアは竜の掟の叛逆者でもある。

ワイバーン族からは、確実に身柄を要求されるだろう。命がなければ骸を。骸がなければ墓を。破壊し尽くし、粉塵と化すまで、報復をやめないだろう。

骸さえ祖国に帰せない姪を群青色のマントにくるみ、海岸に向かうファルカノスの表情は、固い。


配下の者を連れ、冷たい石段を下り、庭園を抜け、真新しい温室を通り過ぎる手前で、ハスキーな女性の声に呼び止められた。


「ファルカノス元帥」


女性は、革鎧に防寒用のマントという、シーサーペントライダーらしい軽装備だ。日頃は巻いておろしている茶髪を、今日は高い位置で結い上げている。


ファルカノスの表情が、あからさまに和らいだ。


「マリアにそう呼ばれると、カユイな。それより、今日は悪かったな。店の売上に穴をあけちまって」


「全くだよ。商売あがったりだわ」


女が肩をすくめた。かつてはシーサーペントライダーの育成を担っていた女傑だが、現在は軍港で酒場を切り盛りしている。

王弟ファルカノスの初恋で、借り腹で、内縁の妻マリアベル。

シーサーペントで海峡を渡ったのに、化粧崩れひとつしていない。

濃いアイラインの下の、褐色の瞳が少女の遺体を見下ろした。


「その子がレティシアかい?」


「ああ」


「こんな虫も殺せなさげな小娘が、恋敵や弟に毒を盛ったなんてねえ」


透き通るような白い肌、サラサラの金髪、やや尖り気味の薄い耳、華奢な骨格。妖精姫と讃えられたレティシアは、物言わぬ骸となっても可憐だ。

サンドライト王族の処刑と自らの太守就任を目論んだ、外患誘致犯にはとても見えない。


「死んでる今が1番かわいいって、困るよなあ」


ファルカノスは、肩を竦めて骸を抱き直した。

甥の婚約者と同じ名前の美魔女も、物憂げなため息を落とした。白い息が上がる。いつしか雪は止んで、重苦しい曇天が空を覆っていた。


「あたしに預けてくれりゃあ良かったんだ。腐った根性を叩き直してやったのに」


「ムリムリ。おめーらは弩級の服毒訓練なんか受けてねーじゃねーか。オレは、てめーの女とガキ共に猛毒を仕込む趣味はねーんだよ。そもそも、子育てに失敗したクソ兄貴の、尻拭いをしてやる義理なんかネェ」


「カノスって、ホント王様が好きよねえ」


「ハア?」


ファルカノスの左の眉が、心底嫌そうに釣り上がる。

だが、王弟の最愛は、訳知り顔で年下男を笑い飛ばした。


「王様がちゃんと王様してくれてるから、カノスはやりたいことだけして、やりたくないことをしないでいられた。本音じゃ感謝してる癖に、素直じゃないね」


この命知らずの美魔女は、本当にズゲズケとものを言う。

一目惚れした後は、この気風の良さに魅了され続けてきた。惚れた男の負けだ。

少々バツが悪くなって真新しい温室に視線を外すと、そちらはそちらで違和感が満載だった。


「ところで、マリアのシーサーペントどもは、そこの温室で何を遊んでんだ?」


見れば、マリアベルが飼っているシーサーペントの三姉妹が、体内で沸騰させた海水を噴射しまくっている。


「ああ? 花はおキレイだけど、シャレにならない猛毒ばっかでさ。海水撒いてんの。可愛い系の花を集めた野草園に、見えたんだけどねえ」


「そりゃまた、エラく持ち主にそっくりな」


ファルカノスとマリアベルのまなざしが、物言わぬレティシアの躯に落ちる。


「毒物に興味があるなら、素直に言やーいーのに。なんで偽装するかね。偽りに偽りを重ね続けて、何が真実かわからなくなったのか?」


疑問は愚問だ。

このまぶたは2度と開かない。常緑樹色の瞳には、何も映らない。真実も嘘も曖昧に語る唇は、もう動かない。草花を手折り、さまざまな毒物や媚薬を生成した細い指が動く日は、2度と訪れないのだから。


「お姫様って、なにかと取り繕わなくちゃだろ? 毒や媚薬に興味あるとか、思っても言えるか? 嘘をつかなくても好きなことができて、やりすぎをセーブできる環境で育ててやれたら、もうちょいマシになれてたかもよ?」


「……」


「はじめまして。それから、おやすみ。レティシア。生まれ変わったら、あたしの娘になりな。媚薬なしで男を落とす方法を、教えてやるよ。このあたしに毒を盛りやがったら、殴るけどね」


語りかける低く優しい声に、ファルカノスは軽く目を見開いた。

不肖の姪を弔う言葉に、彼女と愛しあってきた年月の長さと、その理由を実感した。




スコーネ城制圧からわずか数日後。

サンドライト海軍……というか、荒ぶるシーサーペントたちによって、ルス軍が全面降伏した。

せざるを得なかった、ともいう。


ルス州は、長年サンドライトの肥沃な土地を狙ってきた北王国連合が、自ら帝国に併合されて生まれた新州である。


レティシア王女の母、エリシア側妃の故郷で、針葉樹の森と豊かな漁場と僅かな耕作地を有する。内陸部はほぼ氷山だ。夏は短く、冬が長い。日照時間も短い。


国境の海を守護するファルカノスとメルセデス公爵は常々「ぶん殴って黙らせてえ」と思っていた。

侵略したいわけではない。

徹底した教育的指導をほどこし、領土的野心を蹴散らしたいだけである。それを精神的な侵略と呼ぶか否かは、サンドライト海軍でも意見が別れるところであるが。


というわけで、略奪はしない。

捕虜に危害を加えることもない。

こちらの要望は、戦犯引き渡し、アンデッドワイバーンの放棄、ワイバーン族への返却、そしてサンドライトに対する侵攻を、恒久的に放棄させること。

紳士的というか、甘すぎる対応では、ある。

だが、これ以上痛めつけると、ルスの人類が滅んでしまう。そんなレベルに、シーサーペントたちが暴走した。


海を泳ぐシーサーペントと空を駆けるワイバーンは、同族亜種で仲が良い。どちらが賢いかは不明だが、シーサーペントは人類の個体識別ができる。

ワイバーンのように全人類を滅ぼしたい思考にはならないから、軍需組織だけをピンポイントで攻撃できるのだ。

民間人には一切手を出さず、拠点ごとに体当たりし、海水をぶっかけてまわるシーサーペントたち。

地獄絵図、再びである。

ちなみに、シーサーペントは陸上でも数週間ほど生活できる。足が短くて翼もないから鈍足かと思いきや、高速ジャンプで移動するのだ。

おかげで、道も農地も森林もボコボコになった。命だけは狙われなかったものの、民間人こそ大損害を被ったのは言うまでもない。


そんなこんなでルスが滅ぶ前に、ファルカノス元帥が命じた。

『今から弔うから、死屍(アンデッド)飛竜(ワイバーン)を海岸沿いの広場に集めろ』と。

捕虜どもの処遇なんざ、二の次三の次だ。『貴族と平民に部屋を分けて、縛っておけ』と、なんとも雑な命令を下して、後は新兵に丸投げした。食事? 排泄? 現場の判断で適当にやれや。メシなら俺も適当だわ、と。


逆にワイバーンの骸は、日数をかけて丁重に弔った。

海岸沿いの広場に区画を決めて並べ、崩れた骨を個別に安置した。

骨組みが折れているものは、できる限り自然な形に整える。

請け負ったシーサーペントや騎士たちも粛々と遺骸を安置し、黙祷を捧げている。

この死屍(アンデッド)にされたワイバーンたちこそが、最大の被害者だ。加害者側の人類なんざ、後回し一択である。


シーサーペントたちは消沈し、多くが涙ぐんだ。

この悲しみが怒りを誘発する前に、ファルカノスは大海龍リヴァイアサンを呼びだした。

粉雪が舞う海面が盛り上がり、巨大な波を伴って大海龍が姿を現す。シーサーペントたちの瞳に輝きが戻った。

『わーい! おじいちゃんだー』『今日もかっこいー!』『鱗に刺さってるアンコウ、食べていい?』と、短い前足を叩いて盛り上がっている。


『じいさん、眠たいとこ悪りぃんだけど。脳共鳴でワイバーンを呼んでもらえねぇ? でかい群れのリーダーか、できればワイバーンの王あたりを』


砂浜に立って願いを告げれば、大海龍は巨大な目で親友を見下ろし、しかと頷いた。


これで、ワイバーンの怒りを利用した大殺戮を止められるだろうか。

分の悪い賭けだ。返答次第では、この場をメルセデス将軍に任せ、辺境に向かうしかない。

だが、ワイバーン王からは、予想外の返答が来た。


『カノスくんや。今、大湿原では、人間の王とカノスくんの甥っ子が、ワイバーンたちの怒りを鎮めてるそうだヨ。アンデッドを育成した連中や、キミの姪っ子の遺体は回収するから、燃やしちゃダメとな』


『なんだそりゃ』


白く凍てつきはじめた死屍(アンデッド)と、大海龍が浮かぶ空を交互に見つつ、ファルカノスは首を傾げた。

遺体の譲渡は、わかる。

レティシアと司祭姫キミの遺体は、お世辞にも豪華と言えない棺桶に安置してある。キミの助手をした連中も、1箇所にまとめてある。どの程度までの介入を罪人とするかは、ワイバーンたちの判断に委ねるとして、だ。


フレデリックが辺境にいるって、いったい。


『フレディのやつ、何やってんだ?』


ここに来るはずだった甥が、なぜ反対側の国境にいるのか。ファルカノスの疑問に、リヴァイアサンも首を傾げた。





辺境では停戦会議がつつがなく終わり、オケアノスら戦犯と、現シギ太守らが王都に向かうことが決まった。


太守が「馬車の乗り心地が悪すぎる!」と文句を言えば、改善点を聞きだし、その場で図面を書いて改良を指示し、実用可能化させるフレデリック。

シギ州都から駆けつけた為政者たちは、小国の王太子の優秀さに目を見張った。

この王子、類稀な美貌と優美な物腰に反して、めちゃくちゃ辛腕だ。見た目はお飾り! 頭脳は魔王! 停戦会議でも、中央議会を刺激しない範囲で、サンドライトに有利な条件をグイグイ詰めてくる。天使の笑顔で、迫りくる仮調印。

長年武力衝突を繰り返し、もはや因縁しかないアリスト辺境候にさえ、「殿下、シギ議会への根回しが先です」と庇われるって、いったい。

オケアノス皇子が全く意を唱えないのも、服従しているからというより、フレデリックの提案が理にかなってはいるからだろう。

ランが「次代は、人たらし魔王の恐怖政治かー」と呟いたが、サンドライト貴族にさえ反論者がいない。

こうして、帝国でのフレデリックの認識が「勝手に独立した属州の小童」から「独立国家の代表」へと変化してゆく。


とはいえ、フレデリックが馬車の改良を進めたのは、有能さを示すためではない。

舗装されていない街道が、柔肌に過酷だからだ。

パトレシア・レガシィ女辺境伯の就任および結婚式でこの地を訪れた大司祭などは、半年経った今もひどい痔に咽び泣いてるし。


つまり、シュナウザー侯爵領に向かうマリアベルの馬車旅を、快適にする為でしかなかった。しかも、帝国の技術をタダで奪えるチャンスだ。逃すモノか。ほんと、全くブレない王子様である。


一方、ワイバーンたちはそれぞれの住処に帰ったり、道草をくったりして、自由にすごしていた。

ワイバーンの王も、そろそろリヴァイアサンの呼び出しに応えようかなあと思っていた。

心残りは、フレデリックという王子と、もう少し遊びたいなあってところだ。


彼は今、レガシィ辺境伯邸に移動して、馬車を手配している。

分厚いケープで顔を隠した人間の手を引いて、車輪を改造したばかりの馬車に誘導している。

彼の妃になる、婚約者らしい。

いろいろあって本来ならこの地にいないことになっている婚約者を、こっそり故郷に送るとかなんとか。人間の事情はワイバーンにはわからないが、それを怠ると結婚できなくなるらしい。

ワイバーン王は戦慄した。最愛のつがいと結婚できないなんて、そんな不幸があるのだろうか、と。


『馬車じゃ遅くないか? フレデリック。お前と婚約者だけなら送ってやるぞ。そっち方面に用事もあるし』


人間に言葉が通じないのは100も承知だけど、おもわず呟くワイバーン王。

フレデリックより、近くにいたワイバーンたちがびっくりして振り返った。


『王さま。それってさあ』


『?』


『え、わかってない?!』


『つか、出会い頭に気がつかない???』


人間と交流のないワイバーンたちは王と同じくキョトンとしているが、人間と親しい群れのワイバーンたちは遠慮なく憐れんだ。

出会えないより、出会えても気がつかない方が不幸だ。


『あのさ、王様。フレデリックって名前の人間と、そうじゃない人間の区別がつくんだよね?』


『うむ。不思議なことに』


『なんか、背中に乗せて飛びたくならない? 空をお散歩したり、

超高速飛行でぶっとばしたりしたくならない?』


『めっちゃ、なる』


『盟友とか親友ってゆーんだよ。それ。うちらは昔から人間の近くに住んでるから、見つけやすいんだろうけど……』


てな会話を、マリアベルの御者と護衛を引き受けたヨアンが、余すところなく通訳した。


「だってサ。サンドライト史上初じゃね? 飛竜王(ワイバーンキング)騎士(ライダー)って。おめでとさん。オレのグレイローズほどじゃないが、並のドラゴンより強いぞ?」


言われたフレデリックも、キョトンと目を丸くした。

ワイバーンやシーサーペントは好奇心旺盛な種族だから、王様はさらにフレンドリーなのかと思っていたのだ。


「身に余る光栄だ。だが、私はあまり王都を離れられない。王都の乾いた空気を、ワイバーン族は好かないだろう? その誉れを受ける権利があるとは……」


『あー、心配ナイナイ』


『王様、飛行速度が規格外だから。大陸の西端まで1日くらいで飛んじゃうもん。遠いとか住みにくいなんて、マジでノープロムレムだよ?』


『ここからユーコウの実家(王都)なら、1時間もかからないんじゃね?』


フレデリックとヨアンの会話を聞きつけたワイバーンたちが、やいのやいの騒ぎ出した。


その飛行速度、通常のワイバーンの16倍である。

ていうか、本当にワイバーンなんだろうか。通常の3倍でかいし。天敵のバジリスクや追放竜を、秒で噛み殺すって噂だし。

人間の王様のオケアノスだってあらゆる面で人類を超越しているから、そういうものかもしれないが。


ワイバーン王がヒラリと舞い降りた。

きらきらひかる真紅の鱗。大きな丸い瞳。巨大な羽。


「王族の責務がある身だ。頻繁な散歩はできない。この地のワイバーンライダーたちのように、盟友と共に暮らすことも不可能だ。それでも?」


威風堂々と頷く王。

「細かいことは気にすんな。ま、乗れよ」と大地に首をつけて、フレデリックを誘導した。


フレデリックにエスコートされていたマリアベルが、馬車にしがみついた。顔は真っ青。フルメイクだけど涙目。


「マリアベル?」


「わ、私は、馬車で帰りますからね?!」


感動の名場面中に申し訳ないが、マリアベルは高所恐怖症である。

スノーローズだってギリギリ無理だったのに、こんな大きくて速そうなワイバーン、絶対に無理である。

スコーネ城からの転生の泉からの辺境の大湿原と、耐えに耐えたんだから、もういっぱいいっぱいだ。


「なるほど。お姫さんは、高いとこが苦手かー」


御者台のヨアンに、ウンウンと頷くマリアベル。未来の王太子妃の矜持ってなんだっけ? なイキオイで素になっている。


「マリアベル」


「嫌よ」


「まだ何も言ってないよ?」


めっちゃ笑顔のフレデリック。本気で泣きそうなマリアベル。

完全に腰がひけているマリアベルを、がっつりホールドして逃がさないフレデリック。

何を見せつけられてんだろうなあと呆れるヨアン。


「馬車だと半月以上かかるからねえ」


「キラキラスマイル反対!」


「マリアベル 」


「絶対に、イヤ!」


「ベル」


「断固、お断りします!!!」


始まる前から勝敗が決まっている攻防は、不毛だ。

マリアベルだって、早急に戻るべきだとわかっている。半月後の帰宅では、要らぬ憶測を生むことも。


だけど、イヤなのだ。無理なのだ。だって、地面が遠くなるって、意味わかんないし!!!


「ま、諦めたら? 飛竜王に愛されし王子の、妃になるんだろ? よく効く睡眠薬と酔い止め、やるからサ」


「ヨアン様! 殺生ですわ!」


「ぶっちゃけ、オレはどっちでもいーけど。戦犯を護送した方が理に適ってんだよな。万が一剣姫が暴れたら、誰が止められるよ? 皇太子と斥候姫は自らは手錠を外さんだろーから、初動が遅れそうだし?」


正論である。ぐうの音も出ない正論である。


「ベル」


肩を抱いて、無理矢理に視線を合わせてくる。

ズルい。強引だけど、その手は優しいから。

憂いを帯びた表情が反則すぎるから。


「こっちも引けない。盟友に選んでくれたワイバーン王に、恥をかかせたくはない」


「フレッドがワイバーンさんに騎乗させてもらって、辺境軍と凱旋すれば良いのです!」


「そうだけど。しばらくは、会えなくなるだろう? 君に触れていられる時間を、1秒だって逃したくない」


とどめの囁きが、耳をくすぐる吐息と掠れ気味の美声が、ズルい。すごくズルい。

確信犯だし。かつ本音だし。


(もう、ヤダ……このゲロ甘お花畑王子! 心臓が持ちませんもの!!!)


マリアベルはフレデリックの手を振り払い、ヨアンの手から睡眠薬をひったくった。

瓶を開けて蓋を放り投げ、くいっと煽る。


前足をパンパン叩き、『ブラボー』『高所恐怖症ブラボー』と喜ぶワイバーンたちを、涙目で睨みながら。









欄外人物紹介


ワイバーン王 アズナブル

この度フレデリックの騎竜になった、通常の3倍でかいワイバーン。全長9.5メートル。

一応王様と呼ばれているが、性格はワイバーンらしく呑気でフレンドリー。

名前は、運搬されたマリアベルが腹いせにつけた。神堂の憑依で異世界知識を得たオケアノスだけが、こっそりウケてる。



サンドライト竜族の飛行速度


飛竜ワイバーン 

平均 パラグライダー

最高 ヘリコプター


翼竜デュポン

平均 ヘリコプター

最高 ジャンボ旅客機


ワイバーン王 

平均 一緒に飛ぶ相手にあわせる

最高 戦闘機


ドラゴン 

平均 軍用ヘリ

最高 人工衛星


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