9 久しぶり、キルナさん!
リセットし続けること数十回。いや、数百回?......どーでもいいや。とにかく私とマロンちゃんは周回し続けた。
その結果、今は二人ともレベル999!
経験値1億3250万!あと1回周回すればカンストするのだ!それにしてもこの数字、頭どうかしてるって
装備は相変わらずそのまんま。あれが最強装備だからねー。
あ、そうそう周回してくうちに微妙にマロンちゃんの態度が変わったの!これはこれで最高に可愛いんだ!
「今回も張り切って行こうね!マロンちゃん!」
「リリー、これ何回続けるんですか?飽きました」
「いつまでも?」
「はぁ、帰らせてください」
「それは無理」
そう、ちょっとだけツンツンしたの!可愛い!
「ねぇ、マロンちゃん。そんなことより今回の転送場所、おかしくない?」
「いきなり魔王城は、おかしいですね」
私、過去に言ったよね!?困るからやめてって!全く誰!こんなゲーム作ったの!......私だよ!
「どうしますか?リリー」
「うーん、実は欲しいものがあるからノキール国まで行きたいんだよね」
ノキール国。そこは戦闘に特化した国で強い人なら大歓迎の国だ。私たちは余裕だね
「何が欲しいんですか?」
「魔導の書物Ⅵ」
「あんな高価なもの、魔法も使えないリリーがなぜ?」
「ちょっとプレゼントしたくてね」
「誰にですか?」
「なーいしょ」
ムッとした顔で聞いてくるマロンちゃん。私のこと大好きなんだねー可愛いねーツンデレちゃんだねー
「でもその前に月の雫もね」
「月の雫はもう持ってるじゃないですか?」
「うん。でもこれは私が使ってたものだから、せっかくなら新しいのあげたいでしょ?私のは人魚の涙があるし」
「同じ人にあげるんですか?」
「ううん、それぞれ別の人」
人魚の涙は月の雫と効果は一緒だが、これは既に指輪になっていて、とある人から買うもの。リセットは今回で最後にすると思うから一応、買っておいた(魔王二人分ぐらいのお金がなくなった)。
私のを作ってから1回も見かけなかった月の雫。やっぱ超低確率なんだよー!でもネックレスはキルナさんにあげる。お世話になったし、可愛いし
むぅ、っとしてるマロンちゃんを構って構って構い倒したいけど、今回はごめんね?私だってマロンちゃんといちゃいちゃしたいの我慢してるんだよ!
「だからマロンちゃん。今回は家族の元にいて?用事が終わったら、迎えに行くから」
今の「迎えに行くから」ってかっこよくない!?かっこいいよね!マロンちゃん!
さぁ、マロンちゃんの可愛いたっぷりの「分かりました」をください!
「嫌です。」
「ほぇ?」
しまった、驚きすぎて変な声出た
「嫌ですって言いました。私、リリーに付いていきます。来るなって言っても付いていきます」
「でも、マロンちゃんにとってはいいお話じゃないよ?」
だって私、今から告白されに行くんだよ?
「それでも、行きます」
マロンちゃんは私と目を離さずにそう言った。その瞳からは強い意志が感じられる
「分かった。じゃ、行こうか」
「はい」
魔王城の正門から移動する。その時、マロンちゃんは自分から私の手を握る(可愛い!いちいち行動が萌え!)。この点もマロンちゃんが変わったところの1つ。可愛いでしょ?私のお嫁さん......え?結婚したのって?まだですけど、文句ある?
「まずは月の雫がないか確認するね?」
「分かりました」
月の雫よ、お願い、あって!
それが入ってるアイテムボックスを開ける
キラっと虹色に光った!虹色は超低確率のアイテムだったよね!来い、雫
「きた!って、宝玉かぁ」
ノリできた!って言ってみたけど、きませんでした。仕方ない、私の雫をあげるか。
「無かったですね。ってことは今、身に付けてる物を渡すんですよね?」
「うん、そうだね」
「私が買い取るって言ったらどうしますか?」
それはつまり、私のものは他の誰にも渡したくないってことですか!超萌え!可愛い!でもごめんね
「雫じゃないとダメなの」
「そうですか、じゃあいいです」
ん?やっぱり家にいる?
「ここからだとノキールが近いはずなので先にそっちに行きましょう」
あ、行くんだね。家にいてくれた方がいいんだけど、私は譲れないところ以外マロンちゃんの意見を尊重します。
「うん、ごめんね?マロンちゃん」
「謝らないでください」
「うん」
こんなにツンツンしてるのに手はしっかり恋人繋ぎなの、可愛いなぁ
あれから馬車を乗り継いでノキールに着く。
えっと、魔導の書物Ⅵが売ってるのはどこだ?
モモナミ書店、ここかな?でもどうやって行くの?
実は地図が読めない私。困っているのにマロンちゃんは拗ねてて助けてくれない。
うーん、本格的に困ったぞ?
「あら、あなた、もしかしてリリー?」
ん?この声は!ぱっと地図から顔をあげる
「キルナさん!久しぶり!」
言ってから思った。何で知ってるの?記憶消えてないの?
「リリー、私、ちょっと変なの」
「変?」
「タイムワープしてるみたい」
こっちもですかー。話、合わせれば乗り越えられるかな?
「それ、実は私とマロンちゃんと魔王もなんだよね」
「なぜ?」
「分かんない、魔王も心当たりないって」
じぃっとマロンちゃんから冷ややかな目線を感じる。
お願い、今は見逃して!
あと、キルナさんと話してるだけなのにあからさまに怒ってますって態度もやめて!可愛すぎて押し倒したくなっちゃうから
「そうなの、ちょっと怖い、よね?いつタイムリープするか分からないし、周りは私たちのこと忘れてるし」
うわ、ごめん。でもこれで確信した。これ、バグだ。どうしよう?一緒に連れてく?
連れてっていい?って目で訴えるとダメって返ってきた。そうだよね、逆の立場でもレイラさんがいるのは嫌だし
「怖いのは私たちも一緒だからこうしよう?タイムリープしちゃったらヴェライトのギルドに集合してそれでお互いの情報交換して原因を探るの」
絶対分かんないと思うけど
「そうね、ありがとう。楽になったよ」
「よかった」
「で、あなたたち、地図広げてたけどどこに行きたいの?」
「モモナミ書店に行きたいんだけど、分かる?」
「分かるわ。案内してあげる」
「ありがとー!」
てて、とキルナさんの隣にいく。その数歩後ろを面白くなさそうに付いてくるマロンちゃん。独占欲強いんだからー!可愛い、用事が終わったら甘やかしてあげよう
しばらく大通りを道なりに歩いていたら突然キルナさんが止まった
「着いたよ。ここがモモナミ書店」
「でか!」
書店っていうかモモナミビルなんだけど
昨日は丸一日出かけていたので投稿できませんでした。待ってくださってた方がいましたら申し訳ないです