8 それはないよ、お姉ちゃん!
しばらくして魔王が女の子を引っ張り、連れてきた。あの子、美人だなぁ、可愛い美人じゃなくて奇麗系の大人のお姉さん。
「離せ!この野郎!まだ仕事が残ってんだよ!」
口が悪いところも美人だから許されちゃうの、不思議だよねぇ、可愛い。
あ、でも一番はマロンちゃんだよ!
「そんなの知るか!こんなところまでお前を迎えに来てくれるような家族がいる奴は我が輩の国には不必要だ」
「はぁ?家族ぅ?」
「お姉ちゃん!」
「マロン......来てたのか」
お姉ちゃんだったかー、マロンちゃんの家族、美形多すぎない?羨ましいぞ、おい
「マロン、ごめんな?でもあたし、こっちでやりたいことができたんだ。仕事は楽しいし、仲間は面白いし」
「帰れ、レイラ」
「あんたは黙ってろ」
「我が輩は魔王だぞ?そんな口きいていいとおも」
「姉妹の剣かなので魔王さんは黙っててください!」
「あ、はい」
ぷっ。だっさーい!そんな視線を魔王に送ったら睨まれた。怖くないのに
「お姉ちゃん、仕事ってどういうこと?攫われたんじゃなかったの?」
「あたしは自分の意志でこっちに来た。魔族の暮らしって面白そうじゃないか?その暮らしをずっと、してみたかったんだ」
「何で私たちには何も言ってくれなかったの?」
「言ったら止めるじゃん。あんたと母さんが」
「当たり前だよ!」
「だから勝手に来たんだ!あたしにだって、仕事を選ぶ権利はあるだろう」
あー、つまんない。ごめんね?マロンちゃん、私シリアス物とか、重い話ってごめんなんだよねー。うーん、魔王と遊んでよっかな?
ススーっと私は魔王の横まで移動する
「なんだ?」
「シリアスは無理。だから魔王で遊ぼうかと」
普通はないよ?勇者と魔王が隣同士で座りながら姉妹喧嘩を傍観してる絵なんて
「キサマ、あの喧嘩が終わったらまた我が輩を倒すのだろう?」
「せいかーい!でも何で記憶が残ってるんだろうね?」
「何の話か分からんが、お前に倒されてから時間がループしてるのだ。しかもそれは我が輩だけ、いや、正式には我が輩とお前だけ、か」
私がループを起こしてる張本人だけど、なんで魔王まで記憶が残ってるのか、分からない。そんなことより
「なんでレイラさんを連れてきたの?」
「あいつが家族がいなくて生活が厳しいから雇ってくれって」
あらら、全面的にレイラさんが悪いんじゃん。美人だから許すけど
「ちょっと、リリー!なんで魔王さんなんかといるんですか!敵ですよね!こっちに来てください!」
「あ、はい」
今度は私が魔王に笑われた。覚えてろよ、あいつ!
「この人がその人です!」
ぐいっとマロンちゃんに腕を引かれる。大胆だなぁ、可愛い。あとこう、もにゅっと
でも、その人ってどういうこと?
「ふーん?そいつがねぇ、そうには見えないけど」
「えっと、どういうこと?」
「あんた、リリーって言うんだって?」
「うん、そうだけど」
「......マロンのこと、よろしく頼むよ」
「よしきた!家族公認!」
「お姉ちゃん!」
「大切な人、なんだろ?」
「マロンちゃん!」
キュンキュンしちゃうよ、それ!
「もー!お姉ちゃん!」
良かった、姉妹喧嘩は終わったみたい
「で、レイラさんはどうするって?」
「残るらしいです。昔から一回こうだ、って決めたら聞かない人でしたから」
「そっか、マロンちゃんはそれでいいの?」
「はい!」
「じゃ、あたし仕事に戻るから」
「うん!時々遊びに来るね!」
「我が輩が困るぞ」
「お、魔王復活じゃん、私に倒されろー!」
「ふっざけんな!痛いんだぞ!」
「じゃ、また今度ね!」
ズバッと一刀両断しました。もちろん、経験値は全部マロンちゃんにあげたよ?
レベルは私が570、マロンちゃんが324。魔王倒すと一気に上がっていいねー!
ってことでマロンちゃんとの初周回はなんとか終わった!あとはカンストさせるだけだ!
頑張るよー!リセット!......の前に一旦マロンちゃんの家に戻り、レイラさんのことを伝える。
二人ともなんとなく分かってたみたいで子離れしなきゃと思ってたからちょうどいい、って言ってた。
で、マロンちゃんについてもせっかくだから私と旅をして来い、と。やったぜ!
「ありがとうございます!お父様、お母様!」
「リリーの親じゃないです!」
「大丈夫だよ。そのうちそうなるから」
「はぁ、そうですか」
呆れた顔も可愛いなぁ!じゃ、今度は本当にリセット!