5 ひとつ屋根の下、同じベッド!
「私たち家族は魔法が得意でして、特に姉は魔法に関しては村一番でした。普段は帝都でギルドクエストを多くこなし、生活の足しにしているのですが、ある日、同業者が慌てて帰ってきて私たちに姉が攫われた、と伝えて来たんです。」
おーう、思った以上に重い?私、ちょっとでも重い話はごめんだよ?
「なんとかして取り戻そうとしたらしいのですが、思ったよりも魔王直属の部下が強かったみたいで。今はみなさん、疲れや、傷を治すために休んでます」
「大事には至らなかったんだね。分かったよ、お姉ちゃんのことは任せて!安心して待っててよ」
「あ、それなのですが、ご迷惑じゃなければ私も同行させてください!」
「でも、この旅は危険だよ?」
「私も魔法学には少しだけ自信があります!それに勇者様が剣士様なら私は後ろからサポートできますし......」
きた!やったぜ!かっこよくみられたいって理由だけで剣士を選んで良かった!
ありがとう!最初の私!
「分かったよ。そういうことなら一緒に行こっか」
「ありがとうございます!勇者様!」
「リリーでいいよ。ていうかリリーって呼んで、お願い!」
好きな子には名前で呼ばれたいの!
「分かりました。えっと、よろしくお願いします、リ、リリー?」
あぁ、もう!恥じらいが残ってて可愛い!
「じゃあ服替えようか?」
「え?」
ちょっと待ってねー、といって魔女服と宝玉のネックレスを渡す。
「これ、どれもとても高価なものじゃないですか!受け取れません!」
「いいのいいの!お姉さん助けてあげる代わりにこれ着て?いいかな?」
「そんな、悪いです」
往生際悪いなぁ。そんなところも可愛いけどね!
「ほら!もらえるものは貰うべきだよ!ささ、早く着て!見たいから」
「うぅ、そこまでいうなら分かりました。」
私から衣服を受け取り、魔法によって一瞬で着替え終わるマロンちゃん、やっぱり可愛い!私のお嫁さん、世界一!!
「可愛い!似合ってるよ!最高だよ!」
「そ、そうですか?ありがとうございます。あの、リリーもその服、似合ってます。かっこいいです」
あぁ、恥じらってる!可愛い!それで名前呼び、ありがとうございます、幸せです!
「はぁ、はぁ、だいぶ精神的にダメージ食らったけど、行こっか。魔王の元に」
「はい!でも......」
「どうしたの?」
「もう夜遅いですし、明日でもいいのではないですか?」
あー、マロンちゃんの可愛さが眩しすぎて夜ってこと忘れてた。
「そうだね、明日にしよっか」
「泊まるところはあるんですか?」
「ううん、ない」
今日は野宿かな?
「でしたら私の家に来ますか?リリーなら家族も大歓迎だと思います」
「出会っていきなりそんな!でも行く!お父様とお母様にはご挨拶しなくては!」
「?では行きましょうか」
「はーい!」
ついたところは民宿みたいなところだった。ここにマロンちゃんが住んでるんだ、興奮するなぁ
「お父さんもお母さんももう寝てる時間か、どうしよう?」
「何かあるの?」
「いえ、そういう訳では......すみません、今日は私と一緒でいいですか?父か母がいないと部屋の手続きが出来ないので」
「もしかして、民宿やってるの?」
「はい、そうなんです。えっと、お部屋は一緒でも?」
「マロンちゃん、いきなり同じベッドなんて、でも私、満足してもらえるように頑張るね!」
「同じベッドなんて恐れ多いので私は床で寝ますよ」
えぇ?なしてさ?一緒に旅する仲だよ?
ちょっとだけ口論して(怒ってるところも可愛い)、同じベッドで寝れることになりました、やったぜ!