21 やっぱりサキュバスだったよ!
ちょっとしたトラブルはあったけど何だかんだであいさつを終えた。その頃には日がすっかり落ちていて窓の外は真っ暗だった
就任式は明日だ、と言われたので夕飯までは部屋でごろごろして過ごす
「ふぅ、疲れたなぁ。一日でこんなにイベント突っ込んでくるなんて思ってなかったよ。夕飯まで時間あるから......ちょっと寝よう」
ベッドに入り、寝る。
「やぁ、リリー」
「あれ?ニーシャ?なんでここにいるの?」
「あっはは!気づいてないのかい?ここはあんたの夢の中だよ」
「あぁ......だから私の部屋じゃないのか、納得」
「素っ頓狂なこと言いながら女性を押し倒すもんじゃないよ?」
「だって、させてくれるんでしょ?」
「今回はあんたとゆっくり話したくて来たんだけどねぇ。それにそんなつもりがあるなら普通に部屋に入っていくさ」
「そっかぁ。うん、待ってる。で話って?」
「マロンとキルナのことさ」
「二人の?」
「聞いたよ?あんた、多妻制目指して行動しようとしてるんだって?」
「うん、可愛い子好きだし」
「本妻はどっちか決めてるのかい?」
「ほん、さい?」
そんなのマロンちゃんに決まってるじゃん!って言えるほど私はもう子供じゃなかった。
「見てて分かったよ。あんたは今まではマロン一筋だったかもしれないが、一緒に行動するにつれ、マロンだけじゃなくキルナにも惹かれ始めていた。あってるかい?」
「うん」
あの日、キルナさんに告白されたときは私が守ってあげなきゃ、って思った。でもそれは同情からであって本気で好きなのはマロンちゃん。そうだと信じてたのに、ちょっとした出来事でキルナさんの株が急上昇した(可愛い子に惚れっぽい私が悪いんだけどね)。それからは惹かれる一方でいつしか、どっちかなんて選べないほどに好きになっていた。けど最推しはなんとなくマロンちゃんって感じがするんだよね
「あほだねぇ、あんたも」
「分かってる」
「それに最初に好きになった子なんて特別視するもんさ。それもあって最推しはマロンって感覚なんじゃないかい?」
考えてること分かるの?
「分かるさ、ぼんやりと、だけど」
「さっきのさ、つまり最推しはマロンちゃんって言うのを自分に言い聞かせてただけってこと?」
「さぁ?そこまでは知らないよ。でもそう思ったんならそうなんじゃないかい?」
ストン、と何かが私にぴったりと当てはまる音がした
あぁ、そっか。そうだったんだ
「あんたが好きなのは?」
「どっちも。どっちも同じぐらい好き。最推しどうこうなんてもうどうでもいいや。ありがとう、ニーシャ。気付かせてくれて」
「大丈夫さ、このくらい」
いい人に巡り合えたな。
「ところでリリー。本妻はどっちにするか決めたのかい?」
あ、忘れてた
「どっちがいいと思う?」
「そんなのあたしの決めることじゃないし、面倒くさそうだからどうでもいいさ」
「え?じゃあなんで私にそのこと気付かせてくれたの?」
「悩んでる子ほど美味しいからねぇ」
......前言撤回、とんでもないサキュバスだ、こいつ!さっさとこの夢、終わらせよう!




