1 祝☆転移!
ゲーム専用服OK!スイッチOK!心の準備、OK!
ベッドに寝そべり、転送モードに移行させる。
「先輩、本当に行くんですか?」
「もちろん。私以外に誰が行けるの」
「俺、付いていきましょうか」
「来なくて大丈夫。ちゃんと帰ってくるし、強制終了するスイッチは持ったから」
「先輩、気を付けてください。テストプレイ中は絶対、何があってもセーブしないでくださいよ。帰ってこれなくなりますから」
「分かってるって、でもありがとう。じゃあね、行ってくる。ばいばい!」
私は息をするように嘘をついた。私はもう帰ってきません。最後に私の欲望に巻き込んでごめんね。
心の中で謝り、転送スイッチをポチッと押した。
意識が飛び、次に目を覚ましたのは始まりの場所、森だった。
うん、正常に作動した。では早速、セーブ!これで私は無事にこの世界の人間となれたのだった。
確か、始まりの森で主人公がヒロインに助けられるんだよね、それは避けたいなぁ。私の目的はあの子じゃないし。ここから近いのはヴェライト王国だから、とりあえずそこのギルドにお邪魔しよう。
ヒロインちゃん...名前なんだっけ?ヒロインちゃんは強いから放っておいても大丈夫。レベルは30ぐらいで設定されてたはず。
ギルドに着いたから登録をする。
ゲームで言うユーザー登録
「こんにちはー新規さんですね。こちらへどうぞー」
「ありがとうございまーす」
「お名前よろしいですか」
あ、名前どうしょう?うーん。前の名前は新田南央。気に入ってないんだよねぇ、さてどしよう。あ、あれにしよう
「リリーです」
「リリーさんですね、職業は何を?」
「剣士になろうかと思ってます。腕のいい剣士を知ってたりしませんか?」
「あ、ちょうどこの王国にギルドランクS+のキルナって方が滞在してて、ホテルフランにいるらしいです」
個人情報なのにそんなにガバガバでいいのかい?ここは改良の余地があるな、伝える術はないけど。
...ん?キルナ?どっかで聞いたことあるぞ?
「あの、ここからハラクア村までどれぐらいかかりますか?」
ハラクア村とは私が愛してやまない村人ちゃんがいる村だ。
早く会いたいけど、3周目ぐらいしてから会いに行こう。弱いところは見せたくないし。
「うーん、少し遠いから歩いて2日ぐらいはかかると思いますよ?」
やっぱりかー。まぁ行くけどね、会いたいし。いや会う前にキルナさんに弟子入りするのが先か
「ありがとうございました!早速キルナさんを探しに行きます」
「剣ないのに弟子入りするんですか?」
「あ、忘れてた。鍛冶屋に行ってきます」
「いってらっしゃーい」
鍛冶屋に着き、気前のいいおっちゃんが私に合うだろうという長剣をくれた。気前良すぎでしょ
ちなみにこれは職業を剣士にすると一番最初に装備される初期装備。つまり、弱い。
ありがとー、とおっちゃんにお礼を言い今度こそキルナさん探しに出る。
ところが。
おかしい。明らかにおかしい。この世界に来たのはお昼前、今は太陽が沈むころ。もう王国中探しまわったというのに目撃情報すら出てこない。念のためホテルに滞在予定を聞いたらあと一週間は残っているとのこと。残りで探していないのは
「まさか、始まりの森にいるわけないよ、ね?でもいないのを確認しないといけないわけだし、いないとなったらバグだからもっとやばいから、うん、入ろう」
森に入ってしばらくすると本格的に暗くなってきた。ここで出るモンスターは、っと
「ゴアアアア!!」
「あー、トロールだったかぁ」
目の前に突如トロールが現れた。
やばいなぁ死んだなぁ
「あなた、そこで何してるの!」
「え、私?」
「伏せて!」
言われた通りに伏せる
その瞬間、とても大きな剣がトロールに突き刺さった
私はその場で振り返り彼女の顔を見る。
あ、この子
「ヒロインちゃん」
「私はキルナよ。ヒロインじゃない」
君は今作のメインヒロインだよ。
「で、あなたは?」
「私はリリー、剣士見習いだよ!てことで弟子にしてください」
「...はぁ、まあいいけど、私の練習きついって知ってる?」
「もちろん!」
だって私、プロデューサーだからね!......だったからね!
ぱっと思いついたものです。強くなったら~と交互で毎日上げていきたいと思います。(多分間に合いません)
よろしくお願いします。