政権を朝廷に返還…いたしません!
そして、その時はやってきた。場所は二条城だ。
将軍の辞令を受けるのも二条城。そして辞表を出し、将軍職を退くのもまた、二条城だった。
慶喜「このたび、徳川慶喜は、政権を朝廷に返還…、いたしませーん!」
「なっ…!なんだと…!」
慶喜「なんてね、冗談でも言ってみたかったのだ。あー、堅苦しいのはこのくらいにしよう。」
14代将軍、家茂は、慶喜に将軍職を譲ると表明した。
そして大御所にもならずに、一切の権限を行使しない、全て慶喜に譲渡すると表明した。
こうして、ついに第15代将軍となった慶喜。
徳川慶喜といえば、徳川幕府の最後の将軍となり、政権を朝廷に返還し、世にいう『大政奉還』を行ったとされるが、この物語は、その慶喜が『大政奉還』を行わなかったら、という前提で書かれている。
本当に本当に最後の手段としての『大政奉還』だったが、その最終手段の段階に行く前の、長州征伐の段階。
F-15戦闘機や、JPN-2018式戦車といった最新ミリタリーを投入したことによって、幕府軍が優勢に戦いを進め、長州軍はその対処法に苦慮するという状況が続く。
慶喜「さあ、お次はこれを投入するぞ!」
それが、ステルス戦略爆撃機だ。F-15戦闘機の機銃掃射に加え、ステルス戦略爆撃機まで投入すれば、長州軍はさらに追い込まれるだろう。
そしてさらには、潜水艦の魚雷攻撃も加えていく。これで長州軍は海上輸送の方もままならなくなる。
幕末の空を、最新鋭の戦闘機とステルス戦略爆撃機が悠々と滑空する光景。
その様子を呆れた表情で見ていた、吉田松陰=こちらも現代人の毛利富美親が帰依している。
「おいおい、いくらなんでもステルス機や潜水艦まで持ち込むなよな。
幕末の時代の雰囲気ぶち壊しだろ、それじゃ。
このままだとあいつそのうち、モビルスーツとかエヴァンゲリオンの使徒とか、幕末に持ってくるんじゃないかと、まったくあいつは、徳川慶喜=松平時男は。」
これが同級生かと呆れ返る毛利富美親=吉田松陰だった。