徳川慶喜VS毛利敬親の蹴鞠【けまり】対決へと動く!
徳川慶喜=松平時男が帰依
吉田松陰=毛利富美親が帰依
そして幕府、長州の両軍から、蹴鞠の選抜メンバーが選出される。
しかしお互いに尊王倒幕か、佐幕か、という考え方の相違、わだかまりがあるというのに、こんな蹴鞠対決などで、果たして分かり合うことなどできるのか?
むしろ、試合の判定結果をめぐって、流血の惨事になるきっかけとかに、なりはしないかと、慶喜の家臣たちも、内心ヒヤヒヤしていた。
慶喜は密かに松陰に書状を送っていた。
「突然だが、それがしの話を聞いてほしい。
幕府と長州は、鉄砲や大砲による戦ではなくて、蹴鞠によって競いたいと存ずる。
蹴鞠といっても西洋の蹴鞠、つまりサッカーというもので競いたい。
そのための選抜メンバーを選出していただきたいのだが、いかがなものか。」
吉田松陰に届けられたその書状は、ただちに毛利敬親にも届けられる。
「殿、ご拝謁を…。」
「ふむ…、なるほどな…。」
「殿、この蹴鞠対決は、またとない機会。
ここはひとまず、あえてお受けになるのがよろしいかと…。」
「そのうえで、相手の出方を探ると申すか。
わかった、受けるだけ受けてみよう。
ただし、くれぐれも不審な動きなど見せぬようにな。
逆に相手の不審な動きにも、目を配っておくようにな。
よいな、松陰よ。」
「ははっ…!」
ひとまず慶喜の提案した蹴鞠対決を引き受けることで合意した。
そして、蹴鞠対決の会場となるのは、どこともわからない原っぱ。
この時代だからこのような原っぱは、全国どこにでもあった。
「ここなら邪魔が入ることも無い。敬親殿。」
「ほほう、なるほどな、ここが西洋の蹴鞠という、サッカーなるものが行われる所か。慶喜殿。」
慶喜と敬親は、まず一声かけあう。
辺りには人家もなく、また、慶喜と敬親、それと両軍の代表選手以外には、人の気配も無い。
まずは、慶喜と敬親によるリフティング対決となる。
「リフティングとは、何ぞや?」
敬親がたずねる。慶喜が答える。
「リフティングとは、ボールを地面に落とさないで何回蹴り続けられるかを競うもの。
足だけでなく、頭、胸、肩、膝などを使ってもよい。ただし、手は使えない。」
慶喜は得意気にリフティングのルールを説明する。
そしてドヤ顔をする。
「よーい!スタート!」
慶喜と敬親のリフティング対決が始まった。
「慶喜様、よろしいのですか?
この非常事態の時に、このような対決など…。」
慶喜の家臣が心配そうに言った。
「案ずるな、既に次なる手は打ってある。
この対決はそのための時間稼ぎというものじゃ。」
慶喜はリフティングをしながら言い放った。
とはいえ、それでもなお、長州軍に逆転勝利できるという確信は、無かった。
リフティングは続く。しかしどちらも、それほど回数を稼ぐことができずに終了。
「それ、もう一度…。」
そしてもう一度リフティングを始める。いつしかリフティングそのものが楽しくなってきていた。




