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第5話 慶喜のこれまでの歩みを振り返る(2) 幼少期

慶喜が生まれた天保8年は、大塩平八郎の乱が起こり、また異国船打払令が出されるなど、既にこの頃から情勢は緊迫の度合を深めていた。




松平時男「ほう、こちらのお方が、水戸斉昭公か。」


既に徳川御三家、水戸藩の藩主としての地位を築いていた斉昭は、藩政の改革を進めようとしていた。

また、幕府に対しても、たびたび提言を行ってきたが、それらの提言はなかなか受け入れられずにいた。


「大阪町奉行所の与力、大塩平八郎までが反乱を起こしたというに…。

このまま何の対策も講じなければ、本当に幕府は潰れてしまうぞ。」


ちなみに当時は生まれた年は0歳ではなく、数え年で数えていた。

だから生まれた年は1歳という計算になる。


松平時男「この時はさすがに赤ん坊の姿だから、何もすることができない、ただ様子を見ているだけだ。」


この頃の時期に、慶喜だけでなく、のちに幕末から明治にかけて活躍する志士たちの多くが生まれている。


11代将軍、家斉(いえなり)がようやく家慶(いえよし)に将軍職を譲ったが、その後も大御所(おおごしょ)として権勢を振るう。


が、晩年はほとんど寝たきりだったようだ。


1841年、大御所(おおごしょ)家斉(いえなり)が死去した後は、老中(ろうじゅう)水野忠邦(みずの・ただくに)が天保の改革を行うも、時既に遅し。


11代将軍、家斉(いえなり)の約50年にも及んだ放漫政治と、大奥での贅沢な暮らしを続けてきたことで、


もはや小手先の改革程度ではどうにもならない状況になっていた。


1843年、結局水野忠邦は老中から失脚し、改革も失敗に終わった。


この時、黒船来航まで、あと10年。


大政奉還までは、あと24年。


つまり、11代将軍、家斉(いえなり)の約50年の放漫政治、湯水のごとく贅沢(ぜいたく)の限りを尽くした時期から、わずか24年余りで、大政奉還を迎えるという計算だ。


松平時男「まあ、このまま隠居生活を続けているだけじゃ、つまらないからな。

やはり慶喜(よしのぶ)の人生の華は、将軍となってから、どうするかだな。

まあ、その後の人生は、オマケみたいなもんだよ。」


幼少時から英才教育を受けていたことは言うまでもないが、父、斉昭(なりあき)がとりわけ慶喜(よしのぶ)に目をかけていたというのは、斉昭(なりあき)は早くから慶喜(よしのぶ)の資質を見抜いていたといえる。


慶喜(よしのぶ)の幼少期は元号が天保(てんぽう)から弘化(こうか)、さらには嘉永(かえい)へと変わっていった頃だった。


慶喜(よしのぶ)の英才教育は学問のみならず、武術においても徹底していた。


どちらかというと得意分野は学問だったのか武術だったのか…。


しかしながら、とりわけ刀剣術と、乗馬においては、早くからその素質をいかんなく発揮していたといえる。


そんなある日、家来たちを引き連れて、馬に乗って遠くの方まで出て回った。


「はあっ!」


若君(わかぎみ)様!お待ちください…。」


家来たちが着いていけないほど、高速で進んでいく慶喜(よしのぶ)

いや、この時はまだ若君(わかぎみ)の松平七郎麻呂、

いや、現代人の松平時男が帰依(きえ)していた若君(わかぎみ)、松平七郎麻呂と、

なんだかややこしいことになってしまっているが、

とにかくこの時の若君(わかぎみ)は、家来たちを置き去りにして、馬に乗って駆け抜けていた。


松平時男=松平七郎麻呂=慶喜のセリフ。

「まったく、この時代の侍たちは馬にも満足に乗れないのか。

長きにわたる天下泰平の世の中で、すっかり腰抜け侍になり果ててしまっているではないか。

こんなことでは、約240年にわたり続いてきた、この天下泰平の世とやらも、いつまで続くことやら…。」


ある意味、嘆きのセリフだった。



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