~殿様会議~殿様も『よきにはからえ』ではダメなんです!
慶喜「これからは殿様も、自分で物事を決めていかなければだめだ。
今まで、大老や老中、側用人などに任せてきたことを、全て藩主の一任で行うんだ。」
どういうことかというと、将軍や、藩の殿様が絶対的な権限を持ち、時には大老、老中、側用人、あるいは藩の家老などの意見をおしきって、最終的には将軍や殿様が最高意思決定役となる、ということ。
いろいろ議論を行いたいところではあるが、次は殿様たちも今まで見たことのない競技を披露しようと考えた慶喜。
一同「な、なんだこの見たことのない競技は!?」
慶喜「これはカーリングというものですよ。
あの丸い的の中にストーンを滑らせて、より真ん中に近いところに入れていく、それで合計得点を競い合い、勝敗を決める。
いかがでしょう、カーリングとは、実におもしろい。
世の中の諸問題もカーリングの勝敗で解決していくことができればよいのだが…。」
慶喜は指を鳴らす。
城の大広間に突然、カーリングのフィールドが現れる。
慶喜「さあ、それではまずは私から、お手本を見せましょう。
それと、久光殿も、敬親殿も、容堂に、鍋島直正殿も、カーリングをプレイしてみては?」
慶喜と、山内容堂はお互いに水戸藩と土佐藩の家督を継ぐことになった頃からの深い関わりで、大政奉還と見せかけて新体制の構築を図るということを持ちかけたのも、この容堂だった。
容堂「されど、このカーリングというのは寒い地域で行うような競技なのではありませぬか?
南国土佐や薩摩などのような温暖な地域では、あまり行えるようなものではございませぬな。」
慶喜「さよう、蝦夷地や、東北の会津、仙台、山形、米沢、盛岡、秋田、青森、弘前、それから雪深い越後や信州などに広めれば、盛んになるのではないかと考えたのじゃよ。」
慶喜=時男には、いつの間にか、自分でも気がつかないうちに、頭の中で物事を思い浮かべて、ピンと指を鳴らせば、それが実物になるという不思議な力を身につけていたのだった。
慶喜「さて、ここからは世界の話。これはヨーロッパの地図じゃ。」
ヨーロッパの地図を開き、それぞれの国の位置を指差す。
慶喜「この2つの島の国が、イギリスという。
で、海峡を隔てて、こちら側にある国がフランス。
こっちがドイツ、今はプロイセンという。
で、こっちの長靴のような形の半島の国が、イタリア。
1861年、つまりごく最近に、イタリア統一戦争に勝利して、国土を統一したばかりじゃ。
フランスとプロイセンの間にあるこれらの国が、オランダとベルギー。
フランスの南西の半島にある国が、戦国時代には我が国とも交流のあった、スペインとポルトガル。
プロイセンから見て南東の位置にあり、国境を接するこちらの内陸の国が、ハプスブルグ家が治めるオーストリア・ハンガリー帝国。
ほぼ真ん中の位置にも、山に囲まれた内陸の国がある。これがスイスという、永世中立国という。
そして、北の方にある大きな半島が、スカンジナビア半島。
そのスカンジナビア半島にあるのが、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド。
そして東の方に目を移せば、遥か東方まで広がるとてつもなく広大な領土を持つ国、ロシアだ。」
このようにして国の説明を行う慶喜。