関鉄之介を戦力にしたら
桜田門外の変で井伊直弼が暗殺されたという報告は、江戸城の将軍家茂のところにも、ただちに伝えられた。
「何!?井伊大老が殺されただと!?
なんということだ、大老がこんなにあっさりと殺されたとあっては…。」
「それで、いかがいたしましょう?」
将軍、家茂も、報告を聞いた幕閣、家臣たちも、にわかには信じがたいといった状況だった。
家茂は家臣たちから決断を迫られていた。そして決断した。
「井伊大老を暗殺した、下手人どもを捕らえるのだ!
切腹、いや打ち首獄門にしてくれる!
もし抵抗するのであれば、その場にて斬っても構わぬ!」
家茂にも焦りはあった。
「このままでは、遅かれ早かれ、この徳川幕府は無くなってしまうということは目に見えている!
幕府の終わりは、そのままこの国の終わりに直結する!」
一方で江戸庶民は、
「大老があっさり斬られるとは、幕府の力も落ちたな。」
「いや、これ以上落ちようもないな。」
「外国人が江戸市中や、横浜などでもうろうろしている。
幕府が終わったら、もういっそのこと、日本も西洋の白人の国にでもなっちまった方がいいのかもな。」
西洋の白人の国になってしまうのではないかという危機感が芽生え始めていた。
井伊掃部頭が桜田門外で暗殺されたという知らせはたちまち全国に伝わり、世は騒然となった。
彦根藩などは、水戸藩に対して戦の準備を進めると、いきり立っていた。
その井伊掃部頭を討ち取ったのが、他でもない、関鉄之介率いる水戸藩の脱藩浪士たちだった。
彼らは一橋慶喜、つまりこの俺、松平時男の命令により、入牢を申し渡され、現在牢屋の中にいた。
その一橋家の別邸にいた慶喜のところにも、奉行所の役人たちが来た。
役人「ここに、井伊掃部頭様及びその家臣の者たちを殺害した下手人がいると聞き及んでおる。」
慶喜「いかにも、あらためて沙汰があるまで、入牢を申し渡しておる。」
役人「入牢だと!あのような大罪を犯した者は、即刻打ち首、あるいは斬首の刑に処すべきところを!
よもや慶喜様があの者たちをかばいだてしておるわけではあるまいな。」
「いえいえ、めっそうもござらぬ、沙汰は水戸藩にて、直々に下すゆえ、まことに申し訳ないが、本日のところは、お引き取りを…。」
慶喜に言われた役人たちはすごすごと引き返していった。




