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第10話 お忍びで江戸市中へ

慶喜は一橋家で過ごすことになったが、とにかく礼儀作法やら、食事の作法やら、うるさかった。


「慶喜様!慶喜様はいずれは武家の棟梁である、将軍となられるお方なのですぞ。

それならば、それにふさわしい礼儀作法、格式、品格を身につけなければなりませぬ。」


そうだ、わしは15代将軍となるのだ。


武家の棟梁、幕府の将軍、この国では誰よりも偉い将軍になるんだ。


しかし、あまりにもうるさく言われると、嫌になってくるというのもまた心情。


「ええい!もうたくさんじゃ!屋敷を抜け出し、江戸市中に出る!」


そう言って、一橋の屋敷を抜け出した。


そして、お忍びで江戸市中に繰り出した。


「慶喜様ー!慶喜様ー!」


腰元たちが探しに出ているのをかいくぐり、まんまと屋敷を抜け出し、そして江戸市中へ。


お忍びと称して若君が屋敷を抜け出すというのは、なんとも爽快だ。


一方で腰元たちは、既に慶喜が抜け出した後だということを察した。


「慶喜様が見つからない、困ったわ。もしかしたらもう、城下に出てしまっているのかも…。」


「仕方がないわ。お留守居役様に報告するしかないようね。」


腰元たちが留守居役に報告をする。


「慶喜様が、屋敷の中をくまなく探したのですが、どこにもおりません。」


「なんと、さては屋敷を抜け出して、お忍びで江戸の市中へと参られたな。

まあよい。慶喜様の気の済むまで、江戸市中で遊ばせてやるとしよう。

我らは何事もなかったかのように出迎えるのじゃ。

よいな、このことは我々だけの、内密にしておくのだぞ。」


その頃慶喜はというと、まさに江戸八百八町の真ん真ん中。


やれやれ、ここまで来れば、家来たちも追っては来るまい。


その前に、お忍びで城下に出るために、服装を替えておいた。


そして誰にも気づかれないように、まんまと裏口から脱出した。


ふふふ…、この格好ならば、まさか一橋家の若君などとは、誰も気づくまい…。


あー、寿司でも食べたいな、ということで、江戸前寿司をいただくことにした。


「へい!らっしゃい!」


江戸前寿司、まずはウニ、甘エビ、大エビ、それからなぜか、軍艦巻きやかっぱ巻きもある。


「おお!うまい!」


さらに玉子の寿司もある。さらにはニシンの卵のカズノコの寿司もいただいた。


そして極めつけは、とろサーモン。中トロ、大トロもいただいて、腹ごしらえを済ませた。


「ふう、ごちそうさま。」


よく見たらこの寿司屋、以前にもどこかで見たことがあるような、そんな気がしたが、気のせいか。


江戸市中にはいろんな人々が行き交う、そしていろんな情報が飛び交う。



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