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敬介の不思議な日記  作者: 二十五歳
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敬介の日記1

 7月6日

 目の前を高校生のカップルが歩いていた。僕とは違う高校だが、見たことがある制服だ。

 僕には彼女がいない。だから高校生のカップルを見ると当然腹が立つ。彼らを見ていると自分の存在を否定された気になるから嫌なのだ。なんとかして復讐する方法はないだろうか?

 僕は喫茶店に寄って行くことにした。カップル撃退大作戦の話しあいを一人でする為だ。



 7月7日

 昨日の一人話しあいの結論を発表する。話しあいの結果、毛虫をカップルのどちらか、もしくは両方の肩にのせてやればいいんじゃないかという答えに達した。

 さあ毛虫を探しに行こう! そして「毛虫ついてますよ」と言ってやるんだ!

 とは言ったものの、もう7月。毛虫なんて立派な蝶になってしまっている頃だと思う。

 結局また喫茶店で悩むことに。喫茶店で友達とお喋りもせず、勉強をするでもなく、虫のことを考えている高校生なんてきっと僕だけだろう。



 7月8日

 毛虫は諦めて何かしらの虫を探しに行くことにした。家からビニール袋を持って近所の公園へ向かった。

 夏の暑さのせいか、思ったより子供の数は少ない。そして僕は草むらへと入っていく。

「夏って虫いるのかな?」

 思わず独り言が出る。なんとなく夏は虫がいる気がしない。虫と言えば春のイメージがある。夏の虫はセミやカブトムシしかいない気がする。それでもここまでせっかく来たんだから探してみよう!

「ん?」

 何か草むらの中で光った。近寄ってみるとただのビー玉だった。でも、もしかしたらこのビー玉は不思議な力を持っていて、誰かがこれを落としたのかもしれない。そんなメルヘンなことを考え、拾ってポケットに入れた。さて肝心の虫探しだ。

 僕は結局緑色の小さなバッタをビニール袋に入れて持ち帰った。



 7月9日

 今日は決戦の日。つまりバッタ作戦決行の日だ。ビニール袋の中のバッタはかなり弱っているが、かろうじてまだ生きている。


 放課後、僕はいつもの帰り道をいつも通りに歩いた。そしていつも通り高校生カップルを見つけた。よし! いざ決戦だ!

 僕は急いで鞄を開けた。ビニール袋は教科書の下敷きになってバッタもペチャンコになっていたがそんなの気にしない。さあ投げるんだ!

「ペチッ」

 バッタは放物線を描いたものの目標にはとどかず、地面に叩きつけられた。作戦失敗だ。


 家に帰って麦茶を飲みながら一人反省会。いつかギャフンと言わせてやる。とりあえずバッタさんごめんなさい。


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