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一律~静かな夜の出来事~
3月の夜だった……。
私はゆっくりと長く緩やかな丘を下りていた。
足取りは重く、下りる途中、何度も足が止まり、空を見上げた。
道の周りにある木はまるで笑っているかのように揺れている。
「ここから下りてもなにもないのに」
この丘から下りたらなにもない、別世界のように感じる。
時間が止まることは決してなく、ただ時間に翻弄される世界。
そして、人間がたくさんいる世界……。
私は……‘人間が大嫌い’だった。
特に理由なんてない。
ただ……嫌いなだけ、嫌なだけ。
あのとき……。
私は足を止め大きなため息をし、また空を見上げてた。
しばらく綺麗な夜空を見上げ一息つくと、夜空を見上げるのをやめて歩きだす。
「出来れば帰りたくないけど……空腹には勝てないわ」
そう、私は今日何も食べていなかった。
そのためお腹とおへそがくっついてしまいそうなぐらいにお腹が空いていた。
私は空腹に耐えれるほど忍耐力がある人じゃないし、
どんなに人が嫌いだからって空腹には耐え切れない!
ゆっくり歩くペースを少し早め長く緩やかな丘を下り始めた。




