【短編完結】また溺愛できる? 颯爽と現れた私の新しい王子様 でも現実は都合よくいかないみたいね
掲載日:2026/02/22
「助けてー! 誰か助けてー!」
賊に追い詰められた私は、枯れんばかりの声で叫んだ。
「へっ、都合よく誰か来ると思うなよ。お前の首を斬り――」
パサッ(マントを翻す音)
「やめるんだ!」
絶体絶命の瞬間、月明かりを背負って一人の美青年が舞い降りた。
「お、お前は誰だーーー!」
「か弱き女性を大の男が二人がかりで襲うとは。神が許しても、この俺が許さん!!」
王子様のようなその剣捌きで、賊は一瞬にして追い払われた。ああ、なんて素敵な人。運命が、私の新しい恋を連れてきてくれたんだわ!
「ありがとう……『子供』を残して死ぬわけにはいかなかったの」
私は涙を拭い、彼をそっと見上げた。
……………………。
「……んっ!」
王子の表情が、凍りついたように固まる。
「すまない、急用を思い出した」
「え?」
彼は抜いた剣を鞘に納めるよりも早く、来た時以上のスピードで夜の闇へと消えていった。後には、ただ呆然と立ち尽くす私と、冷たい夜風だけが残された。
(完)




