1.2_自我確立
いまだに状況は理解できないけど、視覚的な情報はある程度整理できてきた
とは言っても、頭痛を感じる前とほとんど変わんない
と思う
空間は相変わらず白いし、何かが出現したわけでもない
だけど、何かいる
見えないのにその存在を感じる
声が聞こえたからとかそんなチンケな理由なんかじゃない
ただ、存在を感じる
なんだろう、この感情
これまでの私の人生でこんな気色悪さなんて感じたことがない
無理やり言語化するなら、"鷹に睨まれた雀"かな?
きっと雀は鷹に睨まれていると、見えずともその存在を感じるんだろうな
うん、思った以上にしっくりきた
つまり、"彼ら"は鷹で、"私"は雀だ
それにしても、何か変なことを鷹は言っていたけど、それってどうい
『おい、聞いてんのか?』
ヤバ、鷹の言葉を完全に無視してしまっていた
というか、頭の中に記憶を入れたと言われたってさ、何を言ってんだろうか、この声は?
私の頭に私の記憶があるのは当然なのに
「返事が遅くなってしまい、大変申し訳ございません」
相変わらず訳はわかんないけど、とりあえずめっちゃ下手にでる
「一点お伺いしたいことがございます
先ほど、私の記憶を入れたとおっしゃったと思うのですが、私という存在に私の記憶が内包されているため、不思議な言い方だと思ったのですが、言い間違いでしょうか?」
え?
なんか声がしなくなったんだけど
どうせなら、声だけじゃなく存在感も消してくれませ
『ガハハハハハハハ』
『ウォホ』
『オホホホホホホホ』
『アハハハハハハハ』
『プッ』
『バーッハハハハハ』
え?
なんか鷹たち全員が大爆笑してるんだけど、なんか変なこと言ってしまったかな?
もし私が不敬なことを言ってしまったんだとしたら、処刑とかされるのかな?
もう1回死ぬのは流石に嫌なんだけ
『なーにいってんだ?
オメーは俺たちが作った人形でしかない
そこに地球とかという世界で死んだ奴の記憶をオメーに移しただけだ
つまりオメーは記憶を持っただけの人形だ』
あー、そういうことか
いわゆる異世界転移をしたのかと思ってたけど、そういうわけじゃないらしい
どうやら今の"私"は、鷹たちが作ったらしい"人形"、あるいは"器"と考えると鷹たちの立場に近づけるかな?、に地球で死んだ"私"の記憶が移された存在らしい
すっごい簡単に言えば、入れ替わったようなもんだろう
ただ入れ替わりが死者と人形の間で行われたってこ
『そしてオメーは俺様たちの世界で生きろ』