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1、過去の過ち
前の前に広がる、血、血、血、血、血、血___。
彼女が言う。
「奏人!!!」
「ダメだ…、凛花、逃げろ……!!」
奏人と呼ばれた男が叫ぶ。
「でも…!」
「いいから!!!」
奏人が凛花を押すと、コツ、コツ、と革靴の音がする。
それに凛花が怯えた表情を見せる。
「早く行け…!!」
途絶え途絶えに奏人が言う。
怯えている彼女は動くことが出来ない。
「早く…!!」
奏人がもう一度彼女を押すと、吹っ切れたように凛花が走り始める。
凛花がバッと振り返ると___。
ハッ!
「なんだ…、夢……。」