6. いざ戸籍!!
プロフェッショナルな記憶喪失対応係!!
ふう、なんなんだろう、この世界。やたら文明が発達しているな。
まず、僕はこせき?というものを作らねばならないそうだが。あの人々が言うようなことを信じていいのだろうか。しかし、あの女も、じいさんも、あわてて応急処置の手当をしてくれたし、あの油ギッシュな中年たちもカツ丼を奢ってくれたしな・・・。
だんだんカラスが鳴き始め、太陽が登り出した。視界も見え始め、とぼとぼ歩いていると、24Hと書かれた爛々と蛾が飛び交っているが、目がチカチカするような物体が目に入った。
その敷地には、いかついおっさんたちが飲み物や食べ物などのおいしそうな匂いを漂わせて、白いかしゃかしゃと音がする袋を持ち、その自動開閉の透明の扉から次々と出てきた。
興味を持って、覗いてみると、透明のドアが開いた。
ととととりあえず、中へ入ってみた。
いろいろな本のほかに、美味しそうな匂い、甘そうなお菓子の匂いがした。
ふむふむ。本を手に取って読んでみる。なるほど、大体の言語と日本のことは理解したぞ。魔王と勇者の国なのか!あとは、推し?というものが存在し、う〜ん、神のように人々の信仰を集めているのか。すごい世界だな。
彼の手に取っている本とは、連載少年向けのコミックであった・・・。
よし、日も明けたな、そろそろ、しやくしょにも行こうか。
「受付番号30番の方〜どうぞ〜」
やっと僕の番だ。この紙切れはそんなに役に立つとは思わなかったぞ。
「お願いします」
手元の資料を渡す。
「ああ、ではこちらが福祉課の担当になりますのであちらに」
「はい。福祉課です。戸籍作成の記憶喪失の方ですね、警察署からも伺っております。」
なんか手慣れているな。きおくそうしつ?とやらは多いのだろうな。
「ここに必要事項を書いてくださいね」
わたなべ。
彼女のあの部屋に僕はいたんだ。この部屋について調べておきたいことがある。なんらかの因果関係があるにちがいないな。あとで調べてみよう。彼女の名はこんな感じだったはずだ。少しの間、借りるぞ。
「なるほど、苗字しか思い出せないのですね。わかりました。また思い出したら、こちらまで連絡くださいね。」
「ここに来れば、仕事の紹介を行っておりますハローワークもございます。」
「こちらが市で行っております、NNO法人の生活保護住宅です。また、こちらも民間の支援施設になります。即入居可能ですから、大丈夫ですよ。住所はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー、の手続きのあと、ーーーーーーーーーーーーーーーーー。そのあとは保健所のーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。何かわからないことがございましたら、お声掛けください。」
「では、またこちらに、保険証と、マイナンバーカードを受け取りに来てくださいね、お待ちしております。」
やっと終わった。ありとあらゆる紙の匂いと、殺伐とした雰囲気と高齢者たちの会話が永遠と続く場所だなと思った。
いや、僕は、元の世界に戻らないといけない。だから、あの部屋にいたから、何か掴めるかもしれない。そう思って、覚えている範囲まで歩いた。
歩いていると、いろんな匂いが混ざっている。昨日の光景とはまるで違う、明るい世界。でも、あの女性から香った匂いは、元の世界でも嗅いだことのあるような懐かしい匂いがしたんだ。
ふと、目線を上げると、そこには、昨日見た、ぼろぼろの建物があった。
急に雨が降ってきた。これじゃいけないな。乾きやすい姿にならないといけない。
後日談
助手B「いや〜、最近多いですね、記憶喪失者。あの彼のようなのは稀ですが。高齢社会の日本では、おじいちゃん、おばあちゃんが認知症で夜中外を出歩いてしまうことが多いんですよね」
「彼、今頃市役所にたどり着いたのかな」