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11.望み

ええ〜!忠実なる僕!執事になりたいのか、というくらい動作が優雅で、片膝をついて私をお嬢様のように扱ってくる。


「私を飼ってくれないだろうか」

「頼れるのは君しかいないんだ。」


瞳をキラキラさせて、今にもうるりと宝石が溢れ落ちそうなしっとりした目で上目遣いで見つめてくる。そうだ、彼は犬だった。


「〜〜っ。家と仕事が見つかるまでね!しょうがないな〜。頑張りなさいね。」


半犬といっても誰も信じてくれないだろう。故郷が日本ではないみたいだし.....。

自立したらすぐに出てってもらったら問題ないよね。


「ごめんけど、うち、貧乏一人暮らしだから、贅沢しないよ」


彼はこくりと従順にうなづいた。


「私の名前は環奈だよ。君は?」


「名前、つけて」


「???えっと、犬として」


「ふっ違うよ、人間でも使えそうな」


彼は笑った。顔を横に向けて、手の甲を口にかざして、口元が見えないようにした。美しかった。

はじめて、笑ったのを見た。乙女ゲームのURスチルのような、彼の周りにキラキラ(幻想)が見えた。クールそうだったけど、こんな一面もあるんだ。まさにレアである。


そうだ、名前、えっと、犬の時でも使えるような、う〜ん。た、たろう?いや、う〜ん。


白狼(しろう)

ふっと、頭に思い浮かんだ。白いもふもふを想像したらこうなった。


白狼(しろう)っていうのは、どうかな」


なんか、尻尾が出現して、ブンブン振っている。いいみたいだ。


「じゃ、よろしくね白狼(しろう)


「ああ」


「え、てゆうか、名前決めたの今なんだけど、戸籍登録どうなってるの?」


「ああ、記憶喪失扱いだから、特別に思い出したら、後日申請でいいよって言われたんだ。」


「そっか。じゃあ、明日、市役所行かなきゃね。」


もうすぐ、日が明けるけど、起きるにはちょっと早い。


「う〜ん。君の布団どうするかな〜。来客用の敷布団なんて、誰も泊まらないから、狭くて置いてないんだよね。」


ぽんっ。


なんか、変身した。かわいい〜///

よしじゃあ寝るか。足の裏が温かくなって、なんか不審者じゃなくて(いやまだ要注意だけど!!)緊張が解けて、トロンとしてきた。




********************************************************************************************************

朝の10時まで目を覚まさなかった。


なんか、いいにおいする〜。くんくん。

今日は休みなんだっけな。完全週休二日制の時もあるが、不規則な場合がある私の仕事。しかし、気分によって在宅ワークが選べるのが一番の魅力だ。


隣に寝ていたわんちゃんはいない。っていうか、人間の姿で寝られていたら、完全に男女としてあってはならないことだと思うのだが。犬の姿に免じて許してあげているというか、 ただ騙されているだけなのか......。


「おはよう」


「あっおはよう」


ぎこちなく返したのは、何てったって、私の方が遅く起きているが、私の家なのだ。しかもなぜか、日本語がどんどん上達している。腰に届くほどのイケボである。そして、安く買うことができた木のローテーブルには、なんと一汁三菜のご飯があった。


「なんで、料理作れるのー?」

本当に驚きである。なんせ異世界人が日本食を作れるはずがないのに。


「うん。僕、嗅覚が鋭いんだ。冷蔵庫から美味しいものを組み合わせたんだよ。」

な、なるほどー。そういうものなのかあ。




そのあと、いただきますを教え、二人でご飯を食べた。


「今日、私もお休みだから、服や靴を買いに行かないとね。」


あとは、歯ブラシとか、必需品を少々買うことにしよう。


「必ずこの恩は倍にして返す」


彼は頭を下げて申し訳ないと謝った。武士らしさも感じるんだよな。律儀というか。やっぱ犬だから、忠実なのか、と私は失礼なことを考えてしまった。


「頭上げて。服それしかないんでしょ。絶対に必要なものだもん。」


白狼(しろう)の着ているのは、綿でできた和風っぽい赤い帯紐で留めてある、着物の下に着るもので、オーガンジー素材に似て、白い透け生地を重ね合わせた簡易的なものだ。非常に民族衣装っぽい。ちなみに、彼が着用していた重そうな着物?は彼が救急車に運ばれているときなのだろうか、いつの間にかクローゼットの中から消えていた。




「ねえ、とりあえず、私の服の中から、なるべく似合いそうなの選ぶね」


おお。あったあった。お兄ちゃんが置いていったTシャツとズボンだ。たまに家に来ることがあったからだ、よかった〜。ちょっと借りておこう、兄ちゃんごめん。


「シロ、着てみて」

犬みたいに呼んでみた。こっちの方が言いやすい。

特に問題はなさそうだ。嫌がってない、いや気付いてないなこりゃ。


洗面所で着替えさせた。


「おお〜。似合ってるね。」

「私もメイクするから、歯磨きしてて待っててね」




ちゃんと、「待て」ができて偉い。

私たちは、近くの駅まで歩いていった。


















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