1.なにかがやってきた!?
読んでくださってありがとうございます。
がたん!どん!
なんだろう。私、うるさくしすぎたかな。このアパート家賃安いからさー、壁が意味ないんだよねー。本当に引っ越したい。
立て付けの悪く、いつもあけっぱなしにしているクローゼットからおおきなものがおっこちた音がした。
お笑いの録画をリモコンの停止ボタンをポチッと。なにがおちたんだ?そんな大きな物?
と、よろよろ歩いてみにいく。
「ファ!?」
びびびっくりしたあ。え!!! 人がいるんですけどー!!しかも、少年?っぽいし、大人にもみえる。
不法侵入だよね、だよね。え、どうしよ。死んでる??目開いてない!もしかして、この物件事故物件なのー???? まさか、不動産が黙ってたとか。ここで、この物件の契約をした時の不動産会社の北村さんのニヤケ顔がふと思い出した。え、やっぱ事故物件をつままされたの?でも家賃安かったし、そういうこともあるよね? じゃなくて、死体が隠れている物件なんてニュースでしか見たことないよー。えーんどどどうしたら。警察?いや消防?
私は屈んで彼に近付いてみる。尻餅ついてる。周りの私の掛けていたコートやら、ズボンやらの真ん中に手足を投だして俯いている。気絶してるっぽい。とりあえず119にかけた。
「119番です、消防ですか、救急ですか」
「すすすいません、ひとが倒れているんですけど」
「救急ですね。意識はありまsーーーーーー」「住所はーーーーーー?」「ーーーーーーー?」
ほとんど何を聞かれ、なんて答えたかは覚えてない。
でも、息をしているかは手を彼の鼻の下に当てれば生暖かい風がきて、安心した。
救急車が来るまで、とても時間の流れが遅く感じた。
にしても、変な服着てんなー。服がところどころ血が滲んでいる。裂けているし、見えた隙間から、硬そうな腹筋が少しみえる。徐々に腹筋から視線を上に向けると、プラチナブロンドっていうのかな。銀色に近い、キラキラの一本一本の細い髪の毛が彼の吐息にかかって、ほんの少し右左にサラサラと動いている。本当に眠っているだけかのように。
見惚れて、ポーッとして、思わず手が伸びた。頭を触ろうとしたら
ピクッ。ガシッッ!!
「!!!」
手を掴まれた。彼の掴んだ腕からふわっと香る異国の香り。本能的に香水じゃない、と悟った。ジャスミンなのか、ミント?いや、なんらかのスパイスだ。夜の香りだ。フルーティな心地よい香りだったんだ。
掴まれた腕から視線をあげると、そこにはなんと大きく見開かれた目がこっちをみていた。見たことのない瞳の色。まるでサファイヤとブルーガーネットやタンザナイトなどいろんな宝石のなかに何粒ものダイヤモンドを埋め込んだようなまっすぐな瞳。キラキラしたラメのような真っ白いまつ毛がふるふると、瞳とは反対に、不安げに揺れている。
瞳の色は、海の太陽に反射して煌めく水面のような、空の何千色を混ぜて、それを濾過したのか、蒸留したのか、わからないくらい、純度100パーなの!!不純物が一切ない、透明に近いくらい儚さがあった。
「あっ、」
「ーーーーーーー?」
私の脳に電撃が走った。彼の言っている言葉が脳みそに直接届いている。頭蓋骨のなかで反響し、周りの音が遮断されたような感覚だ。
「聞こえるか?」
答えなきゃ。でも、声が出なかった。だって、緊張して、ほんと、どうしていいかわかんないよー、とりあえず、全力で頷いてみた。ぶんぶん、と頭を上下に動かす。
ピーポーピーポー
そしてやっと、救急車が到着した。
次回もお楽しみに!




