04 変人生徒がいるのも青春 その2
(投稿頻度が)ゆるい作品。
内容もゆるい。
「わー先輩が全員集まって、席に着いたよ!ついに入学式が始まるよー!って感じがするね!」
「そ、そそう…ですね……どうしましょう……」
「どーんと構えときなよ!なんたって私たちは祝われる側なんだからね!」
「テメェら準備はバッチリかー?そろそろ席に着いとけよー」
というわけで、ついに緊張の面持ちで新入生たちが入ってくる。段取りチェックはバッチリだし!リッカちゃんは緊張でガクガクブルブルしてる……大丈夫かな?まぁ、なるようになるよ!どうにかしよう!私だって話す内容めちゃくちゃなんだから!
広い会場が人で埋まり出す…そんな大勢の人がみんな制服着てるってすごいよね!あ、メグちゃ……メグリ先生も来た!ロンロン校長も居るし!
まぁそりゃそうか、この学校の教員だし。……教員の服って結構自由なのかな?ほとんどスーツだけど、ちょこちょこ私服みたいな人も居るね。
「さて、リッカちゃんの席はどこかな?」
「えっと……最前列、ですね。」
「私も一番前だよ。もしかしたら首席の人はみんな一番前なのかも?」
「……最前列…、う、急にお腹が………」
「え!リッカちゃん大丈夫!?」
突然お腹を抑えながらうずくまるリッカちゃんだけど、よくよく耳を澄ませると何やら小さな声でブツブツと言ってる…
「やっぱり私なんかがこんな大勢の前で喋れるわけ無いんです…だって今までもほとんど人と喋ったこと無いのに…口を開けば「ぁ…」とかしか言えない私なんて……」
「え?リッカちゃん?」
「やっぱり今からでも急病ってことにして休ませて……う…でもそれを伝えることも私には出来ない…、あー、ダメだ…絶対に笑われる。私の話なんて何の面白さも無いんだ…笑いすらきっと起きないですよね…。面白くないスピーチしたということで退学処分かも知れないですね…」
「おーいリッカちゃーん戻っておいでー!!」
「そうですよ、私はここに次席で入学するというだけで充分凄いことをしたじゃ無いですか…もう今辞めても別に誰も文句は…、」
「まだ何も始まってないよ!?もう自主退学するの!?」
「まぁ…自主退学する勇気すら無いんですけどね……。」
どうやらようやく戻ってきてくれたみたい。
にしてもすんごいジメジメしたオーラを放ってたね…もう凄い陰を感じたよ?いや、もともとリッカちゃんはそういうオーラあったけど。なかなかに…面白い子かも。
「まぁまぁリッカちゃん、とりあえず座ろう!そして話を聞こうじゃ無いか!だって私たちの出番まだだし。」
「そ、それもそうですね。」
とりあえずリッカちゃんを座らせて、私も自分の席に着こう。
「じゃ、リッカちゃんまた後でね。」「え、い、行っちゃうんですか……?」
「……席隣なら良かったんだけどね。残念私の席はあっちなんだ…ごめん、別に見捨てるわけじゃ無いから!」
ということでリッカちゃんに涙の別れを告げて、私の席に…おや?隣にもうだれか座ってるね。パッと見だと猫耳に猫尻尾…そしてもう寝てる。
早いよ!早すぎるよ!入学式で寝るのは、校長先生のお話が始まった辺りだよ!いや、それもダメなんだけど!
あ、起きた。
「んぅ…、おや?僕の隣の席の子かな。」
「そうそう。私はルカだよよろしくね!」
「うん、よろしく……僕はチェシャだよ。じゃ、寝るから…始まったら起こして。」
「ちょっと起きてー!!」
なんてマイペースな子なんだ!ま、いっか。こういう行事で寝るのも凄い青春っぽい気がする!……違うかも。でもね、これが学校のイイトコだよね、色んな人が居る。色んな考えがある。
つまり、入学式の行事で寝るのもひとつの考えってこと。私も見習わないと……?
というわけで私も座って……と、もう片方のお隣さんは?
「こんにちわ。」
私の眼に映ったのは、私の双眸を上回る無数の瞳。
眼と眼が合ったら恋が始まるみたいなのをどっかで聞いたことあるけど、眼と眼と眼と眼と眼と眼と眼と眼が合ったらどうなるのかな?
「こんにちは!綺麗な眼だね。」
「………ありがとう。そう言われたのは初めてよ。アタシはノノル・ミニャチャって言うのよろしくね。」
「私はルカ・チカトリーチェだよ。ノノルちゃんよろしくね。」
蜘蛛姫族の女の子ノノルちゃん。眼がいっぱいあるのは、下腹部から繋がってる蜘蛛の部分だけで、蜘蛛の身体には8つの眼がある、上の身体は普通に女の子してるけど、特徴的な仮面で目元だけは隠してる。確かだけど蜘蛛姫族って上か下かどっちかの目を塞がないと、視界がぐちゃぐちゃになっちゃうんだっけ?大変そー。
ちなみにノノルちゃんも椅子が要らない組だね。というよりも座れない組だね。
「大抵女の子はアタシの見た目を見て驚いてしまうんだけれど、ルカさんはそうでは無いみたいね。」
「まー、今更蜘蛛で驚くのもねー。もっとヤバいの見たことあるしさー。あのときは結構危なかったなー、まだ幼かったし、経験も……あ、ごめんね長話。忘れていいよ。」
「そうね、もうすぐ始まるみたいだし、そのお話はまた今度、聞かせてもらうわね。」
……あぁ、私はどうすればいいのでしょう。
せっかくのアーレンツィ、セキリュウ学園の入学式、席がお隣になった方と楽しくお喋りしてお友達を作ろうと思っていたのですが…。
「うへへ…ル、ルカさんとも席が離れちゃって、も、もう誰も話す相手なんて、居ないですよね…そもそも、ルカさんが私に話しかけてくれたのが奇跡みたいな物ですし私みたいな根暗に話しかけてくれる人なんて…そもそも話しかけられたとしても何を話していいのかなんて分かりませんし、結局……結局………うぅ……」
右隣の方はずっとブツブツ何か喋っておられますし…左側の方は……
「オォ!!会場の熱気が素晴らしいな!!これぞ始まり!!これぞ入学式ッ!!この俺、グレン・ワズリスのスタートラインに相応しい!!ここから俺の、俺の覇道が始まるんだーー!!!」
とてもうるさ………賑やかな方です。
もともと私自身も人見知りする方ですし、この方々に話しかける勇気がありません。そもそも……
この方々どちらとも、弾むお話が出来る気がしません!
「あ、あー、マイクテストー、マイクテストー。大丈夫そうだね。もうすぐ始まるから………えー、別になんか特別しなくてもいいよ。とりあえず座ってそのまま楽にしててね。」
ロンロン校長先生から話があったけど、実際始まるまでやること無いんだよねー。というわけで気を楽ーにしてだらーっとしておけば良いんだよね。でも
「チェシャちゃんはそろそろ起きよっか。」
「んぅ…あと10分……んー、60分は寝たいな……」
いやいや、60分はヤバいよ。終わっちゃうかもしれないよ!早く起きてよチェシャちゃんー!!
「じゃ、始めるよー。とりあえず、みんな入学おめでとう。えーと本日はお日柄も良く、最高の入学式日和で
─全カット─
「じゃ、私、ロンロン校長のつまんない話はそろそろ終わり。入学生代表者たちー前に出てね。」
……いよいよ、来てしまった。
わ、私が……私がこんなに大勢の前で、話さないと…いけない時間……が……。だ、大丈夫…わ、私はちゃんと考えて来たんですから─
「あー、どうしよっかなー。何も思いついてないよ……えーと…本日はお日柄も……」
わ、私よりルカさんの方がマズそうです!!
というわけで、わー、二人共凄いちゃんとしてるね。
グレンくんは元気よく、自分の夢とかを交えたとっても前向きな代表者挨拶だったし、リッカちゃんもちょっと声は小さかったけれど、すっごくそれっぽい感じのお話が出来てたよ!
……さて、ハードルが上がった上で最後は?
「と、いうわけで最後はセキリュウ学園初の筆記、実技両試験で首席合格をしたルカ・チカトリーチェさんです。」
あー、ロンロン校長先生に言われちゃったなー。
ぶっつけ本番だし、2人の話でだいぶハードル上がっちゃってるし……ま、仕方ない。
「ふぅ……皆様おはようございます!紹介に預かりました、ルカ・チカトリーチェです。生真面目な挨拶はさっきの2人がしましたから私からはこのくらいで…、」
さて…ここからどう話を広げようかな……このままだとどうしても生真面目な話になっちゃうんだよね…。うーん、まぁいつも思ってることでも語ろうかな……。
「ここ、アーレンツィ学園都市は約百数十年前…あまりにも有名なかの厄災との大戦の後、ソレを討ち取った”勇者”のある言葉によって設立されました。」
誰もが幼い頃に聞かされたお伽噺になってしまった真実に基づいた事柄だ。故に、この場の誰もがその言葉は知っている。
「『多大な犠牲を払ったこの大戦だが、百年…いや、千年後また似たような事が起きるだろう。今よりも強く、今よりも恐るべきソレが現れた時……私はここには居ないだろう。』もちろん、書物によって多少の言葉の違いこそあれど…この言葉は間違いなく勇者が語った言葉です。」
「次代の英雄を、次の勇者を育てるため、この都市は創られ…私たち学生は勇者の想いを背負い、期待されてここに居ます。」
「とはいえ……」
「まだ、誰も英雄にも…勇者にもなれていません。セキリュウ学園も同様に…この場は、単なる青春の舞台に成り果てています。」
「今、かの勇者がコレを見て…どう思うでしょうか?」
そこで頭を下げ、壇上を降りた少女の姿に…その場の全員が困惑を示す。何せその言葉はその場の生徒、教師…いや、この学園都市そのものへの挑発でしか無かったからだ。
ぶっちゃけまだルカのキャラが固定されてない。
一番の変人生徒は主人公のルカ。