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静かなる赤

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

プロトタイプです。

これから変わる可能性は物凄くあります。

特に外見。


初めてお会いしたとき、その静謐なお姿に目を奪われた。髪は蝋燭の様に揺らめく橙で、瞳は金赤だった。存在感は何処までも赤く、そして静かだった。

「お初にお目に掛かります」

私がそう一言だけ告げると、貴方様はしなやかに立ち上がり、黙って頬を撫でる振りをした。振りをした。というのは、実際に頬には触れて居なかったから。私との間に僅かに距離を置いて、静かにただ、上下に滑らせる。でもかの方の体温はとても熱く、離していてもじんわりと熱を伝わせて下さる。そんな方だった。


「此処のお社はとても素敵だと思いますよ。それぞれお社に特色があるかと存じますが、中でももっとも煌びやか。装飾が竜宮城の様で御座います」

境内の端に置かれた長椅子に腰掛けて、微睡む白猫を見ながら申し上げる。本日はお日柄も良く、昼寝をするには最適だった。隣には御前がいらっしゃり、私の話にお聞きになる。

脳裏に浮かんでいるのは境内の内部だった。幾重にも丸こい装飾が天井から垂れ下がっており、光を反射し続ける。踏んできた場数の違いかも知れないが、もっとも華美である様に思えた。

華美だから良いのではない。ただ虚栄の為の豪奢さはみすぼらしい。けれども此処は清らかな空気と反する事なく溶け込んでいる。

「此処に来る前に、少し調べさせて戴きました。貴方様の事。お名前に準じて、華やかで美しいと感じます。でもかなり無理をして抑えていらっしゃる気がするのですよ」

調べれば調べる程に、この方は赤く。しかし実際にお会いしたら、思い描いていた姿とは掛け離れていた。余りにも物静かで落ち着いた、静かなる赤。それがこの方の感触になった。

すると貴方様は少しだけ目を見開いて、それから静かに伏せた。

「……力の制御に務めているんだ。生まれ落ちた際に、愛すべき方を傷付けたが故に」

「お優しいですね。とっても。私、焔を司る方々は皆総じて荒々しいかと思っていたのですよ」

脳裏に浮かぶのは悪童が如き振る舞いをなさる方だった。がなりの聞いた声で話す暴風の権化。そう形容したら、『おいクソガキ、聞こえてんぞ?』と反論が飛んで来そうな。

だからこれはとても新鮮な経験。白一つとっても百の色がある様に、きっと赤にも百以上の色がある。

「静かなる赤の御前、私に新しい世界を見せて戴き、誠に有難う御座います」

感謝の意を申し上げる。赤という色は何も全て崩壊に至るまでの色ではないのだと。内に秘める熱が漏れ出た色でもあるのだと。そう、知り得た。


「さて、そろそろ帰りますわ。お話、聞いて戴き、誠に有難う御座います。まだ寄らなくてはならない所が御座いますので、これにて失礼を」

唐門潜って下界に戻ろうとした時の事。改めて、此方の急斜面を目の当たりにした。一歩でも踏み間違えば真っ逆さまに落ちてしまいそうな勾配。背中に汗が伝い落ちる。それでも下らねば帰る事は出来ないので……。

そう一人青ざめていると、雲の裂け目に天光が覗き、隣に暖かさを感じた。

「怖いのか? 少し回り道をする事になるが、向こうに乗降機器がある。良ければ使うと良い」

「やっぱり、お優しいです。貴方様にお会いできて、とても嬉しく存じます」

正当な赤って言ったら、私の中では飆靡様。

全てに濁音付けて話す、気性の荒い御前。

そんな事言ってたら『聞こえてんぞ。クソガキ』なんて仰りそうですが。

あ、ちなみに駄賃求めるのも訳があります。


神話読み解いても、出生から物凄く赤い人でした。

かなり悲しい話。現代の言葉に置き換えると気落ちします。

でもあの経験があるから、制御下に置こうとなさってるのかと解釈してます。


二、三度行っても、多弁には思えず。

また、他者を困らせようと言う気概もなく。

『静かに気遣いを見せる方』というのが今の印象です。



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