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8 参謀ってかっこよくない?

「俺は記憶を失ったらしい。その影響からか、さまざまな魔術が使えるようになった」


「へえ、お前水しか出せなかったような気がするが・・・すげえじゃねえか」


 初耳だぞジミー、この言い方で良かったと今になって思うわ。


「ははは、ありがとうジミー。これに関しては俺もよくわからないんだけどな。んで、次。勇者に会った、ていうか顔見知りになった」


「は?」


 立ち上がったのは、ニース。


「そりゃ本当か?そ、その・・・かっこよかったか?」


「本当だよ、ニース。まずは座ってアズーの話を聞こうよ」


「お、おう」


 レイに諭されたニースは、そわそわしながらも盛り土に腰を下ろした。


「そんなに会いたいなら今度予定合わせてみるよ、だから安心して」


「・・・約束してくれ」


「はいはい、約束だ。それで、いろんな話を聞いてきた。主に魔術についてだ。俺たちの生活を良くするるためにも、まずはトレーニングをしよう。もちろん内容などは決めてあるし、その他生活に関して協力できるところなどでは管理スケジュールも組んだから大丈夫だ」


「さすが参謀だな!復活してくれたからには、頼りにするからな!」


 ・・・こいつは人を使うのがうまそうなタイプだな。純粋に嬉しいけど。


 てか初耳だぞニース、昔から参謀やってきたのかこの少年。


「魔術の特徴として、使いすぎると疲れる、という点がある。でもこれって、精一杯走った後に疲れるのと似てると思わないか?・・・まだ理由は明らかになってないらしいけど、こうらしいんだ。魔術を使うことで体と魔力が適合し、魔力量の総量が増え、効率よく魔術を使えるようになる・・・言い換えれば、たくさん走って鍛えれば速く長く走れるようになるように、たくさん魔術を使えば大きな魔術をたくさん使えるようになるってことだ」


「さすがアズー!さんぼうっぽくて言ってることは難しいけど、最後の方はなんとなくわかったぞ!」


 ジミー、見た目通り脳筋なのか?失礼だから口には出さんが。


「魔力のトレーニングについて、俺から日程調整をしておきたいんだが、いいか?」


「よし、詳しい日程は後でアズーから発表してくれ。そうだな、次の定例会、6日後に頼む」


「了解」


「よし、次は俺の話だな。緊急ってわけじゃないし、なんならアズーの話に内容はかぶるんだが・・・みんな!体を鍛えようぜ!」


「ニース、体を鍛えて、どうするのさ?」


「もっともな疑問だな、レイ。実はマフィとリンがある程度の歳になる頃、冒険者になろうと思っててな」


 冒険者、ファウストとの話の中で聞いたな。国が管理するギルドに直属する傭兵のようなものだ。ギルドからの依頼を受けてさまざまなクエストに出頭する。それだけ聞けばファンタジーなんだが、要は都合のいい傭兵だ。しかもそのほとんどが、冒険者を副業がわりにしてるっていう話だ。『勇者』の位ですら国の正規軍の将軍と肩を並べる役職だっていうから、いかに儲からない仕事かわかる。内容も便利屋と大して変わらないし、上位の冒険者は大体が軍隊上がりというらしいしな。


「冒険者・・・いいじゃないか!」


「うおー!俺もなるぞ!冒険者!」


「えー楽しそう!僕もやる!」


「俺も割と興味あるから、やるなら付き合うかな」


 すごい勢いで賛同する男子三名に合わせて自分も賛成を示す。実際言ったことに偽りはない。


「よし、決まりだな!トレーニングについてはアズーと考えてまた通達するから。他、何か言いたいことあるやついるか・・・いないっぽいな。よし、解散!」


「「おう!」」


 またも男子揃って挨拶する。


 そして、俺とマフィはジミーの家族に食べ物のお裾分けを貰うと、ニースと一緒に家を出てトレーニングについて話し合いながら帰った。


 母の一件以来俺の担当の仕事は全てレイとジミーがこなしていたらしく、果ては予定より早く終わっているときたもんだから、本当にあの二人には感謝しかない。しかし、これで屑鉄集めに専念できるので、呼ばれた時以外は収集にでも出かけるか・・・マフィ連れて。


 にしても、元から静かなリンは別として、こういう場で感情が乗って喋り出さないあたりマフィは本当に偉い子なんだなと感じる。もっと年相応に振舞ってもいいのにとすら思うが、彼女を否定する言葉に違いないので慎んでおくことにする。


 ニースと別れ、マフィを連れ・・・連れられて家に帰ると、またも倒れるように寝てしまった。勇者からの置き手紙に気づいたのは、朝になってのことだった。

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