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47 「異世界の学園」らしい

 「さて、みんな緊張してると思うけどね、魔力測定試験を始めるよ」


 ガイダンスでもあるのかと考えながら談笑していた三人に飛び込んできたのは、突然に始まった大層なご挨拶だった。


 「あ、僕は教務課のリエルだよ。まあ僕のことより君たちのことの方が大事だし、とりあえず一緒に演習場3に移動しようか。持ち物はないから、ついてきてね~」


 「魔力測定…?なにすんだ?」


 「あれ?やったことない?魔道とか魔術とかの出力を測って、扱える魔力の量を調べる試験みたいなやつ」


 「俺は…初等の時に一回だけやったことある…程度だね」


 そんなテストみたいなやつがあるのか、異世界よろしく過ぎて言葉も出ねえ。


「…俺、学校通ったことねえからわかんねえや」


「「え」」


「え?」


「どーゆーこと?通ってないのに卒業できたの?」


「うん、認定試験だけ受けて」


「生まれたのが貧民街ってのは聞いてたが…ここまでとは…金はどこから出てんだよ」


「あー、えっと、地元のマフィアから借りた」


「まふぃあ?」


「なんか、犯罪組織のことだよ」


「…俺、やばいやつに関わっちゃった」


大丈夫、とっくに壊滅したから。


「もしかして…ダンクスで起こった火災と関係してる?」


「いや、そこまでは知らん。師匠たちはみんな死んだからな、確認するすべがない」


「…なんか、いろいろ大変そうだな」


「手伝えることあったら言ってよ?お金いる?」


同情されても困るが…


「…なんかあったら言うよ」


何もないに越したことはない。本当に。



* *  *



 「この試験は自己紹介も兼ねてるよ。名前と学番を言って、自分のいちばん好きな魔術道を使ってみてね~あ、まとはあれね」


 ダーツの的のような、典型的な丸い的だった。学生番号は誕生日に依存しているらしく、自分は最後であることが分かった。適当に作った誕生日であるとはいえ、自分の中ではかなり思い入れがある大切なものなので、偽る気がなかったのだ。歳はさすがにごまかし続けているが。


 「おい、アズー!今の見たか?すごかったぞ!」


 「見てた見てた、ありえんほどでかい爆発だったな」


 当の爆発を巻き起こした張本人は謙虚な態度であったが、取り巻きの女子生徒たちが騒がしかった。


 「すっごい…今のは上級魔術?」


「爆発素子の着火を遅らせることで威力を強めるなんて、そんなことができるの?」


「あはは…これくらい、大したこともないよ」


可愛いだけでなく、技の解説までしてくれるとは。できた取り巻きをお持ちのようで、俺としてもありがたいよ


「ッオラァ!」


派手な掛け声とともに放たれる野蛮な爆発。派手なのは見た目だけではない、実力者らしき頭トゲトゲ男の爆発が見えた。


「ハァ…ハァ…どうだ見たかタスク!オレの爆発も最高に派手だろ!?」


「うん、すごいね。ザクの得意な魔道だもんね」


「へへん。いつか絶対、お前を超えてやるかな!」


「うん、待ってるよ」


青春だねえ…比べ合いながら切磋琢磨する感じ、良いラノベが書けそうだよ。


「そんなもんか?相変わらず程度が低いな」


クールなつぶやきと共に、水しぶきが虹を作った。


「君の魔道は無駄が多い…もっと効率的に術式を組めないのかい」


「アァ?派手さこそ正義だぜお坊ちゃん」


「私にはミニッツという名前がある、3歩の間に忘れてしまったのか…」


「誰がダクだって…!?」


意外と名前可愛いな。


「そろそろ私たちの番だよ、行こう!」


「氷…いや、水…爆発も…」


ラノベよろしく集団が終わったので、俺たちの番である。年齢の問題か、ぶち上げられたハードルの問題か、周囲の視線が痛いが仕方ない。物怖じしないアルバとすぐ考え込むエイト、対照的だ。


「俺も頑張るか…」



   *   *   *



 はたしてこの試験のトリを務めた俺の成績はというと、40人中38位であった。ちなみにエイトは12位、アルバは5位であった。普通にどちらも優等生だ…


 「この並びはあくまで出力できた量だからね、順位とかよりもいろいろな人の魔術道とその使い方をお互いにわかってほしいなぁ」


 そんなこと言われましてもねぇ。わかっていたこととはいえ、あの2人はあれから注目の的だ。若き秀才が2人も現れたとなっては、嫌でも人の目を集めることは自明の理である。寂しくは…ないと言っておきたい。



   *   *   *



 今期で俺が取った授業はすべてあの2人と被り、必修科目も多いため他のクラスメイトたちとも教室を同じくして授業を受けることの方が多かった。欲しい科目がどちらかというと後期に集中してるせいではあるけども。しかして、最初の1週間こそ外海を知った蛙の様に感動していた忙しい日々だったが、慣れてきてしまってからの月日は激流の様に過ぎ去っていった。

 

 「もうすぐ夏月休暇マス・フォーラだねぇ」


 「ます…ふぉーら?なんて?」


 「夏月休暇マス・フォーラ、この大学は半月もあるんだぜ、どっか別の国にでも遊びに行きたいよね」


 「お、おお、そうだな…実習もその期間に入ってなかったか?」


 「…どうだったか、覚えてねえや」


 「夏月8日から14日でしょ、ちゃんと覚えなよ~」


 ドアを開ける音と共にアルバが部屋に入ってきた。先輩方と夕食に行ったため、遅れての登場だ。


 「楽しかったか?」


 「うん、いろんな話も聞けたし、なんか今度は部屋でしゃべらないか、みたいなことも言われたなぁ」


 「それはやめとけ」


 「え?」


 「別にいいんじゃ…ああ、確かに俺も反対かな」


 「え?え?」


 友達になれたことが奇跡に思えるくらい、アルバは美しい。ようやく先輩の意図が見えて、背筋がぞわっとする。


 「でも私、君たちの部屋でこうしてお話してるよ?同じじゃないの?」


 「…それ出されちゃなんも言えねえよ」


 「とりあえず、俺が頑張って君を守るよ」


 「あ、ありがとう…?なんで?」


 我ながら粋がってて心に来るものがあるけど…これからはもう少しこの子から目を離さないようにしたいな。


 「よくわかんないけど、何かあったら言うようにするね」


遅筆

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