45 これも青春の1ページ
人と人との会話って書くの楽しくって…
敢行という名目で街を歩き、そういえばまとのな服を1着も持っていないなと感じた頃。
「そういえば君たち、地元はどこなの?」
口を開いたのはアルバだった。
「俺は…俺たちはジュエニ王国だ。俺はアレペントっていう街だが、こいつはダンクスの生まれらしい」
「ダンクスは知ってるよ!アレペントは…ごめん、わからないや」
俺も聞いたことねえや。
「そっかぁ…」
「そういやお前の地元は、ジュエニでいうとこどこら辺なんだよ」
「あ、ああ、話してなかったな。カロンの奥にヴァートルってあるだろ?」
「ヴァートルなら知ってるよ!ウルードからも電車が出てる!」
「え!やった!ありがとな!」
「ヴァートルがなんだよ」
「あぁ、その隣の州の…小さな、田舎町だ」
言ってて悲しくなるんかな…わからんでもないが。
「もしかして、レトルタ州かマニ州?綿花とか小麦とかやってた?」
「や、やってはいたな、その、友達が」
はっきり喋れ。
「やっぱり~!お、世話になってるよ~うちも!いつもありがとね!」
「いやいや…そんな、ねぇ」
こいつ、やるな。
「二人とも、宿はとってあんのか?」
「そういや考えてなかったなー」
「俺は考えてあって…その、アルバさん、来る?」
「わあ!ありがとう!そしたらせっかくだし三人で行ってみよう!」
「…そうだね、そうしよう」
……こいつ、やり手だな。
「電車の中でも話したけどさ、エイト、俺の服選んでくんね?」
「ああ、そういやなんか言ってたな。適当に決めようぜ」
これはこれで見てて面白いわ。
「私も見ていっていい?すっごく気になってたんだよね、こっちの服!」
「いいぜ、アンタも手伝ってくれると助かる」
「任せて!」
おーおー実に頼もしいぜ。
「あれとか、古着屋っぽいけど入ってみるか?」
「そうだな…持ち合わせも少ないし」
稼ぐ手段は早めに見つけないとな。
そうして入った古着屋でも、アルバは目を輝かせていた。世間知らずのじゃじゃ馬姫、か…
「一応制服もあるらしいけどな」
「休日まで制服じゃ嫌だろ。お前もなんかデート用の服考えとけよ」
「んなっ!?う、うるさい!」
お前の声がでかい。
「どうしたの~?」
「なんもねえ、田舎者って言っただけだ」
「は、はぁ!?だいたい…」
「あはは!仲間だね~エイトくん、私も同じだよ!」
「んぐぅ…」
いっちょ前に顔赤くしやがって。本当に面白い。
「決めたわ、お勘定」
「お、い、行ってら」
会計を済ませ、試着室を借りて着替えさせていただく。順番が逆かもしれない。
今まで違和感がなかったが、服の様式は現世と大して変わらないんだな。選んだのは、厚手のボタンシャツ?とこれまた丈夫そうなカーキ色のパンツだ。古のオタクが完成しそうだな。ついでに黒い外套と…バンダナでも買っておくか?
「お、出てきたよ。こっちこっちー!」
「はいはーい」
うんざりするくらい元気だな。
「いいね、似合ってるよ。アズーくん」
「そりゃどーも」
「そういやお前ずっとボロ切れ着てたからな。ある意味目立ってたし」
「これで外食にでも行けるな、どうする?」
「はいはい!行きたいです!」
「何食べたい?」
「なんでも!」
困る。
「肉が食べたいな~腹減ったよ」
「じゃあそんな感じのところで」
「異議なし!」
適当に探してみるか。こういうときに何食べたいか聞くことで、自分の意見を言わなくて済むんだよ、役立つスキルだね。
かくして俺たちは、肉の匂いが漂う酒場に来た。それなりの治安は予想通り。吹き抜けの二階がまたいい味を出していて、気に入った。注文を取りに来たのは筋肉だるまの髭モジャ男だったが。
「この肉良いやつだぞ!美味い!」
「うん!すっごく塩辛くて野蛮な味のする美味しいお肉だね!」
失礼極まりない感想ですぜお嬢様。
「久々にうまい飯食った…」
「そういやアズーくん、なんであんな格好でいたの?お肌もガサガサだし。旅の疲れ?」
世間知らずもいいとこですぜお嬢様。
「ダンクスの出身だって話はしたよな?おれはそこの貧民街の生まれだ」
「ガザ、だっけ?」
「よく知ってるじゃねえか。まああれだ、そこのごみの掃きだめの…塵1つだよ」
「そんなことないぜ。こいつ、いろんな事詳しそうだし。きっといろんな経験積んできてんだよ」
「まあ、聞いてればわかるよ~。だいいち、あんな火事があってそのうえで生き残ってきてるんでしょ?すごいよ、私の家より…」
「…お前の家がなんだって?」
「い、いやなんでもないよ」
「…ふぅん」
分かりやすい伏線だね。
「そう言うエイトのところもいいとこなんじゃないのか?地主の家かなんかか?」
「いや、全然普通の農家。リンゴ畑の」
リンゴはリンゴなのかな?
「リンゴ良いね!いつか分けてくれたら嬉しいな!」
「う、うん、よろこんで…!」
こいつ、相当なやり手だ。
こんな年齢で飛び級して大学入ってるんだ。少なくともこの世界じゃ天才の類だろう。そして残念ながら俺は凡才なのだ。だからこそ…マフィのためにも好きに生きてやる。あの子の見たかった世界を。
* * *
二人とも寝てしまったようだ。三人で大部屋を選んで、何も起こらないところもまた面白い。
この身をマフィの復讐に捧げ、心を殺して破壊に徹するような選択を、マフィは喜ぶだろうか。故人の遺志を勝手に決めつけ、マフィの苦しみを知らずに勝手な炎を燃やす兄を、マフィは赦してくれるだろうか。自分を許せないことは、自分の中のマフィを追い詰めるだろう。
「なぁニース、お前今、どうやって生きてるんだ?」
!が多い




