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40 血の祭典

何年ぶりの更新でしょうか、おひさしぶりです。

「嘘だろ……」


 目の前には薄汚い建物。積み上がった血だらけの肉体からは血が滴り、血溜まりを形成していた。何かを殴りつけるような音と、荒くれ者たちの怒声。


『虐殺』という言葉が似合うくらい、その通りは地獄と化していた。


「…なあ、敵が沢山いるな」


「ああ、アズー」


るぞ」


「ああ」


 二人の少年は、戦闘力で言えばそこなチンピラに色をつけた程度しかなかった。だが彼らは、守る者を亡くしている。守るものがある大人たちとの、唯一の違いだった。


「来るなガキどもォ!」


 いち早く色々な意味で気づいたマイザスは止めるが、彼らの耳には入らない。


 アズーは死体を探し短剣を抜き取ると幽鬼のように彷徨い、チンピラの腹を貫いて満足している敵兵の背に、深く突き立てた。


「…『鋳造キャスティング』」


 唱えると同時に敵兵の胸部からから無数の針が生える。何もわからないまま倒れた敵兵から剣を奪い取り、次の敵に向かって行った。


 ジミーは敵に猛然と向かって行き、地に倒し、馬乗りになり、叫びながら顔面をサンドバッグにした。そんなことが成せるのは彼が子供とみなされたことが所以であるからに、その凄惨で異常な光景は敵兵の足を鈍らせた。


「てめ…コラガキィ!」


「…あぁ?」


 気を失っても殴り続ける姿に耐えきれずやってきた新手の攻撃を小さな体で躱し、瞬時に後ろに回り込むと、やはり同様にサンドバッグにした。血に染まった拳を、何度も何度も打ちつけた。


 明らかに異常な様子の少年二人に、精鋭二百名は辛くも足止めされていた。誰の目にも疑わしい光景である。


 …しかしそこに、二つの影が現れてしまった。


「止まれ、ジミー」


「やめろアズー!」


 ジョンとキール、二人の師匠である。


 遅くに到着したレイとティトは、二人の大人によって彼らが戻ってくる(・・・・・)ことを願う…が、目に映るのはやはり非情な現実だった。



 それはこの街では珍しくもないもの、どんな人も必ずたどり着くもの、見るも悍ましく直視し難いもの。



 どんなに拒んでも、止められても、二人が戦いに介入するのは必然であった。



 それは赤く、黒く、白く、青いもの。



 大人も子供も、男も女もない、無情な戦いの中、塵芥のような命は散ってゆく。


 

 それは恐怖、終わり、絶望。



  *  *  *



 人数差を跳ね除け、マイザスたちは善戦していた。ガザ全体からマフィアを集結させて戦うブルぺスタと、制空支援を行っていた部隊の合流した軍の衝突は激化の一途をたどっている。窮鼠猫を噛む勢いで敵兵を駆逐し、大人しく撤退してくれることを願っていたブルぺスタ陣営は、しかし未だダンテの余裕を失わせられなかった。


「……遅いですよ」


「さーせんっした!これ、お土産っす!」


 最悪の別働隊が合流してしまった。アメリゴ率いる30人ほどの部隊が合流したのだ。手には悲壮な表情を貼り付けた青年の首が掲げられていた。


「ハイエナの…!」


 苦虫を噛み潰したような顔を見せるマイザスに、さらなる事態…悲劇が訪れる。


「レイ!ジミー!アズー!ティト!返事をしてくれ!」


 ニースが戻ってきたのだ。


「お前…しばらく戻ってくるなと…」


「親父!あいつらはどこだ!?」


 マイザスは答えられなかった。ニースもその理由を目にして…激昂した。片腕を失いながらも抵抗するレイ、血反吐を吐いてうずくまるティト。ジミーは…臓器を撒き散らして転がっていた。


「アズー!」


 鬼のような形相になったニースは、傷の浅そうな仲間の名を呼び、勇敢にも首魁の元へ駆けて行った。


「お前か?」


「自分から名乗りましょう、大人の作法です。」


 ニースは目の前の大男を超える高さで跳躍すると、その体勢から渾身の踵落としを放った。予想だにしない攻撃にダンテはひるむが、その硬さを悟ったニースは飛びのき、改めて臨戦態勢をとった。


 リーダーの進路塞ぐ部下をアズーは引き受け、戦っていた。疲労が限界を迎えたはずの体には、人が息絶える様子に呼応して力が漲っていた。怒りと力に身を任せた暴走を続けるアズーの耳には、誰の言葉も入る余地がなかった。


 最初の爆撃から、戦いは二時間ほど続いた。最後の決戦も終結を迎えようとしていた。


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