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37 敵と味方

 マイザスは自身の兵隊を背に、敵兵の軍団と対峙していた。痩身で大柄、不健康そうな顔面に呆れるほど似合わない笑顔を貼り付けた男が、前に出る。


「犯罪組織ブルペスタが組長マイザス、ガザ地域における爆破工作とそれに伴う傷害致死の罪で、逮捕します」


「おう、言いがかりだな?お前がまずどこのモンか、先に名乗れや」


「…王国軍第三大隊将軍おうこくぐんだいさんだいたいしょうぐん、ダンテです。さあ…名乗りましたよ、クロータル(・・・・・)=フィーディー(・・・・・・)さん」


 聞きなれない名前にその場のほとんどが困惑するなか、幹部数名、そして他ならぬマイザスだけが舌打ちをする。


「ハハ、わざわざ辺境からこんなところまで、ご苦労なこった」


「仕事ですから…さて、これから私たちはあなた方を捕縛しようとします。ちゃんと抵抗してくださいね。私の部下は精鋭200人、対するあなた方は…ざっと20人ほどでしょうか?」


「甘く見積もられたな」


 言うと同時、物陰や建物裏など、様々な場所からチンピラが集まってくる。


「総勢100人くらいだ。少しは差が縮まったみたいだぜ」


「人数が増えるのはいいことですよ。こう見えて、派手な方が好きなので」


「こう見えても何も、生きる殺戮兵器にしか見えねえよ」


「あ、あなた方の生死は問わないとされています。私の判断で。撃て」


 敵兵が構えた短銃が発砲される。


 だが、放たれた弾丸は標的を貫くことはなく、無様な音を立てて地面に転がるばかりだった。


「…『隔禍かっか』、うちの世界一優しい魔道士が創った魔法だ」


「ふむ…ある境を壁として、ある程度の速度の物体から運動力を消す、といったものでしょうか?高等な力魔法だ…」


 ちくしょう…やっぱすぐわかっちまうか。


「ならやはり、純粋に白兵線でもって制圧する他ないでしょう」


 言葉に呼応して、敵兵が銃器を捨てる。


「野郎ども!ここが正念場だ!腹括れ!」


「やってしまいなさい」


「かかれ!」


 ブルペスタ本拠地前の大通りにて、二つの軍は、激突した。


   *   *   *


「オヤジ…よりによって今日かよ…うおっ!」


「早く伝えなきゃ…早く伝え…キャッ!」


 ブルペスタ幹部キールと、『野原のハイエナ』通信員メイは、少女漫画の出合いの如く曲がり角で衝突した。


「いたた…あ、キールさん!」


「お前はハイエナんとこの…メイか!どうしたんだ…いや、そうか、そっちもか」


「…ということは、そっちも襲われてるんですね」


 空気を察知して、明らかに声を潜める。とは言っても、見える範囲には敵はいないが。


「本部に連絡はしたのか?」


「一応しました…けど、今は将軍から何から、みんなが辺境に押し込まれてしまったので…」


 第三が来てるのは、そう言う理由か…


「わかった、なら、無事な奴を連れてブルペスタに来い。現状、ウチがこの街の最高戦力だ」


「わかりました。感謝します」


「いいって、俺らの仲だ」


 メイは一礼すると、来たであろう道を駆けて戻っていった。


「…最後の仕事、か」


 彼方の喧騒が薄く届く。


 その呟きは、かき消されるように、空に消えた。


   *   *   *


 ガザから、ダンクスから、いや、ジュエニから遠く離れた場所、とある小屋の中にて、男は蹲っていた。


「うぐ…あああっ!」


「うるさい」


「がほっ!」


 そばにいたの足が、男の腹を蹴飛ばす。


「飯も寝床も用意した…借金も肩代わりした…助けてもらったんだから、働いて返しなよ」


 もう一つの影が、ニヤリと笑った。



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