表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/58

31 喧嘩の作法

…なんか色々拍子抜けした。


まず一つ、正式な試験のつもりで来たのに、やったテストの管理があまりにズボラだということ。


案内されたのは個室。見たときは科挙かきょのようなハードなものを想像していたのに、一科目あたり30分ほど。しかも、『文章』『数学』『科学』『魔道学』『歴史』の五科目だけ。


二つ目にそのレベル。師匠から教えられた内容の五百倍簡単だと思う、あれは。前世の基準で見ても、中学校レベルのことしかやっていない。


あ、文章の課題文は面白かったです。ただ、問題の内容が表現技法に関わる話ばかりだったってこと除けば。


ちなみに、即日採点即日返却でした。ばっちり合格、割とちゃんとした合格証まで貰っちゃった。カンニングでもしてほしいのか?


「おお!おかえり、アズー!試験はどうだった?」


「どうだったも…クソも…あるかあああ!」


「うおっ、あぶねっ!」


やけくそな拳と、避ける師匠。笑顔がすごくムカついたので。悪気しかない。


「なんだよあんな簡単な問題!そういえば師匠、最後まで問題形式も何も教えてくんなかったもんな!」


「待てっ!悪かった!それはすまん!」


「心配して損したぞ!」


「よ、よかったじゃねえか!簡単だったのはよ!」


「…それもそうだけどよ」


「とりあえず帰ろうぜ」


「…フン、そうだな」


「まだ怒ってんのかよ」


「もういいさ、早く受験勉強だ」


そうして俺たちは、フェスタシアを後にした。


   *   *   *


「なあニース、これからニアフックに行くのはいいけどさ、そこの喧嘩けんか集団はアホみたいに強いらしいぞ」


「ん?関係ないね、俺たちなら勝てる…と言いたいところだが、アズーの言うことだ。まず間違いなく強いんだろ?」


「うん…まあ、人から聞いた話なんだけどな」


「少しの間でも向こうに居たやつの話だ。まあまず合ってるだろ」


この、自信にあふれながらも仲間への信頼を隠さない感じ…こいつ、絶対モテるよな。身内に兄貴べったりな妹組二人しかいないってだけで。


そうして着いた、ニアフック。多分年上のロン毛オールバックが出迎えてくれた。


「なんだァ?おめえたちかァ?今日挑もうって言うお客様はァ?」


「早く案内してくれ、間伸びした声が鬱陶うっとうしい」


「ギャハハ、威勢のいいチビが来たなァ!五名さまご案内だァ!」


とーっても柄が悪い。ガキ同士の単純な掛け合いじゃない。喧嘩に強いと言うよりは、チンピラとしての格が上な印象だ。


…それに対して余裕の表情を見せるニース、レイ、ジミーの三人も怖い。ティトも喜んでる…のかな?


帰りたい、胃が痛くなってきた。


「チビども、よく見ろ!これがお前たちの戦う闘技場メキナだ!」


「すごい!すごいよレイ兄!」


「確かに本格的だ…!」


そこは、もともと倉庫として造られたのだろう。吹き抜けとなっている中心部が広場となり、ギャラリーはチンピラで埋まっている。体育館を思い出すような形だ。これから公開処刑始めますよーって感じね。うん、帰りたい。


「さて、ちびちゃん達、タイマンがいいか?団体戦がいいか?」


「団体戦で、とっとと終わらせよう」


「いよし…ライム!マシュ!ラインハルト!シャクヤク!シン!…そんでもって対するはお前たちか」


呼ばれた男たちがギャラリーから飛び降りる。全員年上、身長なんか20cmくらい差があるんじゃないだろうか。


「上等だ…やろうぜお前ら!」


「「おう!」」


はあ、やるか。


「そんじゃ、始めえ!」


ギャラリーの誰かの合図で、全員が距離を一斉に詰める。五対五だから、最初はタイマン形式を強いられるか。俺の相手は…


「お前がいちばん!弱そうだなあ!」


「うるっせ、気にしてんだよ」


飛んでくる筋肉たっぷりお兄さん。速さこそティトの方が速いが、やはり体躯たいくの差もあって、一際ひときわ大きく見える。


「フンッ!ホッ!ドラァ!」


一発にかかる力が大きく、正直食らいたくないから距離を取って…


「逃がさん」


追いが速い。見て、避けて、位置取りを考えて、反撃を考えて、その間にも見て、考えて、避けて、を繰り返しており、頭がパンクしそうだ。


「フオッ」


奇妙な掛け声と共に迫る拳を見て、体を無理にらせ避ける。それを見逃さない相手の、渾身の回し蹴りが視界の端に映る。


が、足の力を抜き地面に倒れた俺に対して、その蹴りは空を切った。倒れながら相手の軸足に蹴りを入れる。


「うおっ!…ってめえ!」


倒された相手は逆上し、後は簡単だった。口にこそ出さないものの、相手の攻撃を揶揄からかうようにかわし、攻撃を入れていくだけ。自分でも何分経ったかわからないくらいの長い時間の果て、こんな非力な攻撃でもダメージは入るのだろう。相手は動かなくなった。改めて、自分にそれなりにスタミナが備わってることに感謝した。


だがここで終わってはいけない。すぐに他の仲間の援護のために振り向き…


「そこまでだ!」


野太い声。どうやら俺たちが最後だったようだ。後ろでは仲間が笑顔で立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ