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24 生誕祭①

「お兄ちゃん!」


「おっ、マフィ…ゴハッ!」


飾り付けられた部屋の中で俺たちは再会を果たした。恒例のマフィミサイルも付属で。ニースたちも、鳥の丸焼きやフルーツバスケットなど、豪華な食事に目を輝かせていた。


なんでも、今日は生誕祭という日らしい。


「なあ師匠、生誕祭ってなんだ?」


「お、アズーか。マフィもいるのな」


よしよし、と言ってマフィの頭を撫でる師匠


「もとはユング教の行事だ。なんでも、教祖にあたる人物が生まれた日…だったっけ?俺も詳しくは知らねえ。国際交流が進んで、この国にも入ってきたような行事だからな。もっと知りたきゃキャスティのところに行くといい。あいつは確か、宗教学をやってたはずだ」


「キャスティさん…どこだ?」


一応のこと、幹部らしき女性もちらほら見える。


「あの人だよ〜」


マフィが俺を促そうと袖を引っ張ってくる。そうだった、確かマフィの師匠の方だったか。


「初めまして、アズーといいます。キャスティさん、ですか?」


「ん、礼儀正しいなガキんちょ。お前の話はキールから散々聞かされてる。あーその、マフィからもな」


パーティの中でも(おそらく)普段着のままでいる、身長の高い女性がキャスティだった。眼鏡をかけていることもあって、女性考古学者のようにも見える。


「宗教学を嗜んでいるとお聞きしたんですが、生誕祭とはどのようなものなんでしょうか?」


「あーユング教の話か。なんでこんなガキにそういうことへの興味があるかは知らんが、聞きたいなら話してやろう。マフィ、暇な話になるが、あっちで遊ばなくて良いのか?」


「んーん。お兄ちゃんといるの」


「はは、すっかり甘えん坊だなマフィも。聞けよアズー、マフィったらアタシとの修行のとき…」


「わあー!まってやめてお姉ちゃん!」


「はははは!恥ずかしいか!もう年頃だもんな!」


口を開けて笑うキャスティに対し、頬を膨らませるマフィ。一ヶ月越しにも可愛さは衰えてないな。


「さて、本題に入ろうか。まあ座れや」


促されて空いてる椅子に座る。マフィは俺の膝の上だ。


「まずユング教。こいつは隣の大陸(ルヴル大陸)で栄えたとある大国が起源だ。度重なる飢饉、慈悲のない疫病、終わらない戦争。耐えかねた国民は、自らの運命を神に委ねた。まあどこにでもある宗教の起源だ。だが、どこにでもあるような成り立ちでありながら、今日の世界において、世界的に見ても多くの人が信仰している。こうした行事程度ならもうほとんどの国ではやってるだろう。まさに、世界的な宗教なんだ」


膝の上のマフィはもう船を漕いでいる。こんだけ難しい単語が続けば当然だ。


「まあ、なんかしら事件があったわけだよ。たった一つの宗教が民衆の意志を伴い起こった、世界最古の宗教革命。それがハイオード革命、別名『春革命はるかくめい』だ。腐敗した貴族を打倒する名目で始まった革命運動は、新政府側の勝利で終わるんだよ。つってもだ、飢饉と疫病の最中に革命しちまったから、国のシステムはガタガタなんだ。憂さ晴らしで王族軒並み殺そうが、革命軍を味方した貴族さえも追放しようが、革命政府に対する革命を起こそうが、国が復興することはなかった。まあ、国の寿命だ」


「大国だったんですよね?そしたら、その大量の国民と広大な大地はどこへ行ったんですか?」


「そこなんだよ、問題は。周辺国は伝播した革命により大荒れ。統計だけで、実に世界人口の三割が死んだんだ。つまり、その帝国だけではない、一連の運動を春革命と呼ぶのさ。そうして行き場を失った人々は、小さな集落を形成しながら、特定の国も歴史も持たず、細々と生きていた。そこから大国オルバーニが生まれるまで、三百年の期間が空いている。国そのものが少なく、資料もろくなのがないその期間は、空白の三百年なんて呼ばれをすることが多いな」


「そうすると…そのユング教ってのは、どうなったんですか?」


「ああ、その話だったな。その空白の三百年を説明する資料の中で、最も信憑性が高いものの一つが、ユング教の教典なんだ。曰く、ユング教は春革命の後、今のオルバーニの首都『アモン』に大教会を建てて、小さいながら集落を形成してたらしいんだ。その集落を前身とするのが大国オルバーニ。もうわかっただろう?派手な言い方をすると、ユング教は世界を滅ぼし、作り替えたんだよ。今の時代でも戦争こそすれど、世界的な危機はない。それなりに安定した社会になったんだ」


「なるほど、じゃあ、生誕祭っていうのは?」


「それが本題だったな、すまんね…ゴホン。今、世界には十人の勇者がいる。それは何故か。答えは、この世にある聖装飾アグアーツが十個しかないからだ。聖装飾はわかるか?」


「いや、わからないっす。説明お願いします」


「よしよし。お前は知識欲旺盛なんだな。教えてやろうじゃないか」

ほとんど設定回、しかも次回に続く。

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