表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/58

23 揺らぐ視界

学ランを着た子供が、俯きながら歩いていた。どんな怠惰な生活を送ってきたのだろう、中学生ほどにしか見えないのに、いやに太っている。クラスに一人はこういう奴もいる。少なくとも創作の中ではそうだ。


おっと、別の子供たちが近づいてきている。・・・うん、まあ、そりゃそうだよ。予想に違わず、怯えた様子のデブを三人ほどの少年たちが取り囲み、恐喝・・・している様に見える。


あーあ。そんなに怯えてるから、何もできていないじゃないか。俺だったら師匠に教わった拳がある。ガキの三人くらい黙らせることもできるさ。そうじゃなくても、ほんの少し勇気を出すだけで・・・いや、興醒めだ。こんなのありふれた日常でしかない。もう帰ろう。


・・・帰る?どこにだ?ここはどこだ?俺の家は・・・あそこの角を突き当たった、三階建ての雑居ビルの様な、二階建て木造アパートの、棒と布切れでできた壁の・・家?


「おう、クソガキ。こんなところでそんなもん持ってお散歩か?」


「悪いことは言わねえ。とっととコーラ買ってきな」


「俺はファンタだ。腰抜かしてんのか?だっせえな」


誰だこの三人組は・・・目に傷のある男?いつもガムを噛んでいたチンピラ?ぼろ切れを纏ったヤンキー?


「黙ってねえでさっさと、寄越せっ!」


「ガハッ」


殴られた。鼻血が出ている。なんで?僕、悪いことしてない。そんなに睨まないで。何読んだっていいじゃないか!理不尽だ。こっちに来ても俺は暴力に晒されるのか。


「なあ、こ・・・、鳩尾ってどこにあるか知ってるか?」


腹部に拳が突き刺さる。体が宙に浮く。意識が消える・・・


   ✳︎   ✳︎   ✳︎


俺はその夜、明かりもないコンクリート造りの部屋で起きた。隣では、椅子に座った師匠が寝息を立てていた。


そういえば、嫌な夢を見た気がする。ここはブルぺスタ、であってるよな?


「いっづ・・・」


体を起こそうとすると、全身に激痛が走る。


「んお、アズー、起きたか」


さっきの唸り声で起きたのか。


「ゆっくりしてな。お前の体は頑丈にしたが、明日の朝までは動くなよ。元医者としての忠告だ」


「ああ、その、ごめん」


「いいんだよ、謝んな。負けて当然だ。まだほんのちょっとしか修行してないぜ」


「・・・たしかに、そうだな」


「わかったらもう寝ろ。今はお前の体だ」


「そうするよ」


そうして俺はまた、眠りについた。


   ✳︎   ✳︎   ✳︎


アズー、こいつはまたきちんと予想通りに負けてくれた。決して物覚えがいい方じゃないが、粘り強く何かに取り組む姿勢は、とてもいいことだ。


都会の裕福なガキはこうはいかないし、かといって貧困層は心まで貧しい奴もなかなかいる。つくづく、俺は弟子に恵まれたと思うよ。しかも、聞けば他の奴らも教えがいのある心の成長した子供らしい。さすがにマイザスさんの子供、ってだけじゃないとは思うがな。


あのガキは、失うには惜しい。しかし、こいつには是非とも外の世界で学んでもらう。


・・・その前に、ひさびさに妹に会わせてやるか。そろそろ生誕祭の時期だな。

彼が目を覚ましたのは、ガザのブルぺスタで間違いありません。ボコボコにされた後はジゼルに回収され、陰ながら見守っていたキールによってガザまで運ばれました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ