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『幕間一』??と??

 はい、ええ、なるほど、調査をされている方、っていう解釈で間違い無いですか?わかりました。あ、そうですか?では、お言葉に甘えて・・・そこの喫茶店なんかはどうです?ありがとうございます。では、向かいましょうか


「ご学友が巻き込まれてしまった悲惨な事故から、今日で一週間が経つそうですね」


 おかげで、この残暑の抜け切らない中、制服姿で葬儀場をハシゴさせられたんだから、もうみんな悲しいなんてどころじゃないですよ。


「とはいえ、亡くなられた四人と、その日偶然にも同時に亡くなられた四人の、全員が高校生であること、同じ路線で似たような時刻に死亡したことには、正直私も、いや、日本中が驚きましたね」


 ええ。まったく、ここ最近のワイドショーはそればっかりです。遺族の家では連日連夜マスコミが来るというのだから、この事件が周りの人に与えてる害は数えきれませんが、逆になるようなことは全くありませんね。でもまあ、いちばんの被害者は、確実にその八人ですよ。


「事件の犯人について、どう思われますか?」


 犯人がわかっていない以上は、何も・・・。でも、テロ組織による犯行、新興宗教の血の儀式、地下鉄企業と国家との陰謀とか、いろんなことが議論されているらしいじゃないですか。・・・ぶっちゃけ、そんなくだらない議論、俺たちにはどうでもいいんです。同じクラスだっただけとはいえ、四人が安らかに眠れる世界になることを祈るばかりですよ。


   ✳︎   ✳︎   ✳︎


 呆れるほど元気な太陽が光を落としている。教室の中とて例外ではなく、カーテンを通じて伝わる熱は、俺たちに罰を下すべく奮起するお天道様の妄執とも思えた。


 だが、俺にとって、教室の人たちに覇気がないことには別の理由があると確信していた。


 鷹野たかの純太じゅんた。『タカジュン』の渾名で親しまれ、男女を問わず人気があった男。所属していたサッカー部では、フォワードとしてチームを県内準優勝まで導いた。苦手と言える苦手科目がなく勉強の全般をもそつなくこなしていた。持ち合わせるもののないことを卑下するわけではないが、全体的に優秀な者の多いこの学校においてなお、完璧人間とはなんたるかを体現したようなやつだった。


   ✳︎   ✳︎   ✳︎


 ・・・私、未だに信じられないんです。じゅんくんが、じゅんくんが死んじゃったって・・・でも、そうですよね、いつかは受け止めなくてはいけない。頭では、理解しているつもりです・・・


「・・・貴女にとって、鷹野たかのさんの死は、本当に衝撃的なことだったのですね・・・心中、お察しします」


 ・・・ありがとうございます。私、亡くなられた方と親しかった人に対するインタビューに答える人の気持ちがわからなかったんですが、今ならわかります。彼についてならなんでも語りたい気分です。ああ、聞きたいのは彼についてでしたよね。私の話せる限り、なんでも答えさせていただきます。


「ご協力ありがとうございます。ではまず、彼の普段の学校の様子についてお話ししていただけませんか?」


 はい。じゅんくん・・・彼についての特徴として、すごく早起きだったことを覚えています。毎朝、他のクラスメイトが来るより全然前、朝のホームルームの一時間近く前から教室にいるんです。その時は大抵勉強をしていたり、読書をしていたり・・・ああ、あと本のタイトルにも関わってくるんですが、彼、すごく趣味が広いんです。マイナーな海外ミステリから、いわゆるライトノベルのようなものまで幅広く読んでいましたし、聞いている音楽も、どんなジャンルを好む人ともそれなりに語り合えるほどには、たくさん聞いていましたね。

 

・・・ああ、話が脱線してしまいましたね。あとは、そうですね、彼は先ほどの趣味に関してもそうなんですが、本当に万能人と言っても過言ではないくらいには、文字通りなんでもできる人でした。そのくせ、それを鼻にかけることもなく、色々な人に話しかけているところもたくさん見ました。そこにきな臭さのようなものが全く感じられなかったことは、今でも不思議に思います。ほぼクラス全員から推薦されて級長をやってましたが、生徒会に立候補するほど欲深くもありませんでしたね。ああいや、生徒会に入ることが悪いとは言いませんが、なんとなくああいうのって、自分から目立ちたがる人が立候補してる気がして・・・そんなに好きじゃないっていうだけです。


 ・・・またまた脱線してしまいましたね。まあでも、彼がいかに魅力的でみんなに人気があったか、わかっていただければいいなと思ってます!

幕間の入れる場所よ…

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