お嬢様とのお茶会?
改めて、お茶会が開始され、二人ともほっとした時間が流れていた。
他愛もない話で暫しの時間が過ぎ、お嬢様は今回の議題を切り出してきた。
「そうそう、学園の合格。
おめでとう。ジャスタン。
我が管理領から入学者が現れるのは喜ばしいことだ。」
「あ、ありがとうございます?」
「ふふ。なんで疑問形なのか問いたい所だが、それよりも、卒業後は何をする予定なのかな?
それによりカリキュラムも異なるだろう」
「うーん。そうですね」
学園は7年もあるのでまだ先の話ではあるのだが
それでも目指す何かによって、受ける科目が異なると
お嬢様は教えてくれた。
でも今は、ただ勉強がしたいんだけどな。
そんな俺にお嬢様は選択肢を示してくる。
「従士というものある。ゆくゆくは騎士になる。」
「剣なんて使ったことないですよ」
「なに、あの鍛錬の鬼な兄さまの扱きに堪えてる時点でなんとかなる。」
「堪えてないです。止まらないだけですよ!」
「ふむ。なら文官は?文官なら、税収補佐官や村長だな。」
「あの、激務で帰れないで有名な・・・」
「うちの領内で会計学ができるものが少ないからな。来るなら大歓迎を受けるだろう」
「7年待つ前に人増やしましょうよ!」
「尤もだな。うむ。会計学と経営学なら商会を起こすことも出来そうだ。
そしたらヴィヨレの街から始めるのが良い。」
「いやいや。うちの実家。なんでしたっけ?」
「ああ、そういえば既に親が宿を経営してたな。失念していた。」
「もしやるなら2号店とかですかね」
「うむ。却下だな。そうそう、幼学校の講師もありだな。」
「何故!
・・・講師かぁ。後人を育てるのは楽しそうだけど、
あの講師の中でやっていける自信ないですよ。」
「2号店なら、領内にそこまで宿が要らないからな。
ああ、私もあの中でやってく自信はないな。
きっと、『あの坊主が立派になって』なんて言われ続けるのだろうな」
「ぐふぅ・・」
「ふふふ。ああ、最後に、貴族になりたいなら、男爵くらいなら用意出来よう。
まあ、婿入り前提だがな。」
「ぜ・・・全部ヴィヨレ領内ですね。」
「当然であろ?優秀な領民を手放せるほど余裕はないぞ」
「そ・・過分な期待で少し重いです。お嬢様」
「そうでもないぞ。貴族でもなく、平民でもない、ただの一庶民があの名門に入ってくるのだ
国内の貴族はこれからも含めて注目している。
その一つが明日のお茶会だろうな。」
「ああ・・・」
「第二王息殿下から、お誘いを受けたと聞いている。
ジャスタンも苦労を好むな。」
「本当ですよ。なんで俺なんだか。いや・・・俺が第一号だからなんでしょうけど。
でも、うーん。」
頭を抱えている俺を見、お嬢様はクスクスと笑った。
そして悪戯顔で、
「まあ、これ以上の話は食事をしながらにしよう。
明日登城するのだから。
まずは風呂に入り、着替えをしなさい。」
そういって、席を立ちあがった。
「え、ええ?」
「一泊していきなさい。
レオニー。案内してあげて。」
メイドさんに指示を出し、部屋から出ていく。
かしこまりましたと返事し、頭を下げるメイドさん。
お嬢様は、扉の前に一度立ち止まり、
「そうそう。お父様が君の頑張り次第で後々の入学者も支援するそうだよ。」
では、夕食時にと言葉を置いて去っていったのだった。