これから・・・2
「ああ。うちは比較的安いんですよ。
だから、10日に一回出来るんですが・・・。
えっと、確か・・・銅貨3枚だったかな。」
「銅貨・・たった銅貨でもそうなのですか・・?」
コップの動きが止まり、少し不安そうな声でそう聴いてきた。
俺は少し優しく聞こえるよう気を付けつつ
「そもそも、お金が流通してないのです。
・・コップの横で少しどかしてから掬うと楽ですよ?」
そう語り、甕をトントンと指で叩く。
ベルナデット様がハッと気づいて、慎重にどかし、掬ってみせた。
「あ、できました!」
「おめでとうございます。」
「ありがとうございます・・・あ・・
ごめんなさいね。」
他の子たちも大分起きてきていて、実は順番待ちしていた子もいた。
甕はまだ他にもあったのだけども、どうやら心配になって見に来てくれていたようだ。
待ってた子たちはみな、ベルナデット様に『上手だったよ。』とか『美味しいよね』とか
声をかけてくれている。
それを、少し離れた場所で微笑ましくみていた大人衆が
「ほらほら、此処は寒いから、水手に持ったら中央にいきな。」
と声を掛けた。
「じゃ、行きましょう。」
「あ、はい。・・・・あと、先ほどの続き・・」
俺は、戻りながら先ほどの続きを語り始める。
「そもそも村はお金より物資の方が喜ばれますし
・・・一応此処は町なんですが、小さいし、店もありますがお金より物々交換の方が強いです。
銅貨等のお金の代わりに木貨とか鉄貨とかが使われますからね。
まあ、流石に町なので、村と違って週に1度の頻度で市場が開かれます。
村だと行商人が来た時くらいですからね。」
中央の暖炉は今も刻々と暖かい空気を生んでくれている。
外周の暖かそうな、座りやすそうな場所にベルナデット様を誘導し
二人で座った。
そして、二人で水を飲みながら
「その市場の売り上げでパンを焼く訳ですね。だから10日に一回と。」
「なるほど。市場ですか。それでパンを。ああ、私も行ってみたいです!」
「あ~・・・冬はやってないです。申し訳ない。」
「そうなのですか・・・本当にここは、冬は閉ざされるのですね・・」
「基本、村は冬だと覆われて家から出られませんよ・・」
「え?・・・・えっと。此処も村でしたか?」
「ああ、一応。街です。街ですけど・・・まあ、規模は村の少し大きくしたってレベルですから・・
じゃなくて、基本的に冬でも人が買い物するのは、出来るのは、伯爵家以上のお膝元だけですよ。」
「・・・ああ。あ・・ん・・・き、金貨もですか?」
§
突発的に金貨も?と聞かれて一瞬理解できなかった。
少し考えると、多分、此処にくるときにお金の話が少し出たからだろう。
食料も、服も買えば良いと、彼女は・・・というか親もかな?・・・そう思っていて、
親から金貨数枚を貰っていたようだ。
でも、正直な話、市とか移動商人ならいざ知らず、固定店舗を持つような商人が
領民レベルだと入店すらさせてもらえないのが実情だ。
・・・つまり・・・信用がない。
身柄もそうだし、金の出所もだ。
だから、金貨を出された時に、
『それは使えないからお守りだと思って隠してなさい。』
と伝えた。
その時は、メイドさんも一緒になってビックリして、『何故?』と聞かれたけど
『今までの常識が通じない世界だからです。』と答えたんだった。
さて・・・正直に教えるか・・・
まあ、教えても大丈夫か・・・




