それから・・・・1
朝の光が顔を照らす。
その弱弱しい光を受けて、目を覚ました。
若干の寝ぼけ眼で横を見る。
ベルナデット様が落ち着いた寝息を立てていた。
回りを見渡す。
他の子達もまだ寝ているようだ。
どうやら、少し早めに起きたみたい。
俺は、中央にある丸みを帯びた薪ストーブを覗く。
まだ火種が残っていそうだ。
藁を載せ、薪を焚べる。
薪が火に炙られ、黒くなり、そして燃えていった。
起さないよう、台所に移動し、甕から水を酌む。
大麦の芽とかが上部を覆っているので棒で少し退かしてコップを入れる。
うん。上手に酌めた。
台所の床は土のままで少し立っていると寒い。
コップを持って薪ストーブの方へ座り、一口飲んだ。
少しの酸味とシュワシュワした舌ざわりがヴィヨレに戻ってきた事を実感させてくれる。
水って言ったらコレだ。
学校のは、味も色もない透明の水。癖があるけど、俺は学校のよりこっちの方が好きだった。
もう少し、一人の世界のようだ。誰も起きる気配はない。
なら、あの後の事をもう一度思い出そう。
そう考えながらもう一口飲む。
§
そうは言っても、大した事があった訳ではないけれども。
そう、あの後、坊ちゃんが戻られて
俺とベルナデット様は王太子陛下の執務室を後にした。
そして、そのままの足で用意されていた馬車に乗せられ、ヴィヨレ領へと運ばれていった。
馬車は俺とベルナデット様、そしてメイドさんの3名
そして、荷物が積まれていたんだけど、4頭もの大型の馬が牽く馬車は凄い速さで駆けていった。
そうそう、マリーさんは坊ちゃんの手伝いがこの後待っているそうで
馬車に乗せられていた頃は既に子爵の屋敷に移動していたそう。
で、馬車が大型だったせいでパピオン通りには入れず、街の大通りで停めてもらい、
家まで荷物を運んでいった。
そうは言っても、荷物自体はそんな数はない。俺は勿論、ベルナデット様もだ。
『貴族で無くなるのに荷物が多いと狙われるでしょう?』とのことで
ローブ等は持ち込まず、一人で着られるエプロンを持ってきていた。
何故それを知っているかって?
家に着いて早々、メイドさんがベルナデット様を着替えさせていたから
当然別室でだよ?
で、メイドさんはエプロンやコッド、シュミーズの着方を教えていたようで
一通りの着替えは出来るようになったそうだ。
服すら自分で着替えられなかったなんて、これから大丈夫なのだろうか?と不安になったけど
考えてみたら、お嬢様もメイドさん達に着替えさせられていたな。と思い直した。
それでも、外に出る時、外行用の簡易な服なら自力で着替えてた気もする。
ベルナデット様も、こっちの不安に気付いたのか
『別にローブでなければ一人で着替えは可能なのですよ?
脱ぐのも着るのも一人で出来ないようになっているのです。ローブは‥』
なんて言ってた。
で、着ていたローブはメイドさんが持って帰っていった。




