翌朝・・・
翌日は早朝から忙しなかった。
マリーさんも何時もの使用人用の服ではなく
(使用人用と言っても、マリー=セシールが何時も着ている服よりも上等そうだったけど)
ローブを纏っていた。
1人でも着られるようにだろうか、ツー・ピースの花柄ぺチコートで上はジャケットを着けていた。
「おはよう。ジャスタン君。」
「おはようございます。マリーさん。」
「一先ず、王城に向かう手段を考えないと・・・ね。
多分、私は中には入れないと思うのだけど。
・・・ジャスタン君は一度登城したのよね?」
「・・・ええ。何故か」
「多分、この手紙があれば、大丈夫だと思うのだけど。」
そういうと、マリーさんは俺の胸元に紫の花弁と火があしらわれたブローチをつけてくれた。
「これがあれば、少しはマシになると思うから。
登城している間は外しちゃダメよ。」
俺は、静かに頷く。
そのタイミングでドアを叩く音がした。
マリーさんが応対のためにドアを開ける。
ドアの先には初老の男性が綺麗な佇まいで立っていた。
§
俺とマリーさんは、王家の馬車に揺られて王都へ王城へと向かっていた。
王家の馬車は、4頭用で車内は広く、そして揺れも少ない快適な乗り物だった。
その上、通行の妨げになるようなものは、大体避けてくれるので、途中で停まる事も少なく
さくさくと進んでいく。
さらに、この馬車なら王城の中まで乗り入れ可能らしく、門での面倒な取次等が不要とのことなので
大変ありがたい状態だった。
・・・・どうしてこうなったかというと
初老の男性は、王太子陛下の執事(?)だったらしく陛下直々のお迎えを寄越したそうで・・・。
まあ、確かに?取次取次で前回も時間かかったし?
今回は王太子陛下な訳で、前回よりも辿り着くのが困難な訳だし?
今回は領主様の手紙もなければ、俺宛の王太子陛下の手紙もない訳でどちらにしても大変だったのは予想出来た。
マリーさんが持っている手紙?
あれはマリーさん宛なので俺宛じゃない。
十中八九、マリーさんだけ通れて俺はダメってケースになりかねない。
そんなわけで渡りに船だったのは事実なんだけど
ある意味破格の扱いを受ける事になった俺たちはどうしてもこの後の事を考えるとビクビクしてしまう。
対面に座って外を眺めていたマリーさんがふうとため息ついた後
こちらを見て、
「それ、必要なくなっちゃったね。」
と力なく微笑んだ。
その視線の先は、朝つけてくれたブローチがあった・・・。
「いえ。心強いですよ?」
「そぉ?それなら、王城にいる間は貸しておいてあげるね。」
「ありがとうございます。王太子陛下相手でもなんとかなりそうです。」
「うふふ。マリーお姉さんの加護付だものね。
頑張れ。」




